令和4年度地方労働行政運営方針

労働基準法

令和4年度地方労働行政運営方針について

第1 労働行政を取り巻く情勢

 現下の労働行政の最大の課題は、長期化する新型コロナウイルス感染症への対応であるが、また同時に、少子高齢化・生産年齢人口の減少という我が国の構造的な課題がある中で、国民一人ひとりが豊かで生き生きと暮らせる社会を作るためには、成長と分配の好循環による持続可能な経済社会の実現が不可欠である。そのためには、労働生産性と労働分配率の一層の向上が必要であり、人材ニーズに柔軟に対応した人材開発、成長分野への労働移動の円滑化支援といった「人への投資」や、賃上げしやすい環境整備などに取り組むことが重要である。
 成長と分配の好循環による「新しい資本主義」の実現のためにも、労働行政が果たすべき役割は大きい。このことをしっかりと自覚し、各施策を適正かつ迅速に推進していく。

第2 新型コロナウイルス感染症の雇用への影響を踏まえた総合労働行政機関としての施策の推進

 現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は雇用にも大きな影響を与えており、雇用の安定と就業の促進等が引き続き主要な課題となっている。こうした情勢の下、都道府県労働局(以下「労働局」という。)には、四行政分野(労働基準、職業安定、雇用環境・均等、人材開発)における雇用・労働施策を総合的、一体的に運営していくことが従前以上に期待されている。

 このため、労働局は、労働局長のリーダーシップの下、雇用環境・均等部(室)が中心となって本省からの指示内容等を労働局内に共有し、労働局内外の調整を図ることで、労働基準監督署(以下「監督署」という。)及びハローワークと一体となって、雇用・労働施策を円滑に進めていく。また、各地域において総合労働行政機関としての機能を遺憾なく発揮し、地域や国民からの期待に真に応えていく。

第3 雇用維持・労働移動等に向けた支援やデジタル化への対応

1 雇用の維持・在籍型出向の取組への支援

<課題>

 新型コロナウイルス感染症の影響及びそのまん延防止措置の影響により、休業を余儀なくされた労働者の雇用の維持・継続のために対策を講じていく必要がある。また、単に休業だけでなく、一時的な在籍型出向等により、労働者のモチベーションも維持しつつ雇用を維持する対策を講じていく必要もある。

<取組>

  • 雇用調整助成金等による雇用維持の取組への支援

 雇用調整助成金により、引き続き休業のほか、教育訓練、出向を通じて雇用維持に取組む事業主を支援する。

  • 産業雇用安定助成金等による在籍型出向の取組への支援

 産業雇用安定助成金により、出向元と出向先双方の企業を一体的に支援するとともに、公益財団法人産業雇用安定センター等関係機関と連携し、在籍型出向を活用した雇用維持を促進する。

2 人手不足分野や地域間の円滑な労働移動の推進

<課題>

  新型コロナウイルス感染症の影響により、離職やシフトの減少を余儀なくされた方がいる一方で、人手不足分野での人材確保が課題となっている。人手不足分野への再就職支援や地域を越えた再就職支援、職種転換などにより、意欲・能力を活かして活躍できる環境整備等を進めることが重要である。

<取組>

  • 人材確保対策コーナーでの支援、「医療・福祉分野充足促進プロジェクト」の推進 

 医療・介護・保育分野など雇用吸収力の高い分野のマッチング支援を強化するため、ハローワークの「人材確保対策コーナー」を中心に、関係団体等と連携した人材確保支援の充実を図るとともに、「医療・福祉分野充足促進プロジェクト」を推進し、潜在求職者の積極的な掘り起こし、求人充足に向けた条件緩和指導等により、重点的なマッチング支援を実施する。

  • 地域のニーズに対応した職業訓練の推進等

 職業能力開発促進法の改正により、職業訓練に地域のニーズを反映すること等により、効果的な人材育成につなげるため、関係者による都道府県単位の協議会の仕組みが法定化される(令和4年10月1日施行)。

 これを踏まえ、各労働局が事務局となり、労使、教育訓練機関、都道府県、民間職業仲介機関等の関係者による協議会を組織し、①地域の人材ニーズに係る共通認識とそれに適した訓練コースの設定、②訓練受講者等の個別の状況を踏まえた検証・見直し、③訓練受講者に対するキャリアコンサルティングの促進や就職促進等について協議し、地域のニーズに対応した職業訓練コースの設定等を促進する。

  • 雇用と福祉の連携による、離職者への介護・障害福祉分野への就職支援 

 新型コロナウイルス感染症の影響による離職者の再就職や、介護・障害福祉分野における人材確保を支援するため、下記の取組等を実施する。

・ ハローワーク、訓練機関及び福祉人材センターの連携強化による就職支援

・ 介護・障害福祉分野訓練枠の拡充のため、訓練に職場見学・職場体験を組み込むことを要件に、訓練委託費等の上乗せ

また、就職後の職場定着に向けた取組として雇用管理改善に関する事業主への助成等を実施する。

  • 地域雇用の課題に対応し良質な雇用の実現を図る都道府県の取組等の支援

 都道府県が地域の課題に対応するため、新型コロナウイルス感染症の影響等を受けた地域雇用を再生するための事業主の事業転換や求職者のキャリアチェンジ等の取組、成長分野や人材不足分野における魅力ある雇用の確保や就職促進等の取組を行うことを支援することにより、良質な雇用の実現等を図る。

 また、「雇用対策協定」の締結を更に推進することにより、国と地方が一層連携して地域の実情に応じた雇用対策を行うとともに、希望する都道府県及び市区町村においては

 当該団体が行う業務と国が行う無料職業紹介をワンストップで一体的に実施する。

  • 都市部から地方への移住を伴う地域を越えた再就職等の支援

 東京圏及び大阪圏を中心に、ハローワークの全国ネットワークを活用して地方就職を希望する方に職業紹介や生活関連情報の提供等を一体的に行うとともに、コロナ禍において都市部を離れて地方で暮らすことへの関心が高まっていることを踏まえ、大都市圏のハローワークに専門の相談員を配置する等により、業種、職種を越えた再就職等も含めた個々のニーズに応じた支援を行う。

  • 職業能力・職場情報・職業情報等の見える化の推進

 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)及び職業情報提供サイト(日本版O-NET)を活用することにより、職業能力・職場情報・職業情報それぞれを「見える化」し、求人・求職の効果的なマッチングを図る。特に、今後、職種転換を検討する求職者に対しては、転換しようとする職業に関して理解する必要があるため、職業相談において職業情報提供サイト(日本版O-NET)などを活用し、職業理解を深める支援を行う。また、職業能力の「見える化」の観点から、ジョブ・カードの強化・活用促進を図る。

 更に、中途採用の拡大を図るため、中途採用に係る情報を公表して「見える化」し、採用者の増加や定着の促進等に取り組む事業主を助成(中途採用等支援助成金)する。

3 デジタル化の推進

<課題>

 新型コロナウイルス感染症の影響によるデジタル化の加速等により、働く人に求められるスキルの変化が想定される中、時代に応じた技術革新と産業界のニーズに合った能力開発施策を講じることにより、円滑な再就職を実現する必要がある。

 また、社会全体のデジタル化を進めるためには、まずは国・地方の行政が、自ら行う行政サービスにおいてデジタル技術やデータを活用して利用者目線に立って新たな価値を創出するデジタルトランスフォーメーションを実現する必要がある。

<取組>

  • デジタル分野における新たなスキルの習得による円滑な再就職支援

 第2回デジタル田園都市国家構想実現会議(令和3年12月28日開催)において、政府の各種施策を通じて2026年度までにデジタル人材を230万人確保することとされたところであり、公的職業訓練では、2024年度にデジタル分野の受講者数65,000人を目指すこととしている。

 デジタル分野については、一定の要件を満たしたIT分野の資格取得を目指す公的職業訓練のコースについて、訓練実施機関に対する訓練委託費等の上乗せにより、訓練コースの拡充を図る。また、デジタル分野に係る公的職業訓練の受講を推奨し、受講につなげるとともに、訓練期間中から訓練終了後までのきめ細かな伴走型支援により、デジタル分野における再就職の実現を図る。

  • ハローワークの職業紹介業務のオンライン・デジタル化の推進

 オンラインによる職業相談を実施するハローワークの拡充、就職支援セミナーのオンライン配信、マザーズハローワークの就職支援サービスのオンライン対応(モデル事業)の実施、SNSを活用した情報発信の強化等により、自宅でも求職活動ができるようサービスの向上を図る。

第4 多様な人材の活躍促進

1 女性活躍・男性の育児休業取得等の促進

<課題>

 男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、令和4年4月から段階的に施行される、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を伴う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)の改正内容について、企業に周知徹底するとともに、全ての労働者が仕事と家庭を両立しながらキャリア形成を進められるよう、仕事と家庭の両立支援の取組を促進する必要がある。

 女性の活躍推進を更に進め、誰もが働きやすい就業環境を整備するため、令和2年6月1日から施行されている(中小事業主への対象拡大については令和4年4月1日から施行)改正後の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成 27 年法律第 64 号。以下「改正女性活躍推進法」という。)について、企業に対して周知徹底を図る必要がある。

<取組>

  • 男性が育児休業を取得しやすい環境の整備に向けた企業の取組支援
    • 育児・介護休業法の周知及び履行確保

 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みである産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)の創設や、育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け等を内容とする育児・介護休業法の改正について労使に十分に理解されるよう、労使団体等と連携して周知に取り組み、施行後は着実な履行確保を図る。

 あわせて、労働者の権利侵害が疑われる事案や育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いが疑われる事案を把握した場合には、事業主に対する積極的な報告徴収・是正指導等を行う。

  • 男女とも仕事と育児を両立しやすい環境の整備に向けた企業の取組支援

 産後パパ育休制度のほか、「パパ・ママ育休プラス」や「育児目的休暇」等の男性の育児に資する制度について、あらゆる機会を捉えて周知を行う。

 また、事業主に対し、「イクメンプロジェクト」において作成する改正法に沿った企業の取組事例集や研修資料の活用を促すとともに、育休復帰支援プランに基づいて育児休業の円滑な取得、職場復帰に取り組んだ事業主に対する両立支援等助成金の活用を推進し、男女とも仕事と育児が両立できる職場環境の整備を図る。更に、新型コロナウイルスの影響による小学校等の臨時休業等により仕事を休まざるを得ない保護者である労働者を支援する助成金を支給する。

  • 仕事と介護の両立ができる職場環境整備

 地域包括支援センター等とも連携した介護休業制度等の周知を行うとともに、介護離職を予防するための企業の取組の全体像を示した「仕事と介護の両立支援対応モデル」の普及や、介護支援プランに基づいて労働者に円滑に介護休業等を取得・職場復帰させた事業主及び新型コロナウイルス感染症への対応として家族の介護をする労働者に有給の休暇を取得させた事業主に対する両立支援等助成金の活用促進を通じて、仕事と介護が両立できる職場環境整備を図る。

  • 次世代育成支援対策の推進

 次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号。以下「次世代法」という。)に基づく一般事業主行動計画の策定等については、各企業の実態に即した計画の策定を支援するとともに、労働者数101人以上の義務企業の届出等の徹底を図る。

 あわせて、「くるみん」、「プラチナくるみん」の認定基準の改正と、それに伴う新たなくるみん「トライくるみん」及び不妊治療と仕事との両立に係る「くるみんプラス」の創設について広く周知するとともに、認定の取得促進に向けた働きかけを積極的に行う。

  • マザーズハローワーク等による子育て中の女性等に対する就職支援

 子育てをしながら就職を希望する女性等を対象としたハローワークの専門窓口(マザーズハローワーク、マザーズコーナー)において、個々の求職者のニーズに応じたきめ細かな就職支援を実施するとともに、地域の子育て支援拠点や関係機関と密接に連携してアウトリーチ型の支援を強化する。また、仕事と家庭の両立ができる求人の確保等を推進する。

  • 女性活躍推進のための行動計画に基づく企業の取組支援

 令和4年4月1日より、改正女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定や情報公表の義務が常用労働者数 101 人以上の事業主に拡大されたため、新たに義務化される事業主も含め、行動計画の策定・届出・情報公表が確実に行われるよう、報告徴収等の実施により、法の着実な履行確保を図る。また、企業が行動計画や自社の女性活躍に関する情報を公表するために設けている「女性の活躍推進企業データベース」への登録を促す。

 更に、えるぼし・プラチナえるぼし認定の取得を目指す企業等に、本省で実施する「民間企業における女性活躍促進事業」の「女性活躍推進アドバイザー」による事業主への説明会やコンサルティングの活用を促すことにより、女性活躍の更なる取組を推進する。

  • 不妊治療と仕事との両立支援

 令和3年2月、次世代法に基づく行動計画策定指針(平成26年内閣府・国家公安委員会・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省告示第1号)を改正し、事業主が行動計画に盛り込むことが望ましい事項として「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」を追加、令和4年4月から適用しており、改正指針の周知を図ることにより、事業主による職場環境整備を推進する。あわせて、令和4年度よりくるみん認定等の新たな類型として創設される不妊治療と仕事との両立支援に関する認定制度の活用を促す。

 また、不妊治療のために利用できる特別休暇制度を導入した中小企業事業主に働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)を、職場環境の整備に取り組み、不妊治療のために利用可能な休暇制度や両立支援制度を労働者に利用させた中小企業事業主に対しては両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)を支給する。

 更に、「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」や「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」等による周知・啓発を行うなど、あらゆる機会を捉えて、不妊専門相談センターとも連携しつつ、不妊治療と仕事との両立に関する周知啓発や相談支援を行う。

  • 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による特別有給休暇制度導入等への取組支援

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第 113 号。以下「男女雇用機会均等法」という。)に基づく母性健康管理措置について、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえ改正された「妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成9年労働省告示第105号)の内容に沿って適切な措置が講じられるよう周知徹底等を行う。

 あわせて、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置により休業する妊娠中の女性労働者に有給の休暇を取得させる事業主に対しては、引き続き、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置に係る助成金による支援を行い、妊娠中の女性労働者が安心して休暇を取得することができる職場環境整備の推進を図る。

  • 新規学卒者等への就職支援

<課題>

 新規学卒者等の雇用の安定のため、きめ細かな就労支援や定着支援、職場情報等の見える化を促進していく必要がある。

<取組>

 第二の就職氷河期世代をつくらないよう、新規学卒者等を対象に、新卒応援ハローワーク等に配置された就職支援ナビゲーターの担当者制によるきめ細かな個別支援を実施するとともに、特に新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けた分野の専門学校生への支援を強化する。

  • 非正規雇用労働者等へのマッチングやステップアップ支援

<課題>

 新型コロナウイルス感染症の影響により、非正規雇用労働者等の方々の雇用に長期にわたる影響が生じており、早期の再就職のための就労支援を強化する必要がある。

 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第 76号。以下「パートタイム・有期雇用労働法」という。)が令和3年4月1日より中小企業等にも適用されており、引き続き雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)に向けて、非正規雇用労働者の処遇改善や人事評価制度等の整備、正社員転換を強力に推し進めていく必要がある。また、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)の一部改正部分についても令和2年4月1日に施行されており、引き続き、法の履行確保に向けて取り組む必要がある

 無期転換ルールについて、労使双方に対する認知度向上のため、制度の更なる周知が必要である。

<取組>

  • ハローワークの就職支援ナビゲーターによる求職者の状況に応じたきめ細かな担当者制支援

 非正規雇用労働者等の早期再就職を支援するため、ハローワークに就職支援ナビゲーターを配置し、担当者制により、①セミナーの受講、応募先企業の選定等今後の活動方法等についての方向付け、②担当する求職者の希望条件を丁寧に把握し、既存の求人の中からその求職者に合った求人を選定、条件に合うものがない場合は、求職者の情報を求人者に提供しつつ個別求人開拓等を実施。

 あわせて、就職活動のプロセスに複数又は深刻な課題を抱える者に対しては、①履歴書・職務経歴書の個別添削、模擬面接、②ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング、ジョブ・カードの作成支援等を実施する等体系的かつ計画的な一貫した就職支援を推進する。

  • 同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保等
    • 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、非正規雇用労働者の正社員化・処遇改善を行う企業への支援

 パートタイム・有期雇用労働法及び労働者派遣法に基づく報告徴収、指導監督等を実施することにより、法の着実な履行確保を図る。あわせて、同一労働同一賃金等に取り組む先行企業の事例の収集・周知等を実施することなどにより、非正規雇用労働者の待遇改善に係る事業主の取組機運の醸成を図る。

 また、「働き方改革推進支援センター」によるワンストップ相談窓口において、労務管理等の専門家による、業界別同一労働同一賃金マニュアル等を活用した、窓口相談や個別訪問支援、セミナーの実施等に加え、業種別団体等に対する支援を実施する等、きめ細かな支援を行う。非正規雇用労働者の正社員化(紹介予定派遣を通じた正社員化も含む)や処遇改善に取り組んだ事業主に対して、キャリアアップ助成金による支援を行う。

  • 無期転換ルールの円滑な運用

 無期転換ルールを認知していない企業や労働者が一定数存在することを踏まえて、無期転換ルールの円滑な運用のための周知徹底等を行う。

  • 求職者支援制度による再就職支援

 新型コロナウイルス感染症の影響により、やむを得ず離職した方の再就職を促進するため、就職に必要な技能及び知識を習得するための求職者支援制度の積極的な周知・広報により制度の活用を推進する。

  • フリーターへの就職支援

 フリーター(35歳未満で正社員就職を希望する求職者)を対象に、わかものハローワーク等に配置された就職支援ナビゲーターの担当者制による就職プランの作成等の就労支援、就職活動に必要な各種セミナーの開催、求職者のニーズ、能力等に応じた個別求人開拓、就職後の定着支援の実施など、きめ細かな個別支援を通じて正社員就職を支援する。

  • 離職者を試行雇用する事業主への支援

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けている離職者であって、就労経験のない職業に就くことを希望する者の安定的な早期再就職支援を図るため、一定期間試行雇用する事業主に対して、試行雇用期間中の賃金の一部を助成する(トライアル雇用助成金)。

  • 地方公共団体と連携したハローワークにおける生活困窮者等に対する就労支援

 生活保護受給者や生活困窮者等の就労による自立を促進するため、ハローワークにおいて、地方公共団体との協定等に基づき、福祉事務所・自立相談支援機関等への巡回相談や地方公共団体庁舎内へのハローワーク常設窓口の設置等により、ハローワークと地方公共団体が一体となって、早期かつきめ細かな就労支援を実施する。

4 就職氷河期世代の活躍支援

<課題>

 いわゆる就職氷河期世代は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、希望する就職ができず、現在も不本意ながら不安定な仕事に就いている、無業の状態にあるなど、様々な課題に直面している者がいる。そのため、就職氷河期世代の抱える固有の課題(希望する職業とのギャップ、実社会での経験不足等)や今後の人材ニーズを踏まえつつ、個々人の状況に応じた支援により、就職氷河期世代の活躍の場を更に広げられるよう、地域ごとに対象者を把握した上で、具体的な数値目標を立て、コロナ禍においても3年間(令和2年度~4年度)で集中的に取り組む必要がある。取組に当たっては、就職氷河期世代活躍支援都道府県プラットフォーム(以下「都道府県プラットフォーム」と

いう。)を通じて、地方公共団体や関係団体等地域一体となって進める。

<取組>

  • ハローワークの専門窓口における専門担当者のチーム制による就職相談、職業紹介、職場定着までの一貫した伴走型支援

 専門担当者によるチームを結成し、個別の支援計画に基づき、キャリアコンサルティング、生活設計面の相談、必要な能力開発施策へのあっせん、求職者の適性・能力等を踏まえた求人開拓、就職後の定着支援などを計画的かつ総合的に実施する。また、事業所が多く立地している地域で求人開拓等の取組を集中的に実施する。

  • 就職氷河期世代の失業者等を正社員で雇い入れる企業への助成金等の活用

 事業主への助成金(特定求職者雇用開発助成金)の支給により、就職氷河期世代の方の正社員としての就職を推進する。

 また、安定的な就職が困難な求職者に対し、一定期間試行雇用する事業主を助成(トライアル雇用助成金)することにより、その適性や業務遂行可能性の見極めなど、求職者と求人者の相互理解を促進し、就職氷河期世代の支援を実施する。

  • 地域若者サポートステーションを通じた継続的な支援

 就職氷河期世代も含め、就労に当たって課題を有する無業者の方々に対し、地域若者サポートステーションにおいて、地方公共団体の労働関係部局等の関係者とも連携しながら、職業的自立に向けた継続的な支援を推進する。

  • 短期間で取得でき安定就労に有効な資格等の取得支援

 「短期資格等習得コース」において、短期間で取得でき、安定就労につながる資格等の習得を支援するため、業界団体等に委託し、訓練と職場体験等を組み合わせ、正社員就職を支援する出口一体型の訓練を実施する。また、当該訓練を職業訓練受講給付金の給付対象とし、安心して受講できるよう支援する。

  • 就職氷河期世代の活躍支援のための都道府県プラットフォームを活用した支援

 官民協働で就職氷河期世代の活躍支援に取り組む「都道府県プラットフォーム」において、支援策の周知広報、企業説明会の開催等を通じ、就職氷河期世代の雇入れや正社員化等の支援に取り組むとともに、雇入れ等に係る好事例の収集・発信を実施する。

5 高齢者の就労・社会参加の促進

<課題>

 少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、我が国の経済社会の活力を維持・向上させるためには、働く意欲がある高齢者が年齢にかかわりなくその能力・経験を十分に発揮し、活躍できる社会を実現することが重要である。このため、事業主において65 歳までの雇用確保措置が適切に講じられるよう取り組むことが必要である。また、令和2年に改正された高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号。令和3年4月1日施行。)により、65歳から70歳までの就業確保措置を講じることが事業主の努力義務となったことから、事業主の取組の促進を図ることが重要である。更に、高齢者雇用に積極的に取り組む企業への支援や、65歳を超えても働くことを希望する高年齢求職者に対する再就職支援等が必要である。

<取組>

  • 70歳までの就業機会確保等に向けた環境整備や高年齢労働者の処遇改善を行う企業への支援

 70歳までの就業機会確保等に向けた環境整備を図るため、事業主と接触する機会を捉えて、65歳を超える定年引上げや継続雇用制度の導入等に向けた意識啓発・機運醸成を図るほか、60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇改善を行う企業への支援(高年齢労働者処遇改善促進助成金)を行う。

 また、高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「高障求機構」という。)において実施している65歳超雇用推進助成金や65歳超雇用推進プランナー等による支援が必要と判断される事業主を把握した場合には、高障求機構都道府県支部へ支援を要請する等、効果的な連携を行う。

  • ハローワークにおける生涯現役支援窓口などのマッチング支援

 65 歳以上の再就職支援に重点的に取り組むため、300 か所のハローワークに設置する「生涯現役支援窓口」において、高齢者のニーズ等を踏まえた職業生活の再設計に係る支援や支援チームによる効果的なマッチング支援を行うとともに、公益財団法人産業雇用安定センターにおいて実施している高年齢退職予定者のキャリア情報等を登録し、その能力の活用を希望する企業に対して紹介する「高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業」についての周知を図る等、効果的な連携を行う。

  • 高齢者の特性に配慮した安全衛生対策を行う企業への支援  高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境の実現に向けた「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)及び中小企業による高年齢労働者の安全・健康確保措置を支援するための補助金(エイジフレンドリー補助金)の周知を図る。
  • シルバー人材センターなどの地域における多様な就業機会の確保

 地域の高齢者の就業促進を図るため、地域の様々な機関が連携して高齢者等の就業を促進する「生涯現役地域づくり環境整備事業」を実施する。

 また、高齢求職者の多様な就業ニーズに対応するため、シルバー人材センターが提供可能な就業情報を定期的に把握し、臨時的かつ短期的又は軽易な就業を希望する高齢者には、シルバー人材センターへの誘導を行う。

 一方、早期に求人充足に至る可能性が低い求人を提出している事業主に対しては、シルバー人材センターで取り扱う仕事を説明し、シルバー人材センターの活用を相談・助言する。

6 障害者の就労促進

<課題>

 官民問わず障害者の雇用促進や職場定着を一層推進するほか、多様な障害・特性に対応した、適切な就労支援に取り組む必要がある。

<取組>

  • 中小企業をはじめとした障害者の雇入れ支援等 

 ハローワークと地域の関係機関が連携し、特に、障害者の雇用経験や雇用ノウハウが不足している障害者雇用ゼロ企業等に対して、採用の準備段階から採用後の職場定着まで一貫したチーム支援等を実施し、中小企業をはじめとした障害者の雇入れ支援等の強化を図る。

 労働局が委託して実施する障害者就業・生活支援センターについては、障害者の就労支援における雇用施策と福祉施策を繋ぐ機能を有しており、その役割は一層重要になっていることから、支援に係るコーディネートをより適切かつ効果的に実施するため、障害者就業・生活支援センターが行うネットワーク機能の強化を図る。

  • 精神障害者、発達障害者、難病患者等の多様な障害特性に対応した就労支援

 精神障害者、発達障害者、難病患者である求職者についてハローワークに専門の担当者を配置するなど多様な障害特性に対応した就労支援を推進する。特に、大学等における発達障害者等の増加を踏まえ就職活動に際して専門的な支援が必要な学生等に対して、大学等と連携して支援対象者の早期把握を図るとともに、就職準備から就職・職場定着までの一貫した支援を行う。

 また、障害者の職業訓練については、公共職業訓練の活用による障害者の職業能力開発の推進が図られるよう、労働局及びハローワークにおいて、都道府県等と連携のうえ、障害者の職業訓練の周知や受講勧奨等を実施し、都道府県等において、障害者職業能力開発校における職業訓練や障害者委託訓練等を実施する。

  • 障害者の雇用を促進するためのテレワークの支援

 障害者雇用に取り組む一つの選択肢としてテレワークを提案するほか、障害者をテレワークにより雇用したいと考えている事業所等に対しては、本省が委託して実施する企業向けのガイダンス及びコンサルティングに誘導することを通じて、障害者の雇用を促進するためのテレワークの推進を図る。

  • 公務部門における障害者の雇用促進・定着支援

 公務部門において雇用される障害者の雇用促進・定着支援を引き続き推進するため、ハローワーク等に職場適応支援者を配置するとともに、障害特性に応じた個別支援、障害に対する理解促進のための研修等を行う。

7 外国人に対する支援

<課題>

 外国人労働者が、安心して働き、その能力を十分に発揮する環境を確保するため、支援体制の整備を推進する必要がある。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、外国人労働者がやむを得ず離職する状況も発生している中、外国人を雇用する企業への雇用維持を含めた助言・援助のほか、多言語による相談支援や情報発信に引き続き取り組んでいく必要がある。

<取組>

  • 外国人求職者等に対する就職支援
    • 外国人留学生等に対する相談支援の実施

 ハローワークの外国人雇用サービスセンターや留学生コーナーにおいて、留学早期の意識啓発からマッチング、就職後の定着に至るまで段階に応じた支援を実施する。特に、大学と就職支援協定を締結したハローワークにおいては、当該大学と連携し、外国人留学生の国内就職推進に向け一貫した支援を実施する。

  • 定住外国人等に対する相談支援の実施定住外国人等が多く所在する地域のハローワーク(外国人雇用サービスコーナー)において、専門相談員による職業相談や、個々の外国人の特性に応じた求人開拓のほか、外国人を支援するNPO法人等との連携強化により、早期再就職支援及び安定的な就労の確保に向けた支援を実施する。
  • 外国人就労・定着支援事業の実施

 日系人等の定住外国人について、日本の職場におけるコミュニケーション能力の向上やビジネスマナー等に関する知識の習得を通じ、安定的な就職と職場への定着が可能となるよう、受託事業者と連携の上、事業参加者に対する就職支援等を実施する。

  • ハローワーク等における多言語相談支援体制の整備

 地域の実情を踏まえ、職業相談窓口に適正に通訳員を配置するとともに、電話や映像を用いた通訳・多言語音声翻訳機器等の活用や、外国人求職者への多言語による情報発信等により、多言語による相談支援体制の整備を図る。

  • 外国人労働者の適正な雇用管理に関する助言・援助等の実施、外国人労働者の雇用管理改善に取り組む企業への支援

 外国人労働者に対する適正な雇用管理の確保を図るため、事業所訪問等による雇用管理状況の確認、改善のための助言・援助等を行うとともに、雇用維持のための相談・支援等についても積極的に実施する。

 また、外国人が自らの労働条件等を十分に理解し、適正な待遇の下で就労を継続し、その能力を発揮できるよう、外国人を雇用する事業主の雇用管理改善の取組に対する助成

(人材確保等支援助成金)を行う。

  • 外国人労働者の労働条件等の相談・支援体制の整備

 地域の実情に即し、外国語で対応できる相談員を労働局や監督署に配置することで、全国で合計 13 言語に及ぶ外国人労働者向け多言語労働相談体制の整備を図るとともに、外国人労働者が容易に理解できる労働安全衛生に関する視聴覚教材等の周知により、労働災害防止対策を推進する。

第5 誰もが働きやすい職場づくり

1 柔軟な働き方がしやすい環境整備

<課題>

 感染防止のため、いわゆる「3つの「密」」を避け、極力非接触・非対面とする新たな生活様式は、働き方を大きく変えつつある。ウィズコロナ・ポストコロナの「新しい働き方」としてテレワークが広がる中、情報通信技術を活用した働き方は、雇用に限らず拡大しており、雇用によらない働き方や、副業・兼業での働き方が広がる可能性がある。

 雇用型テレワークについては、使用者が適切に労務管理を行い、労働者が安心して働くことができる「良質なテレワーク」の導入・実施を進めていくことが必要である。このため、令和3年3月に「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を改定し、テレワークの導入・実施に当たり、労使双方が留意すべき点、望ましい取組などを明らかにしたところである。また、テレワークの導入を検討する企業に対し、テレワーク相談センターにおいて相談対応や情報提供等を行うとともに、中小企業事業主に対し、通信機器の導入経費等を助成する「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」を令和3年度から創設したところであり、これらの取組を通じ、良質なテレワークの定着促進を図る必要がある。

 フリーランスについては、「成長戦略実行計画」(令和2年7月17日閣議決定)を踏まえ、関係省庁と連携し、事業者とフリーランスとの取引について、独占禁止法や労働関係法令等の適用関係等を明確化した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を令和3年3月に策定した。また、「規制改革実施計画」(令和2年7月17日閣議決定)を踏まえ、関係省庁と連携し、フリーランスと発注者の間にトラブル等が生じた際にワンストップで相談できる相談窓口「フリーランス・トラブル110番」を令和2年11月に設置したところであり、フリーランスの方が安心して働ける環境を整備するため、本ガイドライン及び相談窓口の周知を図る必要がある。

 また、副業・兼業については、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)において、複数の事業所で働く方の保護等の観点や副業・兼業を普及促進させる観点から、労働時間管理及び健康管理の在り方等について検討することとされていた。これを踏まえ、労働政策審議会労働条件分科会及び安全衛生分科会において検討を行い、令和2年9月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成 30 年1月策定)を改定して、副業・兼業の場合における労働時間管理及び健康管理についてルールを明確化したところであり、また、同日に複数就業者のセーフティーネットの整備に係る改正労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)が施行された。

 労働者が健康を確保しながら安心して副業・兼業を行うことができるよう、本ガイドラインの周知を図ることが必要である。

 更に、選択的週休3日制度については、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)等を踏まえ、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る必要がある。

<取組>

  • 良質なテレワークの導入・定着促進雇用型テレワークについて、適正な労務管理下における良質なテレワークの定着促進を図るため、引き続き、様々な機会を捉え、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」の周知を行うとともに、令和3年度の補正予算(制度要求)により対象事業主・助成対象経費の見直しを行った「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」を中小企業事業主に最大限活用していただくよう、周知を図っていく。

 また、従来のテレワーク相談センターにおける相談対応等については、令和4年度から、総務省と連携して、「テレワーク・ワンストップ・サポート事業」において、テレワークを導入しようとする企業等に対し、労務管理やICT(情報通信技術)などの課題についてワンストップでの総合的な相談支援を行う拠点として、テレワーク相談センターを設置することとしており、テレワークの導入や働き方の見直しについて相談があった企業等に対し、テレワーク相談センターの紹介や、同センターで開催するセミナーの周知や参加等の働きかけを行うなど、テレワーク相談センターとの間で緊密な連携を図る。

  • フリーランスと発注者との契約のトラブル等に関する関係省庁と連携した相談支援フリーランスの方から発注者等との契約等のトラブルについての相談があった際には、

 「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を踏まえ、「フリーランス・トラブル 110 番」を紹介するなど適切に対応する。また、当該ガイドラインでは、フリーランスとして業務を行っていても、労働基準法等における労働者に該当する場合には、労働関係法令が適用されることを明確化したところであり、請負契約等のフリーランスの契約名称にかかわらず、その労働実態から労働基準法等の労働者に該当する場合には、引き続き必要な保護を図る。また、総合労働相談コーナーにおいては、同ガイドラインを踏まえ、適切に相談対応を行うとともに、相談内容から労働基準法等の法律に違反する疑いがある場合は、労働局又は監督署の担当部署と調整の上、担当部署に取次ぎを行う。

  • 副業・兼業を行う労働者の健康確保に取り組む企業等への支援等

 事業者による副業・兼業を行う労働者の健康確保に向けた取組が進むよう、一般健康診断等による健康確保に取り組む企業に対する助成金(副業・兼業労働者の健康診断助成金)等の支援事業を周知する。

 また、自身の能力を一企業にとらわれずに幅広く発揮したいなどの希望を持つ労働者が、希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境の整備に向けて、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」等について、わかりやすい解説パンフレットを活用した周知等を行う。

  • ワーク・ライフ・バランスを促進する休暇制度・就業形態の導入支援による多様な働き方の普及・促進

 選択的週休3日制度も含め、働き方・休み方改革に取り組んでいる企業の好事例の紹介を行うとともに、多様な正社員(勤務時間限定正社員、勤務地限定正社員、職務限定正社員)制度について、事例の提供等による更なる周知等を行う。

2 安全で健康に働くことができる環境づくり

<課題>

 新型コロナウイルス感染症の職場における感染防止対策に取り組む必要がある。

 中小企業・小規模事業者等が生産性を高めつつ労働時間の短縮等に向けた具体的な取組を行い、働き方改革を実現することができるよう、中小企業・小規模事業者等に寄り添った相談・支援を推進することが重要である。

 また、多様な働き方が広がる中、ワーク・ライフ・バランスを推進するため、最低基準である労働基準法(昭和22年法律第49号)等の履行確保を図ることに加え、労使の自主的な取組を促進させることが重要である。

 更に、第13次労働災害防止計画の目標(2017年と比較して、2022年までに、死亡災害を15%以上減少、死傷災害を5%以上減少)達成に向けて、重点業種を中心として労働災害防止の取組を推進するとともに、高年齢労働者や外国人労働者の増加などの就業構造の変化や転倒、腰痛、熱中症など業種横断的に多発している災害の発生状況を踏まえた対策に取り組むことが重要である。働き方改革関連法に盛り込まれた、産業医・産業保健機能の強化や長時間労働者に対する面接指導の強化、今後石綿使用建築物の解体工事の増加が見込まれている中で、石綿ばく露防止対策等に取り組む必要がある。

 労災保険給付の状況については、近年、新規受給者数が増加傾向にあることに加え、複雑困難事案のうち過労死等事案、石綿関連事案に係る労災請求件数も依然として高い水準で推移している。更に、新型コロナウイルス感染症に係る労災保険給付への対応も求められている。このような状況の中で、被災労働者の迅速な保護を図るために、迅速かつ公正な事務処理に努める必要がある。

 職場におけるハラスメントは、労働者の尊厳を傷つける、あってはならないことであり、働く人の能力の発揮の妨げになる。このため、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号。以下「労働施策総合推進法」という。)、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法に基づくパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント及び妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止措置義務の履行確保を徹底する等、職場におけるハラスメント対策を総合的に推進する必要がある。

<取組>

  • 職場における感染防止対策等の推進労働局に設置した「職場における新型コロナウイルス感染拡大防止対策相談コーナー」における事業者や労働者からの職場での新型コロナウイルス感染拡大防止に係る相談に対して丁寧な対応を行うとともに、「取組の5つのポイント」や「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」等を活用した職場における感染拡大防止対策について、取組を推進する。

 また、高年齢労働者の感染防止対策等を推進するため、社会福祉施設など利用者等と密に接する業務を簡素化するための設備的対策に要する経費の補助金(エイジフレンドリー補助金)を周知する。

  • 長時間労働の抑制
    • 生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む事業者等の支援

 生産性を高めながら労働時間の短縮等に取り組む中小企業・小規模事業者に対して助成(働き方改革推進支援助成金)を行うとともに、働き方・休み方改善ポータルサイトを通じた企業の改善策の提供と好事例の紹介、働き方・休み方改善コンサルタントによる専門的な助言・指導等を行う。また、労働局が委託して実施する「働き方改革推進支援センター」によるワンストップ相談窓口において、関係機関や本省が実施する委託事業と連携を図りつつ、窓口相談や個別訪問支援、セミナーの実施等に加え、業種別団体等に対する支援を実施する等、きめ細かな支援を行う。

 全ての監督署に編成した「労働時間改善指導・援助チーム」のうち「労働時間相談・支援班」において、説明会の開催や中小規模の事業場への個別訪問により、平成 31 年4月1日から順次施行された改正労働基準法等の周知や、テレワーク等の新しい働き方に対応した適切な労務管理の支援等を中心としたきめ細かな相談・支援等を行う。

  • 自動車運送業、建設業、情報サービス業における勤務環境の改善

 自動車運送業については、生産性向上を図りながら労働時間短縮に取り組むための助成金(働き方改革推進支援助成金)の活用を促進するとともに労働者の運転免許取得のための職業訓練等の支援を行う。また、トラック運送業については、荷主に対し、適正取引を促すために「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」の周知等を行う。

 建設業については、生産性向上を図りながら労働時間短縮に取り組むための助成金(働き方改革推進支援助成金)の活用や建設労働者の処遇改善のための建設キャリアアップシステム等の普及を推進するなど、長時間労働の抑制、人材確保、安全衛生対策の推進等に向けた支援を行う。

 情報サービス業(IT業界)については、地域レベルで発注者・受注者等が連携しながら働き方改革を推進するモデルを形成し、その過程や成果を他の地域等に周知、展開するなど、長時間労働の抑制に向けた取組を行う。

  • 勤務間インターバル制度の導入促進

 勤務間インターバル制度について、導入マニュアルや中小企業が活用できる働き方改革推進支援助成金を活用して、長時間労働が懸念される企業等への導入促進を図る。

  • 長時間労働の抑制に向けた監督指導体制の強化等

 長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害を防止するため、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場及び長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を引き続き実施する。

 また、過労死等の防止のための対策については、過労死等防止対策推進法(平成26 年法律第100号)及び同法に基づき定めた「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和3年7月30日閣議決定)並びに「過労死等の防止のための対策に関する大綱の変更について」(令和3年7月30日付基発0730第1号)により、労働行政機関等における対策とともに、民間団体の活動に対する支援等の対策を効果的に推進する。

  • 長時間労働につながる取引環境の見直し

 大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止については、11 月の「しわ寄せ防止キャンペーン月間」に、集中的な周知啓発を行うなど、引き続き、「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への『しわ寄せ』防止のための総合対策」に基づき、関係省庁と連携を図りつつ、その防止に努める。

 働き方改革の推進に向けた中小企業における労働条件の確保・改善のため、監督指導の結果、下請中小企業等の労働基準関係法令違反の背景に、親事業者等の下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)等の違反が疑われる場合には、中小企業庁、公正取引委員会及び国土交通省に確実に通報する。

  • 年次有給休暇の取得促進等による休み方改革の推進

 年次有給休暇の取得促進に向けて、年次有給休暇の時季指定義務の周知徹底や、時間単位年次有給休暇の導入促進を行うとともに、10 月の「年次有給休暇取得促進期間」や、年次有給休暇を取得しやすい時季に集中的な広報を行う。

 また、地域のイベントや学校休業日の分散化(キッズウィーク)に合わせて年次有給休暇が取得できるよう取り組むとともに、病気休暇、ボランティア休暇等の特別休暇についても、企業への導入を図る。

  • 労働施策総合推進法に基づく協議会等について

 労働施策総合推進法に基づく協議会は、中小企業・小規模事業者の働き方改革が円滑に進むよう、また、地方版政労使会議は、地域における若者や非正規雇用労働者等の労働環境や処遇の改善等に向けた機運が高まるよう、地域の政労使の代表者の協力を得て、それぞれの会議体を開催する。

  • 労働条件の確保・改善対策
    • 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業に対する適切な労務管理に関する啓発指導等の実施

 新型コロナウイルス感染症の影響による大量整理解雇等に関する情報収集及び関係部局間での情報共有に努め、関係部局と連携を図り、適切な労務管理がなされるよう啓発指導を実施する。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響による企業活動の縮小等に伴う相談がなされた場合には、「新型コロナウイルスに関するQ&A」や各種支援策のパンフレット等を活用し、適切に対応する。

 更に、新型コロナウイルス感染症の影響による企業倒産に伴い賃金の支払を受けられないまま退職した労働者の救済を図るため、不正受給防止に留意しつつ、未払賃金立替払制度を迅速かつ適正に運用する。

  • 法定労働条件の確保等

 管内の実情を踏まえつつ、事業場における基本的労働条件の枠組み及び管理体制の確立を図らせ、これを定着させることが重要であり、労働基準関係法令の遵守の徹底を図るとともに、重大・悪質な事案に対しては、司法処分も含め厳正に対処する。

 また、中小企業等が賃上げの原資を確保できるよう、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に基づき、政府一体となって取組を進めることとされているところであり、労働局及び監督署においても、最低賃金・賃金支払の徹底と賃金引上げに向けた環境整備等の取組を行うとともに、労使において賃金の引上げを行うとの取決めを行ったにもかかわらず、度重なる指導にもかかわらず法違反を是正しない事業場、法違反を繰り返す事業場など悪質性が認められるものに対しては、司法処分も含め厳正に対処する。

 更に、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の周知を徹底し、監督指導において同ガイドラインに基づいて労働時間管理が行われているか確認し、賃金不払残業が認められた場合には、その是正を指導する。

 加えて、平日夜間、土日・祝日に実施している「労働条件相談ほっとライン」に寄せられた情報や、インターネット情報監視により収集された情報に基づき、必要に応じて監督指導を実施する。更に、労働条件に関する悩みの解消に役立つポータルサイト「確かめよう労働条件」の活用を促進するとともに、同ポータルサイトで案内している高校生・大学生等に対する労働法教育に係るセミナーや、高校・大学の教員等に対する労働法の教え方に関するセミナー及び指導者用資料について周知を行う。

  • 特定の労働分野における労働条件確保対策の推進

 外国人労働者、自動車運転者、障害者である労働者及び介護労働者の法定労働条件を確保するため、関係機関とも連携し、労働基準関係法令の周知等を図るとともに、労働基準関係法令違反の疑いがある事業場に対する監督指導などを実施する。

 特に外国人労働者、自動車運転者及び障害者である労働者については、以下の重点的な取組を行う。

  • 外国人労働者

 技能実習生等の外国人労働者については、労働基準関係法令違反の疑いがある事業場に対して重点的に監督指導を実施し、重大・悪質な労働基準関係法令違反が認められる事案に対しては、司法処分を含め厳正に対処する。また、出入国在留管理機関及び外国人技能実習機構との相互通報制度を確実に運用する。

 特に、技能実習生に対する労働搾取目的の人身取引が疑われる事案については、「人身取引取締りマニュアル」を参考にしつつ、外国人技能実習機構との合同監督・調査や関係機関との連携を着実に実施し、労働基準関係法令違反が認められ、悪質性が認められるもの等については、司法処分を含め厳正に対処する。

  • 自動車運転者

 自動車運転者については、違法な長時間労働等が疑われる事業場に対し的確に監督指導を実施するなどの対応を行う。また、地方運輸機関と連携し、相互通報制度を確実に運用するとともに、地方運輸機関と協議の上、合同監督・監査を行う。

 加えて、タクシー運転者の賃金制度のうち、累進歩合制度の廃止に係る指導等について、徹底を図る。

  • 障害者である労働者

 障害者虐待防止の観点も含め、障害者である労働者の法定労働条件の履行確保を図るため、関係機関との連携を深め、積極的な情報の共有を行うとともに、障害者である労働者を使用する事業主に対する啓発・指導に努め、問題事案の発生防止及び早期是正を図る。

  • 「労災かくし」の排除に係る対策の一層の推進「労災かくし」の排除を期すため、その防止に向けた周知・啓発を図るとともに、引き続き、労災補償担当部署と監督・安全衛生担当部署間で連携を図りつつ、事案の把握及び調査を行い、「労災かくし」が明らかになった場合には、司法処分を含め厳正に対処する。
  • 各種権限の公正かつ斉一的な行使の徹底

 地方労働基準監察監督官制度の的確な運用等により、行政指導の適正な実施とその水準の維持・向上を図るとともに、監督権限をはじめとする各種権限の公正かつ斉一的な行使を確保する。

 また、監督指導において法違反が認められた場合には、事業主にその内容や是正の必要性を分かりやすく説明することにより、事業主による自主的な改善を促すとともに、きめ細かな情報提供や具体的な是正・改善に向けた取組方法を助言するなど、丁寧かつ具体的に対応する。特に、中小企業の事業場への監督指導に当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材確保の状況、取引の実態その他の事情を十分に聴いた上で、その事情を踏まえて丁寧に対応する。

  • 社会保険労務士制度の適切な運営

 社会保険労務士の不正事案を把握した場合には、懲戒処分の適正かつ厳格な実施のため、関係者に対し事実関係の聴取を確実に実施すること等により適切な調査を実施する。

(4)労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備

① 第13次労働災害防止計画重点業種等の労働災害防止対策の推進

 小売業や介護施設を中心に増加傾向にある「転倒」及び腰痛等の「動作の反動・無理な動作」など、職場における労働者の作業行動を起因とする労働災害(行動災害)への対策については、管内のリーディングカンパニー等を構成員とする協議会の設置・運営、企業における自主的な安全衛生活動の導入を支援する取組等により、管内全体の安全衛生に対する機運情勢を図る。

 陸上貨物運送事業については、荷役作業の安全対策ガイドラインに基づく取組の促進を図る。

 建設業については、墜落・転落災害防止対策など建設工事における労働災害防止対策の促進を図る。

 製造業については、機械災害の防止のため、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」及び「機械の包括的な安全基準に関する指針」に基づき、製造時及び使用時のリスクアセスメント、残留リスクの情報提供の確実な実施を促進する。

 林業については、「チェーンソーによる伐採作業等の安全に関するガイドライン」に係る安全対策など林業における労働災害防止対策の促進を図る。

  • 高齢者の特性に配慮した安全衛生対策を行う企業への支援

 高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境の実現に向けた「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)及び中小企業による高年齢労働者の安全・健康確保措置を支援するための補助金(エイジフレンドリー補助金)の周知を図る。

  • 産業保健活動、メンタルヘルス対策の推進

 長時間労働やメンタルヘルス不調などにより、健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないようにするため、長時間労働者に対する医師による面接指導やストレスチェック制度をはじめとするメンタルヘルス対策などの取組が各事業場で適切に実施されるよう、引き続き指導等を行う。

 また、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づく事業場における健康保持増進への取組が進むよう、その好事例や取組方法等を示す手引きや労働者の健康保持増進に取り組む企業に対する、(独)労働者健康安全機構による事業場における労働者の健康保持増進計画助成金等を周知する。この際、医療保険者から定期健康診断に関する記録の写しの提供の求めがあった場合に、事業者は、当該記録の写しを医療保険者に提供する必要があることについても周知を行うこと。

 更に、中小企業・小規模事業者の産業保健活動を支援するため、産業保健総合支援センター(以下「産保センター」という。)が行う産業医等の産業保健関係者や事業者向けの研修のほか、産保センターの地域窓口(地域産業保健センター)による小規模事業場への医師等の訪問支援、(独)労働者健康安全機構によるストレスチェック助成金等について周知する。

  • 新たな化学物質規制の周知、石綿ばく露防止対策の徹底

 「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書」を踏まえ現在検討中の新たな化学物質規制に係る労働安全衛生関係法令について、その円滑な実施のため周知を図る。

 金属アーク溶接等作業で発生する溶接ヒュームのばく露防止対策をはじめ改正特定化学物質障害予防規則の周知指導を行うとともに、フィットテストの円滑な施行に向けた支援等を行う。

 建築物等の解体・改修作業に従事する労働者の石綿ばく露を防止するため、令和2年7月に改正された石綿障害予防規則に基づく措置として、建築物石綿含有建材調査者講習の受講勧奨、石綿事前調査結果報告システムによる事前調査結果等の報告や石綿除去等作業時におけるばく露防止措置の徹底、及びリフォーム等も含む発注者への制度の周知を図る。

 更に、本年1月19日から施行された建設アスベスト給付金制度の周知啓発を図るとともに、懇切丁寧な相談支援を行う。

(5)労災保険給付の迅速・適正な処理

 労災保険給付の請求については、標準処理期間内に完結する迅速な事務処理を行うとともに、認定基準等に基づいた適正な認定に万全を期する。

 特に社会的関心が高い過労死等事案をはじめとする複雑事案は、認定基準等に基づき、迅速・適正な事務処理を一層推進する。

 また、業務に起因して新型コロナウイルス感染症に感染したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象となること等について積極的に周知を行う。

 更に、労災保険の窓口業務については、引き続き、相談者等に対する丁寧な説明や請求人に対する処理状況の連絡等の実施を徹底する。

 また、労災保険の特別加入については、令和3年9月より、自転車を使用して行う貨物の運送の事業及びITフリーランスを対象業種として追加したところであり、引き続き、適正な運用を行う。

 なお、新型コロナウイルス感染症に関する保険給付の額をメリット収支率に反映させない措置を講じることから、適正な運用を行う。

(6)総合的なハラスメント対策の推進

  • 職場におけるハラスメント等に関する雇用管理上の防止措置義務の履行確保

 令和4年4月1日より、中小企業においてもパワーハラスメント防止措置が義務化されたことを踏まえ、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等職場におけるハラスメント防止措置を講じていない事業主に対し厳正な指導を実施すること等により法の履行確保を図る。

 また、適切なハラスメント防止措置が講じられるよう、事業主に対して、本省で委託するハラスメント相談窓口担当者等向け研修事業やウェブサイト「あかるい職場応援団」の各種ツールの活用を促すための周知を行う。

  • 就職活動中の学生等に対するハラスメント対策等の推進

 就職活動中の学生等に対するハラスメントについては、事業主に対して、ハラスメント防止指針に基づく「望ましい取組」の周知徹底を図り、自主的な取組を促す。

 また、学生等に対しては、相談先等を記載したリーフレット(チラシ)を活用し、学生等が一人で悩むことがないよう支援しつつ、学生からの相談等により事案を把握した場合は、事業主に対して適切な対応を求める。

  • 職場におけるハラスメント等への周知啓発の実施及びカスタマーハラスメント対策等の推進

 職場におけるハラスメントの撲滅に向け、12 月の「ハラスメント撲滅月間」を活用し、事業主等への周知啓発を実施する。また、カスタマーハラスメントの防止対策を推進するため、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルを活用して、企業の取組を促す。

3 最低賃金・賃金の引上げに向けた生産性向上等の推進

<課題>

 最低賃金については、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)においても、より早期に全国加重平均 1,000 円とすることを目指すとされており、生産性向上等に取り組む中小企業・小規模事業者への支援強化、下請取引の適正化、金融支援等、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境の整備に一層取り組むことが不可欠である。

<取組>

  • 最低賃金・賃金の引上げに向けた生産性向上等に取り組む企業への支援  

 最低賃金・賃金の引上げには、特に中小企業・小規模事業者の生産性向上が不可欠であり、業務改善助成金の充実により、業務改善や生産性向上に係る企業のニーズに応え、賃金引上げを支援する。

 また、日本政策金融公庫による働き方改革推進支援資金についてもあわせて活用するよう、引き続き周知を図る。

 更に、労働局が委託して実施する「働き方改革推進支援センター」によるワンストップ相談窓口において、生産性向上等に取り組む事業者等に対して支援を行う。

  • 最低賃金制度の適切な運営

 経済動向、地域の実情(新型コロナウイルス感染症による影響を含む。)及びこれまでの地方最低賃金審議会の審議状況などを踏まえつつ、本省賃金課と連携を図りながら、充実した審議が尽くせるよう地方最低賃金審議会の円滑な運営を図る。

 また、最低賃金額の改定等については、使用者団体、労働者団体及び地方公共団体等の協力を得て、使用者・労働者等に周知徹底を図るとともに、最低賃金の履行確保上問題があると考えられる業種等を重点とした監督指導等を行う。

4 治療と仕事の両立支援

<課題>

 疾病を抱える労働者が治療を行いながら仕事を継続することができるよう、平成29年3月に決定された働き方改革実行計画に基づき、企業の意識改革や企業と医療機関の連携強化、労働者の疾病の治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みの整備等に着実に取り組む必要がある。

 また、がん等の疾病により、長期にわたる治療を受けながら就労を希望する者に対する支援が社会的課題となってきていること等も踏まえ、がん患者等に対する就労支援を推進する必要がある。

<取組>

  • 治療と仕事の両立支援に関する取組の促進
    • ガイドライン等の周知啓発

 産保センターと連携して、あらゆる機会を捉え、平成31年3月に改訂した「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」及び「企業・医療機関連携マニュアル」を周知する。

 また、治療と仕事の両立支援に取り組む企業に対する助成金制度(治療と仕事の両立支援助成金)について、周知や利用勧奨を行う。

  • 地域両立支援推進チームの運営

 労働局に設置する「地域両立支援推進チーム」において取組に関する計画を策定し、両立支援に係る関係者(都道府県衛生主管部局、医療機関、企業、労使団体、産保センター、労災病院等)の取組を相互に周知協力する等により、地域の両立支援に係る取組の効果的な連携と一層の促進を図る。

  • トライアングル型サポート体制の構築

 主治医、会社・産業医と患者に寄り添う両立支援コーディネーターのトライアングル型のサポート体制を推進する。そのため、地域両立支援推進チーム等を通じて地域の関係者に両立支援コーディネーターの役割についての理解の普及を図るとともに、(独)労働者健康安全機構で開催する養成研修の周知・受講勧奨を図る。

 また、ハローワークとがん診療連携拠点病院等が連携し、がん患者等に対する就労支援を引き続き実施する。

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