労働施策総合推進法等の改正

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 令和8年7月6日、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号。以下「改正法」という。)が公布された。その概要は次のとおおりです。

1. 労働施策総合推進法等の改正

職場のハラスメント防止 

 国は、職場での労働者の就業環境を害する言動(ハラスメント等)を防ぐため、啓発活動を積極的に行うことが義務付けられます。改正法の施行に向けた具体的な関係政省令(ガイドライン等)については、今後、労働政策審議会での議論を経て制定される予定です 。また、フリーランス(特定受託事業者)がカスハラ被害に遭わないための施策についても検討が行われることになっています 。

治療と就業の両立支援 

    事業主は、治療が必要な労働者が安心して働けるよう、相談体制の整備や必要な措置を講じる努力義務が課されます。厚生労働大臣はそのための指針を定めます。

顧客等によるハラスメント対策

  顧客や取引先などによる言動で労働者の就業環境が害されないよう、事業主は相談体制や抑止措置など必要な雇用管理上の措置を講じなければなりません。また、相談した労働者への不利益取扱いは禁止されます。これまで指針レベルに留まっていた「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策が、法律上の義務として明確に位置付けられました。

国・事業主・労働者及び顧客等の責務 

  それぞれがハラスメント問題への関心と理解を深め、必要な注意や協力を行う責務が明記されています。

国の責務

 各事業分野の特性を踏まえた広報・啓発活動を行い、国民一般の理解を深めるよう努めます 。

事業主の責務

 顧客や取引先等による「社会通念上許容される範囲を超えた言動」から労働者を守るため、相談体制の整備や、カスハラ抑止のための実効性ある措置を講じることが義務化されます 。

労働者及び顧客等の責務

 労働者がカスハラの相談をしたことや、その事実確認に協力したことを理由に、解雇などの不利益な取扱いをすることは禁止されます 。他の事業主からハラスメント対策の実施に関して協力を求められた場合、それに応ずる努力義務が課されます 。

2.男女雇用機会均等法の改正

1. 求職活動等における性的言動への対応強化

  • 事業主は、求職者やこれに類する者(厚生労働省令で定める者)が行う求職活動等において、事業主が雇用する労働者による性的な言動によって求職活動が阻害されないよう、相談体制の整備や必要な雇用管理上の措置を講じる義務が新たに規定されました。
  • 労働者が相談対応に協力した際に事実を述べたことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことも明記されています。
  • 厚生労働大臣は、これらの措置の適切かつ有効な実施のために必要な指針を定めることとされています。

2. 国・事業主・労働者の責務明確化

  • 国は、求職活動等における性的言動問題に対する関心と理解を深めるため、広報・啓発活動等を行うよう努めることが定められました。
  • 事業主は、労働者の関心と理解を深めるための研修や配慮、国の施策への協力などが求められます。
  • 労働者自身も、関心と理解を深め、適切な注意を払うこと、事業主の措置に協力することが努力義務となっています。

3. 男女雇用機会均等推進者の業務拡充

  • 事業主が選任する「男女雇用機会均等推進者」の業務に、今回新たに規定された措置等が加えられ、より実効性のある推進体制が求められます。

 3.女性活躍推進法の改正

1. 基本原則への追加

 女性の職業生活における活躍推進にあたり、「女性の健康上の特性」に配慮することが新たに基本原則として明記されました。これにより、女性特有の健康課題(例:妊娠・出産・月経等)を踏まえた職場環境づくりや支援が、今後より重視されることになります。

2. 基本方針へのハラスメント対策の追加

 職場でのハラスメント(就業環境を害する言動)に起因する問題の解決を促進するため、必要な措置を基本方針に盛り込むことが義務付けられました。これにより、女性活躍推進の観点からもハラスメント対策が強化されます。

3. 認定一般事業主の認定基準の見直し

 「基準に適合する認定一般事業主」の認定基準として、事業主が講じているハラスメント対策(男女雇用機会均等法等に基づく措置)の情報を公表していることが新たに要件となりました。これにより、女性活躍推進の取組状況の透明性が高まります。

4. 特定事業主行動計画の変更手続の見直し

 国や地方公共団体等の「特定事業主」が行動計画を軽微に変更する場合、状況把握や分析等の義務が免除されるなど、手続きが一部簡素化されます。

5. 情報公表義務の拡大

 一般事業主(常時雇用する労働者が100人超)に対し、女性の職業選択に資する情報として、男女の賃金差や管理職に占める女性割合などの定期的な公表が義務付けられます。

 国や地方公共団体等の特定事業主にも、同様に職員の給与差や管理職比率の公表が求められます。これにより、賃金格差や女性管理職比率の「見える化」が進みます。

6. 有効期限の延長

 女性活躍推進法の有効期限が10年間延長され、令和18年3月31日までとなりました。これにより、長期的な取組の継続が担保されます。

7. その他

 その他、必要な規定の整備が行われています。これらの改正により、女性の健康やハラスメント対策への配慮、情報公開の強化、認定基準の厳格化など、女性がより活躍しやすい職場環境の整備が一層推進される内容となっています。

 関連の通達は次のとおりです。

ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのリーフレットです。

女性活躍推進法改正のリーフレットです。令和8年4月1日から施行されます。