令和6年度地方労働行政運営方針

労働基準法

 第1 労働行政を取り巻く情勢

 我が国は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少という構造的な課題に直面する中、足下では、急激な物価上昇に対して賃金の上昇が追いついていない状況にある。

 成長と分配の好循環による、物価上昇を上回る持続的な賃上げの実現に向けて、三位一体の労働市場改革の推進や人材確保支援に取り組むとともに、多様な働き方を支えるセーフティネットの構築や労働者の主体的なキャリア形成支援、男女ともに育児に関わることのできる環境の整備等に取り組むことが重要である。

    1.  第1 労働行政を取り巻く情勢
  1. 第2 現下の経済状況を踏まえた総合労働行政機関としての施策の推進 
  2. 第3 最低賃金・賃金の引上げに向けた支援、非正規雇用労働者の処遇改善等
    1. 1 最低賃金・賃金の引上げに向けた中小・小規模企業等支援、非正規雇用労働者の正規化促進、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保   
      1. (1) 全国加重平均で1,004円となった最低賃金の引上げに向けた環境整備を図るための、事業場内最低賃金の引上げを図る中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けた支援の強化   
      2. (2)最低賃金制度の適切な運営 
      3. (3)同一労働同一賃金の遵守の徹底  
      4. (4)非正規雇用労働者の処遇改善・正社員化を行う企業への支援 
      5. (5)ステップアップを目指す非正規雇用労働者等に対する求職者支援制度による支援  
      6. (6)無期転換ルール等の円滑な運用に向けた周知 
      7. (7)「資金移動業者の口座への賃金支払」に関する周知及び指導について  
  3. 第4 リ・スキリング、労働移動の円滑化等の推進
    1. 1 リ・スキリングによる能力向上支援
      1. (1)指定された教育訓練を修了した場合の費用の一部支給による経済社会の変化に対応した労働者個々人の学び・学び直しの支援 
      2. (2)在職時からの継続的な支援を行うキャリア形成・リスキリング推進事業等の実施  
      3. (3)公的職業訓練のデジタル分野の重点化や訓練修了生等への「実践の場」の提供によるデジタル推進人材の育成 
      4. (4)労働者の主体的なリ・スキリングを支援する中小企業への賃金助成の拡充等による企業における人材育成の推進 
      5. (4)スキルアップを目的とした在籍型出向の推進等   
      6. (5)雇用調整助成金の見直し等への対応 
    2. 2 個々の企業の実態に応じた職務給の導入・配偶者手当の見直し促進   
      1. (1) 職務給等に関する調査研究及びその導入や配偶者手当見直し促進に向けた周知・広報 
    3. 3 成長分野等への労働移動の円滑化
      1. (1)成長分野の業務や、一定の技能を必要とする未経験分野への就職を希望する就職困難者を雇い入れる事業主への支援による成長分野への労働移動の円滑化 
      2. (2)職業情報及び職場情報の収集・提供による求職者と企業のマッチング機能の強化、オンラインの活用によるハローワークの利便性向上 
      3. (3)民間人材サービス事業者への指導監督の徹底 
      4. (4)地域雇用の課題に対応する地方公共団体等の取組の支援 
      5. (5)都市部から地方への移住を伴う地域を越えた再就職等の支援 
      6. (6)賃金上昇を伴う労働移動の支援 
    4. 4 中小企業等に対する人材確保の支援
      1. (1)ハローワークにおける求人充足サービスの充実 
      2. (2)人材確保対策コーナー等における人材確保支援 
      3. (3)医療・介護・保育分野の職業紹介への対応 
  4. 第5 多様な人材の活躍と魅力ある職場づくり
    1. 1 フリーランスの就業環境の整備     
      1. (1)フリーランス・事業者間取引適正化等法の周知啓発、同法の執行体制や相談体制の充実 
    2. 2 仕事と育児・介護の両立支援         
      1. (1)育児・介護休業法の周知及び履行仕事と育児・介護の両立支援のため、業務代替整備・柔軟な働き方の導入等も含めた支援の拡充 確保
        1.  ①確保
        2. ②男女とも仕事と育児を両立しやすい環境の整備に向けた企業の取組支援
        3. ③仕事と介護の両立ができる職場環境整備
        4. ④次世代育成支援対策の推進
      2. (2)子育て中の女性の支援に取り組むNPO等へのアウトリーチ型支援の推進などマザーズハローワークにおける就職支援の強化   
      3. (3)不妊治療と仕事との両立 
    3. 3 ハラスメント防止対策、働く環境改善等支援、女性活躍推進  
        1. ①相談支援を含む総合的なハラスメント防止対策の推進 
        2. ②就職活動中の学生等に対するハラスメント対策等の推進
        3. ③職場におけるハラスメント等への周知啓発の実施及びカスタマーハラスメント対策等の推進
      1. (2)働く人のワークエンゲージメントの向上に向けた支援  
      2. (3)民間企業における女性活躍促進のための支援 
        1. ①民間企業における女性活躍促進
        2. ②働く女性の健康管理について
    4. 4 安全で健康に働くことができる環境づくり   
      1. (1)長時間労働の抑制   
        1. ①長時間労働の抑制に向けた監督指導の徹底等
        2. ②中小企業・小規模事業者等に対する支援
        3. ③令和6年度適用開始業務等への労働時間短縮に向けた支援
        4. ④ 長時間労働につながる取引環境の見直し  
      2. (2)労働条件の確保・改善対策  
        1. ①法定労働条件の確保等 
        2. ②裁量労働制の適正な運用 
        3. ③労働契約関係の明確化
        4. ④特定の労働分野における労働条件確保対策の推進
          1. ア 外国人労働者
          2. イ 自動車運転者
          3. ウ 障害者である労働者
        5. ⑤「労災かくし」の排除に係る対策の一層の推進  
        6. ⑥各種権限の公正かつ斉一的な行使の徹底 
        7. ⑦社会保険労務士制度の適切な運営 
        8. ⑧家事使用人への対応   
      3. (3)14 次防を踏まえた労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備 
        1. ①事業者が自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発 
        2. ②労働者(中高年齢の女性を中心に)の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進
        3. ③高年齢労働者、外国人労働者等の労働災害防止対策の推進 
        4. ④個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
        5. ⑤業種別の労働災害防止対策の推進
        6. ⑥労働者の健康確保対策の推進 
          1. ア メンタルヘルス対策及び過重労働対策等
          2. イ 産業保健活動の推進
        7. ⑦な化学物質規制の周知、石綿ばく露防止対策の徹底 
      4. (4)労災保険給付の迅速・適正な処理 
    5. 5 多様な働き方、働き方・休み方改革 
      1. (1)「多様な正社員」制度に係る導入支援等の実施 
      2. (2)適正な労務管理下におけるテレワークの推進 
      3. (3)勤務間インターバル制度導入促進のための支援の実施 
      4. (4)年次有給休暇の取得促進に向けた働き方等の見直し及び選択的週休3日制の普及促進のための支援等の実施 
  5. (5)労働施策総合推進法に基づく協議会等について 
    1. 6 多様な人材の就労・社会参加の促進
      1. (1)高齢者の就労による社会参加の促進、高齢者が安心して安全に働くための職場環境の整備等 
        1. ①70 歳までの就業機会確保等に向けた環境整備や高年齢労働者の処遇改善を行う企業への支援
        2. ②ハローワークにおける生涯現役支援窓口などのマッチング支援
        3. ③シルバー人材センターなどの地域における多様な就業機会の確保
        4. ④高年齢労働者の労働災害防止対策の推進
      2. (2)障害者の就労促進 
        1. ①中小企業をはじめとした障害者の雇入れ等の支援
        2. ②改正障害者雇用促進法の円滑な施行
        3. ③精神障害者、発達障害者、難病患者等の多様な障害特性に対応した就労支援 
        4. ④障害者の雇用を促進するためのテレワークの支援
        5. ⑤公務部門における障害者の雇用促進・定着支援
      3. (3)外国人求職者等への就職支援、企業での外国人労働者の適正な雇用管理の推進 
        1. ①外国人求職者等に対する就職支援
          1. ア 外国人留学生等に対する相談支援の実施
          2. イ 定住外国人等に対する相談支援の実施
          3. ウ 外国人就労・定着支援事業の実施
        2. ②ハローワーク等における多言語相談支援体制の整備
        3. ③外国人労働者の適正な雇用管理に関する助言・援助等の実施
        4. ④外国人雇用労働実態調査の実施
        5. ⑤外国人労働者の労働条件等の相談・支援体制の整備
        6. ⑥外国人労働者雇用労務責任者講習モデル事業について
      4. (4)雇用保険制度の適正な運営 
    2. 7 就職氷河期世代、多様な課題を抱える若年者・新規学卒者の支援 
      1. (1)就職氷河期世代に対するハローワークの専門窓口における専門担当者による就職相談、職業紹介、職場定着までの一貫した伴走型支援の推進 
      2. (2)地域若者サポートステーションにおける就職氷河期世代を含む就労自立支援 
      3. (3)新卒応援ハローワーク等における多様な課題を抱える新規学卒者等への支援 
      4. (4)正社員就職を希望する若者への就職支援  

第2 現下の経済状況を踏まえた総合労働行政機関としての施策の推進 

 コロナ禍の3年間を乗り越え、我が国経済は改善しつつあるが、コロナ後の経済回復に対応した人手不足の克服、継続的な賃上げ、多様な働き方の実現による持続的な成長と分配の好循環を実現することが重要である。こうした考えの下、政府としては、三位一体の労働市場改革を進めるとともに、令和5年9月27日に策定した、「年収の壁・支援強化パッケージ」や、令和5年11月2日に閣議決定された「デフレ脱却のための総合経済対策」を実行するため令和5年11月29日に成立した補正予算により、多様な人材の活躍促進や多様な働き方への支援のための諸施策を講じることとしている。

 これらの諸施策について、「第3」以下に記載する。こうした施策の効果を上げるためには、都道府県労働局(以下「労働局」という。)において、労働局長のリーダーシップの下、雇用環境・均等部(室)が中心となって四行政分野(労働基準、職業安定、雇用環境・均等、人材開発)における雇用・労働施策を総合的、一体的に運営していく必要がある。また、各地域の実情に応じた取組を進め、各地域において総合労働行政機関としての機能を発揮し、地域や国民からの期待に真に応えていくことが求められている。

第3 最低賃金・賃金の引上げに向けた支援、非正規雇用労働者の処遇改善等

1 最低賃金・賃金の引上げに向けた中小・小規模企業等支援、非正規雇用労働者の正規化促進、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保   

<課題> 

 最低賃金については、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和5年11月2日閣議決定)において、「公労使の三者の最低賃金審議会で毎年の最低賃金額についてしっかりと議論を行い、その積み重ねによって2030年代半ばまでに全国加重平均が1,500円となることを目指す。今後とも、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げる等、地方間格差の是正を図る。」とされており、生産性向上に取り組む中小企業へのきめ細かな支援等、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境整備に一層取り組むことが不可欠である。

 また、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第 76 号。)及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)に基づき、引き続き、雇用形態に関わらない公正な待遇(同一労働同一賃金)の確保に向けて、非正規雇用労働者の処遇改善や正社員化等を強力に推し進めていく必要がある。加えて、人手不足への対応が急務となる中で、短時間労働者が「年収の壁」を意識せずに働くことができる環境づくりを支援する必要がある。

 あわせて、非正規雇用労働者の方も含めた、誰もが主体的にスキルアップに取り組むための環境整備を進めていくことが重要である。

 無期転換ルールについても、労使双方に対する認知度向上のため、制度の更なる周知が必要である。さらに、賃金の支払方法については、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化に応じた対応が必要である。

<取組>

(1) 全国加重平均で1,004円となった最低賃金の引上げに向けた環境整備を図るための、事業場内最低賃金の引上げを図る中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けた支援の強化   

 最低賃金の引上げには、特に中小企業・小規模事業者の生産性向上が不可欠であり、業務改善助成金により、業務改善や生産性向上に係る企業のニーズに応え、賃金引上げを支援する。

 また、中小企業等が賃上げの原資を確保できるよう、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に基づき、政府一体となって取組を進めることとされているところであり、労働局及び労働基準監督署(以下「監督署」という。)においても、内閣官房及び公正取引委員会が策定した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の周知、最低賃金・賃金支払の徹底と賃金引上げに向けた環境整備等の取組を行う。

 あわせて、監督署において、企業が賃金引上げを検討する際の参考となる地域の平均的な賃金や企業の好取組事例等が分かる資料を提供し、企業の賃金引上げへの支援等を行う。

 さらに、中小企業庁との連携を強化し、生産性向上等に取り組む中小企業・小規模事業者等に対し、よろず支援拠点や生産性向上のための補助金の紹介をする。

 加えて、働き方改革推進支援センターによるワンストップ相談窓口において、生産性向上等に取り組む事業者等に対して支援を行うほか、日本政策金融公庫による働き方改革推進支援資金についてもあわせて活用するよう、引き続き周知を図る。

(2)最低賃金制度の適切な運営 

 経済動向、地域の実情及びこれまでの地方最低賃金審議会の審議状況などを踏まえつつ、本省賃金課と連携を図りながら、充実した審議が尽くせるよう地方最低賃金審議会の円滑な運営を図る。

 また、最低賃金額の改正等については、使用者団体、労働者団体及び地方公共団体等の協力を得て、使用者・労働者等に周知徹底を図るとともに、最低賃金の履行確保上問題があると考えられる業種等に対して重点的に監督指導等を行う。

(3)同一労働同一賃金の遵守の徹底  

 監督署による定期監督等において、同一労働同一賃金に関する確認を行い、短時間労働者、有期雇用労働者又は派遣労働者の待遇等の状況について企業から情報提供を受けることにより、雇均部(室)又は安定部等による効率的な報告徴収又は指導監督を行い、是正指導の実効性を高めるとともに、基本給・賞与について正社員との待遇差がある理由の説明が不十分な企業に対し、監督署から点検要請を集中的に実施することや、支援策の周知を行うことにより、企業の自主的な取組を促すことで、同一労働同一賃金の遵守徹底を図る。

(4)非正規雇用労働者の処遇改善・正社員化を行う企業への支援 

 非正規雇用労働者の処遇改善や正社員化(多様な正社員を含む)に取り組んだ事業主に対して支援を行うキャリアアップ助成金について、「年収の壁・支援強化パッケージ」として、年収の壁を意識せず働くことのできる環境づくりを後押しするために新たに設けた「社会保険適用時処遇改善コース」や拡充した「正社員化コース」をはじめ、各コースの周知、活用勧奨等を実施する。

 また、「働き方改革推進支援センター」のうち、各都道府県に設置され、各都道府県労働局が委託している都道府県センターによる、ワンストップ相談窓口において、関係機関や本省が委託する全国センター(以下「全国センター」という。)と連携を図りつつ、社会保険労務士等の専門家による、窓口相談やコンサルティング、セミナーの実施等、きめ細かな支援を行う。

 さらに、「多様な働き方の実現応援サイト」に掲載されている好事例の事業主及び労働者に対する周知等により、非正規雇用労働者の処遇改善に係る事業主の取組機運の醸成を図る。

(5)ステップアップを目指す非正規雇用労働者等に対する求職者支援制度による支援  

 雇用保険を受給できない者の安定した職業への再就職や転職を促進するとともに、自らのスキルアップを希望する非正規雇用労働者等を支援するため、就職に必要な技能及び知識を習得するための求職者支援制度の積極的な周知・広報により制度の活用を推進する。

(6)無期転換ルール等の円滑な運用に向けた周知 

 無期転換申込権が発生する契約更新時における労働基準法(昭和22年法律第49号)に基づく労働条件明示の明示事項に、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件を追加する省令改正等が令和6年4月に施行されたことをはじめとする、令和4年度の労働政策審議会労働条件分科会の議論を踏まえた無期転換ルールの円滑な運用のための制度見直し等について周知・啓発を図る。

(7)「資金移動業者の口座への賃金支払」に関する周知及び指導について  

 使用者が労働者に賃金を支払う場合において、通貨のほか、従来から認められていた銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への賃金の振込み等に加え、厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座への賃金の資金移動による支払が認められている。そのため、労働局及び監督署においても、労働者及び使用者に対し制度の周知を図るとともに、法令違反が疑われる事案を把握した場合は速やかに必要な指導を行う。

第4 リ・スキリング、労働移動の円滑化等の推進

1 リ・スキリングによる能力向上支援

<課題>  

 「三位一体の労働市場改革」の一環として、リ・スキリングによる能力向上支援に取り組んで行くこととされている。DX の進展など、産業構造の変化の加速化が見込まれる中、リ・スキリングを含め、労使協働による職場における学び・学び直しの取組を、全国に広めていくことが重要である。その際、企業向け及び個人向け支援策の両方の周知・活用を図るほか、関係者と連携しつつ、労使のニーズに応じた取組を進めていく必要がある。

<取組>

(1)指定された教育訓練を修了した場合の費用の一部支給による経済社会の変化に対応した労働者個々人の学び・学び直しの支援 

 厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した場合に、その費用の一部を支給する「教育訓練給付」において、経済社会の変化に対応した労働者個々人の学び・学び直しを支援するため、理由を問わず電子申請を行うことができることの周知など教育訓練を受講しやすい環境の整備を図る。

 また、地域職業能力開発促進協議会を活用して、教育訓練給付制度にかかる地域の訓練ニーズを把握するとともに、指定講座の拡大により訓練機会を確保する。

(2)在職時からの継続的な支援を行うキャリア形成・リスキリング推進事業等の実施  

 キャリア形成・リスキリング推進事業では、各都道府県に「キャリア形成・リスキリング支援センター」を、全国各地のハローワークに「キャリア形成・リスキリング相談コーナー」を設置し、キャリアコンサルタントの常駐・巡回による相談支援を行う。

 そのため、各地域の業界団体や教育訓練機関等も交え、本事業の実施方針や周知広報について議論の上、労働者のキャリア形成やリ・スキリングに係る支援を推進するため、受託者と連携をすること。

(3)公的職業訓練のデジタル分野の重点化や訓練修了生等への「実践の場」の提供によるデジタル推進人材の育成 

 令和4年 12 月に閣議決定された「デジタル田園都市国家構想総合戦略」において、政府の各種施策を通じて2026年度(令和8年度)までにデジタル人材を230万人確保することとされたところであり、公的職業訓練及び教育訓練給付では、2024年度(令和6年度)にデジタル分野の受講者数70,000人を目指すこととしている。

 デジタル分野に係る公的職業訓練については、WEBデザイン等の資格取得を目指すコースや企業実習付きコースへの訓練委託費等の上乗せ措置等に加え、「DX 推進スキル標準」に対応したデジタル分野の訓練コースを新たに委託費等の上乗せの対象とする措置により、訓練コースの拡充を図る。ハローワークにおいては、デジタル分野に係る公的職業訓練への適切な受講勧奨により受講につなげるとともに、訓練開始前から訓練終了後までのきめ細かな個別・伴走型支援により、デジタル分野における再就職の実現を図る。

 また、生成AIを含むデジタル人材育成のために、他職種からIT人材に転職を目指す求職者のうち公共職業訓練等を修了した中高年齢者等に対して、実践経験を積むための「実践の場」を提供するモデル事業が令和5年度補正予算に盛り込まれ、令和6年度から本格実施される。本事業は、民間事業者に委託して実施することとしており、労働局においては、受託企業が、訓練修了生が習得したスキル等を把握し、それに応じた「実践の場」を提供するため、受託企業に対してデジタル分野の訓練情報(訓練終了時期や習得スキル等)の提供を行うとともに、ハローワークにおいては、未就職の訓練修了生に対して本事業の周知を行うこと。

(4)労働者の主体的なリ・スキリングを支援する中小企業への賃金助成の拡充等による企業における人材育成の推進 

 令和5年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023改訂版」において、中小・小規模企業が従業員をリ・スキリングに送り出す場合、個人の主体的なリ・スキリングであっても、賃金助成等の支援策の拡充を検討するとされたことから、人材開発支援助成金について、中小・小規模企業が長期教育訓練休暇制度を設け、実施した場合、人への投資促進コース「長期教育訓練休暇制度」の賃金助成を拡充し、労働者の主体的な学び直しを支援する。また、人材開発支援助成金「人への投資促進コース」及び「事業展開等リスキリング支援コース」については、引き続き、積極的な活用勧奨を図るとともに、迅速な支給決定を行うほか、「デジタル田園都市国家構想基本方針」において、2024年度(令和6年度)にデジタル分野の受講者数65,000 人を達成するため、すべてのコースにおいてデジタル分野における訓練の活用促進を行う。

(4)スキルアップを目的とした在籍型出向の推進等   

 在籍型出向は労働者の雇用を支えつつ、人材の有効な活用を通じて生産性の維持・向上に資するものであり、労働者の雇用維持に加えてキャリアアップ・能力開発にも効果があることから、産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)による、賃金上昇を伴う労働者のスキルアップを在籍型出向により行う事業主への支援を実施するとともに、当該助成金の活用に向けた周知広報に加えて、個別事業主に対して公益財団法人産業雇用安定センターと同行訪問を行い、ワンストップによるマッチング支援等を実施する。

 また、産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)により、生産性向上に資する取組等に必要な新たな人材の円滑な受け入れと当該事業主に雇用される労働者の雇用の安定の確保のため、当該助成金の活用促進について、周知広報を効果的に行える適切な機関と連携して実施する。

(5)雇用調整助成金の見直し等への対応 

 令和6年4月改正内容について、事業主に対して、雇用調整助成金を長期間にわたり利用する場合に教育訓練の実施率によって助成率が変わることを丁寧に説明するとともに、雇用調整を行う事業主の取引が円滑に行われるよう、教育訓練について情報提供を行う。

 また、令和5年 12 月より雇用関係助成金ポータルを用いた雇用調整助成金の電子申請が可能となったことから、事業主に対する電子申請の利用勧奨を行う。

 加えて、労働局内の体制を整備することにより、不正受給の疑いがある事業所に対する調査等により一層注力する。

2 個々の企業の実態に応じた職務給の導入・配偶者手当の見直し促進   

<課題> 

 三位一体の労働市場改革を進めるためにも、個々の企業の参考となるよう、職務給の導入についてリーフレット等により丁寧に周知する必要がある。

 また、配偶者手当については、税制、社会保障制度とともに、女性の就労を抑制している場合があるとの指摘があり、中小企業が実際に見直しをできるよう、見直しのフローチャートを含むリーフレット等による周知を徹底する必要がある。

<取組>

(1) 職務給等に関する調査研究及びその導入や配偶者手当見直し促進に向けた周知・広報 

 職務給の導入や配偶者手当の見直しについて、民間事業者への働きかけを効果的に行うため、リーフレット等による周知・広報を実施する。

3 成長分野等への労働移動の円滑化

<課題> 

 労働供給制約に起因する人手不足の問題が顕在化しつつある状況の中、人材の有効活用という観点からも、個々人がそれぞれの意欲と能力に応じて活躍するという観点からも成長分野等への円滑な労働移動を可能とする環境整備が重要である。このため、労働市場を巡る情報に自由かつ簡便にアクセスできることをはじめとした労働市場の機能を強化することにより、個々人の自由な選択を可能とする環境整備が求められる。

 加えて、特に地方においては、若年者の流出等による人口減少もあり、人手不足が深刻化していることから、地域の実情に応じた雇用対策を行うとともに、マッチングを支援する取組が必要である。

<取組>         

(1)成長分野の業務や、一定の技能を必要とする未経験分野への就職を希望する就職困難者を雇い入れる事業主への支援による成長分野への労働移動の円滑化 

 就職困難者を、成長分野(デジタル・グリーン)の業務に従事する労働者として雇い入れる事業主又は雇い入れた上で人材育成計画を策定し、人材育成を行った上で、5%以上賃金の引き上げを行う事業主に対して高額助成を行う特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)について、事業主への制度内容の周知を積極的に行うなど、制度の活用をより一層進め、就職困難者を対象とした成長分野への労働移動や賃上げを促進する。

(2)職業情報及び職場情報の収集・提供による求職者と企業のマッチング機能の強化、オンラインの活用によるハローワークの利便性向上 

 成長分野等への円滑な労働移動を実現するためには、「労働市場情報の見える化」を進め、マッチング機能の強化を図ることが重要である。このため、令和6年度においては、「job tag(職業情報提供サイト)」を活用した職業相談及び求人者の採用支援を進めるとともに、job tag が地域の関係者(地方公共団体、就労支援機関、学校等)に積極的に活用され、労働市場のインフラとして効果的に機能するよう、積極的な周知を行っていく。また、「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」及びこれを踏まえた「しょくばらぼ(職場情報総合サイト)」の利活用等について、周知を行っていく。

 また、ハローワークにおける職業相談・紹介業務について、Web 会議サービスを活用したオンラインによる業務を全国のハローワーク等で実施可能とすることとし、来所困難者等を対象とした雇用保険のオンライン失業認定については、行政サービスの向上の観点から引き続き取組を進める 。

(3)民間人材サービス事業者への指導監督の徹底 

 職業安定法(昭和22年法律第141号)及び労働者派遣法の違反を把握し、又はその疑いのある事案の指導監督に万全を期し、第3の1(3)に記載する同一労働同一賃金に加え雇用安定措置に関する事項等、職業安定法及び労働者派遣法をはじめとする労働関係法令の適正な運営の確保につき徹底を図る。 

(4)地域雇用の課題に対応する地方公共団体等の取組の支援 

 「雇用対策協定」の締結を更に推進することにより、国と地方が一層連携して地域の実情に応じた雇用対策を行うとともに、希望する都道府県及び市区町村においては当該団体が行う業務と国が行う無料職業紹介をワンストップで一体的に実施する。また、市町村等が地域の特性を生かして実施する地域雇用活性化推進事業は、国と地方の連携施策の一つとなり得るため、応募可能地域における応募勧奨や実施地域における適切な支援を行う。

(5)都市部から地方への移住を伴う地域を越えた再就職等の支援 

 東京圏及び大阪圏を中心に、地方就職を希望する方にハローワークの全国ネットワークを活用した職業紹介や生活関連情報の提供等を一体的に行うとともに、求職者の希望を踏まえた効果的な誘導を行い、地方のハローワークにおいても個々のニーズに応じた支援を行う。

(6)賃金上昇を伴う労働移動の支援 

 離職を余儀なくされた者の早期再就職を支援する早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)について、前職よりも5%以上賃金を上昇させた事業主に助成を行うとともに、再就職援助計画対象者等へのきめ細かな再就職支援や、助成金の周知広報を実施することにより、賃金上昇を伴う労働移動を推進する。

 また、中途採用の機会拡大を図る早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)について、中高年齢者を一定以上雇い入れ、前職よりも5%以上賃金を上昇させた事業主に助成を行うとともに、当該助成金の周知広報について、各地域の商工会議所等と連携して実施することにより、賃金上昇を伴う労働移動を推進する。

4 中小企業等に対する人材確保の支援

<課題> 

 生産年齢人口が減少する中、有効求人倍率は1倍を超え、多くの職種において人材確保が困難な状況が継続し、特に中小企業においては人手不足感が深刻化しており、人材確保の支援の取組を進めていくことが重要である。

<取組>

(1)ハローワークにおける求人充足サービスの充実 

 ハローワークにおいて、オンラインを活用した求人受理を進めるとともに、求人事業所に対し、求人条件緩和や魅力ある求人票の作成支援等の助言、事業所情報の収集をきめ細かく行うなどの求人充足に向けたサービスを実施し、求人者支援の充実を図る。

(2)人材確保対策コーナー等における人材確保支援 

 医療・介護・保育・建設・運輸・保安分野など雇用吸収力の高い分野のマッチング支援を強化するため、都道府県労働局単位の協議会の場も活用し、地方自治体や関係団体等と連携した人材確保支援(セミナー・説明会・面接会等)の充実を図るとともに、ハローワークの 「人材確保対策コーナー」を中心に、潜在求職者の積極的な掘り起こし、求人充足に向けた条件緩和指導等により、重点的なマッチング支援を実施する。特に介護分野については、ハローワークと介護労働安定センターとが連携した求人充足・職場定着のための取組を進める。

 また、魅力ある職場づくりを支援するため、社会保険労務士等を活用した雇用管理改善のコンサルティングや人材確保等支援助成金(人事評価等改善助成コース)等の周知に取り組む。

(3)医療・介護・保育分野の職業紹介への対応 

 令和5年2月に各労働局に設置した『「医療・介護・保育」求人者向け特別相談窓口』において、相談窓口に寄せられた情報を基に必要な対応を行うとともに、窓口の周知に努める。     

 また、同年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」に基づき令和5年度に実施した、医療・介護・保育分野の職業紹介事業者への集中的指導監督の結果を踏まえ、令和6年度においても有料職業紹介事業者への指導監督に取り組む。

第5 多様な人材の活躍と魅力ある職場づくり

1 フリーランスの就業環境の整備     

<課題> 

 フリーランスについては、令和3年3月に「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(以下「フリーランスガイドライン」という。)を策定し、また、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年度法律第 25 号。以下「フリーランス・事業者間取引適正化等法」という。)が令和5年5月に公布された。フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行は令和6年秋頃を予定している。フリーランスが安心して働ける環境を整備するため、引き続きフリーランスガイドラインの周知等を図るとともに、フリーランス・事業者間取引適正化等法の周知啓発及び履行確保を図る必要がある。

 一方で、形式的には業務委託契約を締結していたとしても労働基準法の労働者性に関して相談等があった場合には、丁寧に話を聞くなど事実確認を行い、その結果、労働者に該当し、法違反が認められる場合には、厳正に監督指導を行う必要がある。

 <取組>

(1)フリーランス・事業者間取引適正化等法の周知啓発、同法の執行体制や相談体制の充実 

 フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行に向けて、フリーランスやフリーランスに業務を委託する事業主(以下「発注事業者」という。)等に対し、あらゆる機会を捉えて、フリーランス・事業者間取引適正化等法の内容について周知啓発を行うとともに、フリーランスや発注事業者等からのフリーランス・事業者間取引適正化等法の就業環境整備に関する内容についての問い合わせに適切に対応する。

 また、フリーランスから発注事業者等との取引上のトラブルについての相談があった際には、引き続き「フリーランス・トラブル110番」を紹介するなど適切に対応する。

 さらに、フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行後は、フリーランスから法違反に関する申出があった場合には、遅滞なく申出内容を聴取し、発注事業者等に対する調査・是正指導等を行い、履行確保を図る。

 フリーランスガイドラインでは、フリーランスとして業務を行っていても、労働基準法等における労働者に該当する場合には、労働関係法令が適用されることを明確化したところである。請負契約等のフリーランスの契約の形式や名称にかかわらず、その労働の実態を個別に勘案した結果、労働基準法等の労働者に該当し、法違反が認められると判断した場合には、監督署において引き続き厳正に監督指導を行うとともに、被用者保険の更なる適用促進を図るため、日本年金機構年金事務所及び労働局労働保険適用徴収部門への情報提供を徹底する。

 また、総合労働相談コーナーにおいては、フリーランスガイドラインを踏まえ、適切に相談対応を行うとともに、相談内容から労働基準法等の法律に違反する疑いがある場合は、労働局又は監督署の担当部署と調整の上、担当部署に取次ぎを行う。

2 仕事と育児・介護の両立支援         

<課題> 

 少子高齢化が急速に進展する中で、出産、育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女とも仕事と育児等を両立できる社会を実現することが重要な課題となっている。男性の育児休業取得率は令和4年度において17.13%と近年上昇しているものの、女性と比較すると低い水準である。さらに、令和7年度までに男性の育児休業取得率を 30%とする政府目標について、「こども未来戦略」(令和5年 12 月 22 日)において令和7年までの目標を30%から 50%に引き上げ、令和 12年までの目標を 85%とすることが示されており、政府目標の達成に向けて、更なる取組の強化が必要である。このような状況を踏まえ、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第 76 号。以下「育児・介護休業法」という。)の履行確保等により、仕事と育児・介護の両立支援の取組を促進する必要がある。

<取組>

(1)育児・介護休業法の周知及び履行仕事と育児・介護の両立支援のため、業務代替整備・柔軟な働き方の導入等も含めた支援の拡充 確保

 ①確保

 常時雇用する労働者数1,000人超企業を対象とした男性の育児休業等取得状況の公表の義務化について、着実な履行確保を図るとともに、「産後パパ育休」(出生時育児休業)を含め、育児・介護休業法に基づく両立支援制度について労働者が円滑に利用できるよう周知徹底を図る。

 あわせて、労働者の権利侵害が疑われる事案や育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いが疑われる事案を把握した場合には、事業主に対する積極的な報告徴収・是正指導等を行う。

 また、労働政策審議会における議論を踏まえ、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の義務付けや、男性の育児休業等取得状況の公表義務の対象を300人超の事業主に拡大すること等を内容とする育児・介護休業法の改正法案が成立した場合は、円滑な施行に向けて、改正内容について労使に十分に理解されるよう、労使団体等と連携して周知に取り組む。

②男女とも仕事と育児を両立しやすい環境の整備に向けた企業の取組支援

 「産後パパ育休」のほか、「パパ・ママ育休プラス」や「育児目的休暇」等の男性の育児に資する制度について、あらゆる機会を捉えて周知を行い、制度の活用につなげる。

 また、事業主に対し、「男性の育児休業取得促進事業(イクメンプロジェクト)」において作成する企業の取組事例集や研修資料の活用を促すとともに、

・男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備措置を実施した事業主

・育児休業の円滑な取得・職場復帰のための取組を実施した事業主

・育児休業や育児短時間勤務期間中の業務体制整備のため、業務を代替する周囲の労働者への手当支給や、代替要員の新規雇用(派遣受入含む)を実施した事業主

・育児期の柔軟な働き方に関する制度を利用する労働者への支援のための取組を実施した事業主等に対する両立支援等助成金の活用を推進し、男女とも仕事と育児が両立できる職場環境の整備を図る。

③仕事と介護の両立ができる職場環境整備

 地域包括支援センター等とも連携した介護休業制度等の周知を十分に行うとともに、介護離職を予防するための企業の取組の全体像を示した「仕事と介護の両立支援対応モデル」の普及や、介護支援プランに基づいて労働者に円滑に介護休業を取得・職場復帰させた事業主等に対する両立支援等助成金の活用促進を通じて、仕事と介護が両立できる職場環境整備を図る。

 また、労働政策審議会における議論を踏まえ、介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等を内容とする育児・介護休業法の改正法案が成立した場合は、円滑な施行に向けて、改正内容について労使に十分に理解されるよう、労使団体等と連携して周知に取り組む。

④次世代育成支援対策の推進

 次世代育成支援対策推進法(平成 15 年法律第 120 号。以下、「次世代法」という。)に基づく一般事業主行動計画の策定等については、各企業の実態に即した計画の策定を支援するとともに、常時雇用する労働者数101人以上の義務企業の届出等の徹底を図る。

 あわせて、「くるみん」、「プラチナくるみん」、「トライくるみん」及び「くるみんプラス」の認定基準について広く周知するとともに、認定の取得促進に向けた働きかけを行う。

 また、労働政策審議会における議論を踏まえ、次世代法について、有効期限を 10 年延長した上で、同法に基づく行動計画策定時に、育児休業の取得状況等に係る状況把握・数値目標の設定を事業主に義務付けること等を内容とする次世代法の改正法案が成立した場合は、円滑な施行に向けて、改正内容について労使に十分に理解されるよう、労使団体等と連携して周知に取り組む。

(2)子育て中の女性の支援に取り組むNPO等へのアウトリーチ型支援の推進などマザーズハローワークにおける就職支援の強化   

 子育て中の女性等を対象としたハローワークの専門窓口(マザーズハローワーク、マザーズコーナー)において、一人ひとりの求職者のニーズに応じたきめ細かな就職支援を実施するとともに、地域の子育て支援拠点や関係機関と密接に連携してアウトリーチ型支援を強化する。また、仕事と子育ての両立がしやすい求人の確保及び各種就職支援サービスのオンライン化を推進する。

(3)不妊治療と仕事との両立 

 不妊治療と仕事との両立支援に関する認定制度「くるみんプラス」の周知及び認定促進を図る。なお、認定を希望する事業主に対しては、本省が実施する不妊治療を受けやすい休暇制度等環境整備事業の「両立支援担当者向け研修会」の活用を勧奨する等の支援を行う。

 また、「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」や「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」、不妊治療のために利用できる特別休暇制度の導入等に関する各種助成金等を活用し、性と健康の相談センター(旧名称:不妊専門相談センター)とも連携しつつ、不妊治療と仕事との両立がしやすい職場環境整備の推進のための周知啓発や相談支援を行う。

3 ハラスメント防止対策、働く環境改善等支援、女性活躍推進  

<課題> 

 職場におけるハラスメントは、労働者の尊厳を傷つける、あってはならないことであり、働く人の能力の発揮の妨げになる。このため、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号。以下「労働施策総合推進法」という。)に基づくパワーハラスメント、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号。以下「男女雇用機会均等法」という。)に基づくセクシュアルハラスメント、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法に基づく妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止措置義務の履行確保を徹底する等、職場におけるハラスメント対策を総合的に推進する必要がある。また、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成 27 年法律第 64 号。以下「女性活躍推進法」という。)に基づく男女の賃金の差異の情報公表を契機とした女性活躍推進の取組促進等をより一層進める必要がある。

 「経済財政運営と改革の基本方針2022」(令和4年6月7日閣議決定)において、働く人のエンゲージメントを高めることを目指すとされており、企業において取り組む意義や、具体的な取組方法等について周知を行う必要がある。

<取組>

①相談支援を含む総合的なハラスメント防止対策の推進 

職場におけるハラスメント等に関する雇用管理上の防止措置義務の履行確保

 パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等職場におけるハラスメント防止措置を講じていない事業主に対し厳正な指導を実施すること等により、引き続き、法の履行確保を図る。

 また、適切なハラスメント防止措置が講じられるよう、事業主に対して、本省で委託する事業主・ハラスメント相談窓口担当者等向け研修やウェブサイト「あかるい職場応援団」の各種ツールの活用促進を図ること。

②就職活動中の学生等に対するハラスメント対策等の推進

 就職活動中の学生等に対するハラスメントについて、事業主に対して、ハラスメント防止指針に基づく「望ましい取組」の周知徹底を図る。また、「就活ハラスメント防止対策企業事例集」を活用し、企業の取組を促す。

 学生等に対しては、相談先等を記載したリーフレット(チラシ)を活用し、学生等が一人で悩むことがないよう支援しつつ、学生からの相談等により事案を把握した場合は、事業主に対して適切な対応を求める。

③職場におけるハラスメント等への周知啓発の実施及びカスタマーハラスメント対策等の推進

 職場におけるハラスメントの撲滅に向け、例年 12 月に実施している「ハラスメント撲滅月間」を中心に、事業主等への周知啓発を実施する。また、カスタマーハラスメントの防止対策を推進するため、カスタマーハラスメント対策企業マニュアル等を活用して、企業の取組を促す。

(2)働く人のワークエンゲージメントの向上に向けた支援  

 ワークエンゲージメントを含む働きがいの向上に向けて、リーフレット等による周知を行う。

(3)民間企業における女性活躍促進のための支援 

①民間企業における女性活躍促進

 令和4年7月8日に施行された女性活躍推進法に基づく改正省令により常時雇用する労働者数301人以上の事業主に義務付けられた男女の賃金の差異に係る情報公表について、報告徴収等の実施により、着実に履行確保を図る。

 特に男女の賃金の差異は、募集・採用、配置・昇進・昇格、教育訓練等における男女差の結果として現れるものであることから、これらの男女差が性別を理由とした差別的取扱いに該当しないか等について確認し、男女雇用機会均等法の確実な履行確保を図る。

 さらに、男女の賃金の差異の要因分析と情報公表を契機とした雇用管理改善及びより一層の女性の活躍推進に向けた取組を促すとともに、「女性の活躍推進企業データベース」の積極的な活用勧奨を図る。加えて、女性活躍推進法における管理職の定義に基づき適切な情報公開等がなされるように周知・徹底を図る。

②働く女性の健康管理について

 女性が健康で能力発揮できるような職場環境整備の機運を醸成するため、「『生理』に関して理解ある職場環境を考えてみませんか?」リーフレットを活用して周知するとともに、その他の健康課題、例えば更年期などについては「働く女性の心とからだの応援サイト」に掲載している企業の取組事例等を活用し、企業の自主的な取り組みを促す。

4 安全で健康に働くことができる環境づくり   

<課題>   

 誰もが安心して働くことができる良好な職場環境を実現するためには、最低基準である労働基準関係法令の履行確保が必要不可欠であり、そのため、労働局及び監督署は必要な権限行使を適正に行う必要がある。  こうした労働基準関係法令の履行確保に加え、労使の自主的な取組を促すことや、労務管理体制が十分でない中小企業・小規模事業者等に対する丁寧な相談・支援を行っていることが必要である。

 また、令和6年度より、医師、建設事業、自動者運転の業務等これまで時間外労働の上限規制の適用が猶予されていた業種等(以下「令和6年度適用開始業務等」という。)についても上限規制が適用される。加えて、自動者運転の業務については改正後の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号。以下「改善基準告示」という。)も適用される。

 長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害を防止するため監督指導を実施する一方、令和6年度適用開始業務等については個々の事業場のみでは長時間労働の抑制が困難な課題が見られ、例えば、医師については、地域の救急医療体制の確保など医療の質の確保との両立に配慮する必要があり、また、建設事業や自動者運転者については、短い工期の設定や、荷物の積み卸しの際の長時間の待機等、取引慣行への対策が必要であることから、引き続き、令和6年度適用開始業務等に対しては、時間外労働の上限規制や改正改善基準告示等の更なる理解のため、事業者、労働者、国民等に対する周知・広報等を強力に推進するとともに、丁寧な相談・支援を行っていく必要がある。

 さらに、労働者一人ひとりが安全で健康に働くことができる職場環境の実現のため、第 14 次労働災害防止計画(以下「14 次防」という。)の目標達成に向け、同計画にも定められている事業者が自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発や、労働者の作業行動に起因する労働災害、高年齢労働者等の労働災害及び業種別の労働災害防止対策を推進するとともに、個人事業者等に対する安全衛生対策の推進や労働者の健康確保対策及び化学物質等による健康障害防止対策等にも取り組んでいく必要がある。

 労災保険給付の状況については、近年、新規受給者数が増加傾向にあることに加え、過労死等事案、石綿関連事案に係る労災請求件数も増加傾向にある。さらに、新型コロナウイルス感染症に係る労災保険給付への対応も求められている。このような状況の中で、被災労働者の迅速な保護を図るために、迅速かつ公正な事務処理に努める必要がある。

<取組>  

(1)長時間労働の抑制   

①長時間労働の抑制に向けた監督指導の徹底等

 長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害を防止するため、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり 80 時間を超えていると考えられる事業場及び長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を引き続き実施する。また、過労死等の防止のための対策については、過労死等防止対策推進法(平成 26 年法律第 100 号)並びに同法に基づき定めた「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和3年7月30日閣議決定)及び「過労死等の防止のための対策に関する大綱の変更について」(令和3年7月 30 日付基発 0730 第1号)により、労働行政機関等における対策とともに、民間団体の活動に対する支援等の対策を効果的に推進する。

②中小企業・小規模事業者等に対する支援

 「働き方改革推進支援センター」のうち、各都道府県に設置する都道府県センターによるワンストップ相談窓口において、関係機関や全国センターと連携を図りつつ、窓口相談やコンサルティング、セミナーの実施等、きめ細かな支援を行う。また、生産性を高めながら労働時間の短縮等に取り組む中小企業・小規模事業者に対して助成(働き方改革推進支援助成金)を行うとともに、働き方・休み方改善ポータルサイトを通じた企業の改善策の提供と好事例の紹介、働き方・休み方改善コンサルタントによる専門的な助言・指導等を行う。

 全ての監督署に編成した「労働時間改善指導・援助チーム」のうち「労働時間相談・支援班」(以下「支援班」という。)において、説明会の開催や中小規模の事業場への個別訪問により、改正労働基準法等の周知はもとより、時間外・休日労働協定の作成方法の教示等を中心としたきめ細かな支援を引き続き実施する。

③令和6年度適用開始業務等への労働時間短縮に向けた支援

 建設業、自動車運転者に係る時間外労働の上限規制適用については、施主や荷主といった取引関係者、ひいては国民全体の理解を得ていくことが重要であり、引き続き、令和6年度適用開始業務等の時間外労働の上限規制特設サイト「はたらきかたススメ」を通じて、必要な周知を行う。

 また、トラック運転者については、引き続き、関係省庁とも連携しながら、労働局に編成した「荷主特別対策チーム」において、発着荷主等に対して、長時間の恒常的な荷待ち時間を発生させないこと等についての監督署による要請と、その改善に向けた労働局による働きかけを行うとともに、賃金水準の向上に向けて、賃金の原資となる適正な運賃(標準的な運賃)を支払うことについて周知を行う。さらに、改正後の改善基準告示について引き続き丁寧に周知を行う。  

 医師については、他の職種との他の職種との業務分担(タスクシフト/タスクシェア)など、医療機関の勤務環境改善に向けた取組を支援するため、医療勤務環境改善支援センターによるきめ細やかな相談対応、助言を引き続き行う。  

 これらの取組とともに、こうした業種を含め、生産性向上を図りながら労働時間短縮に取り組む事業主等に対し、支援班や働き方改革推進支援センターにおいて、窓口相談やコンサルティング、セミナーの実施等、きめ細かな支援を行うとともに、働き方改革推進支援助成金の活用を促進し、支援を行う。

④ 長時間労働につながる取引環境の見直し  

 大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止については、例年 11 月に実施している「しわ寄せ防止キャンペーン月間」に、集中的な周知啓発を行うなど、引き続き、「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への『しわ寄せ』防止のための総合対策」に基づき、関係省庁と連携を図りつつ、その防止に努める。  

 働き方改革の推進に向けた中小企業における労働条件の確保・改善のため、監督指導の結果、下請中小企業等の労働基準関係法令違反の背景に、親事業者等の下請代金支払遅延等防止法(昭和 31 年法律第 120 号)等の違反が疑われる場合には、中小企業庁、公正取引委員会及び国土交通省に確実に通報する。  

(2)労働条件の確保・改善対策  

①法定労働条件の確保等 

 管内の実情を踏まえつつ、事業場における基本的労働条件の枠組み及び管理体制の確立を図らせ、これを定着させることが重要であり、労働基準関係法令の遵守の徹底を図るとともに、重大・悪質な事案に対しては、司法処分も含め厳正に対処する。

 さらに、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の周知を徹底し、監督指導において同ガイドラインに基づいて労働時間管理が行われているか確認し、賃金不払残業が認められた場合には、その是正を指導する。

 加えて、平日夜間、土日・祝日に実施している「労働条件相談ほっとライン」に寄せられた情報や、インターネット情報監視により収集された情報に基づき、必要に応じて監督指導を実施する。さらに、労働条件に関する悩みの解消に役立つポータルサイト「確かめよう労働条件」の活用を促進するとともに、同ポータルサイト等で案内している高校生・大学生等に対する労働法教育に係るセミナーや、高校・大学の教員等に対する労働法の教え方に関するセミナー及び指導者用資料について周知を行う。

②裁量労働制の適正な運用 

 裁量労働制に係る改正省令等が令和6年4月に施行されたところであり、その導入事業場の認知及び理解の状況を踏まえ、パンフレットや説明動画等を活用して制度周知を行う。また、当該改正内容も含め、裁量労働制の不適正な運用が疑われる事業場に対する監督指導等を引き続き実施する。

③労働契約関係の明確化

 労働基準法に基づく労働条件明示事項に、就業場所・業務の変更の範囲を追加する省令改正が令和6年4月に施行されたことをはじめとする、令和4年度の労働政策審議会労働条件分科会の議論を踏まえた労働契約関係の明確化のための制度見直し等について周知・啓発を図る。

④特定の労働分野における労働条件確保対策の推進
ア 外国人労働者

 技能実習生等の外国人労働者については、労働基準関係法令違反の疑いがある事業場に対して重点的に監督指導を実施し、重大・悪質な労働基準関係法令違反が認められる事案に対しては、司法処分を含め厳正に対処する。また、出入国在留管理機関及び外国人技能実習機構との相互通報制度を確実に運用する。

 特に、技能実習生に対する労働搾取目的の人身取引が疑われる事案については、「人身取引取締りマニュアル」を参考にしつつ、外国人技能実習機構との合同監督・調査や関係機関との連携を着実に実施し、労働基準関係法令違反が認められ、悪質性が認められるもの等については、司法処分を含め厳正に対処する。

イ 自動車運転者

 自動車運転者については、違法な長時間労働等が疑われる事業場に対し的確に監督指導を実施するなどの対応を行う。また、地方運輸機関と連携し、相互通報制度を確実に運用するとともに、地方運輸機関と協議の上、合同監督・監査を行う。

加えて、タクシー運転者の賃金制度のうち、累進歩合制度の廃止に係る指導等について、徹底を図る。

ウ 障害者である労働者

 障害者虐待防止の観点も含め、障害者である労働者の法定労働条件の履行確保を図るため、関係機関との連携を深め、積極的な情報の共有を行うとともに、障害者である労働者を使用する事業主に対する啓発・指導に努め、問題事案の発生防止及び早期是正を図る。

⑤「労災かくし」の排除に係る対策の一層の推進  

 「労災かくし」の排除を期すため、その防止に向けた周知・啓発を図るとともに、引き続き、労災補償担当部署と監督・安全衛生担当部署間で連携を図りつつ、事案の把握及び調査を行い、「労災かくし」が明らかになった場合には、司法処分を含め厳正に対処する。

⑥各種権限の公正かつ斉一的な行使の徹底 

 地方労働基準監察監督官制度の的確な運用等により、行政指導の適正な実施とその水準の維持・向上を図るとともに、監督権限をはじめとする各種権限の公正かつ斉一的な行使を確保する。また、監督指導において法違反が認められた場合には、事業主にその内容や是正の必要性を分かりやすく説明することにより、事業主による自主的な改善を促すとともに、きめ細かな情報提供や具体的な是正・改善に向けた取組方法を助言するなど、丁寧かつ具体的に対応する。特に、中小企業の事業場への監督指導に当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材確保の状況、取引の実態その他の事情を十分に聴いた上で、その事情を踏まえて丁寧に対応する。

⑦社会保険労務士制度の適切な運営 

 社会保険労務士及び社会保険労務士法人による不正事案を把握した場合には、懲戒処分の適正かつ厳格な実施のため、関係者に対し事実関係の聴取を確実に実施すること等により適切な調査を実施するとともに、公平性を欠く不適切な情報発信を行っている旨の情報に接した場合には、都道府県社会保険労務士会とも連携し、所要の措置を講ずる。

⑧家事使用人への対応   

 家事使用人は労働基準法の適用除外となっているところ、労働契約法は適用されており、家事使用人に係る労災保険の特別加入を促進するため、家政婦(夫)紹介所等から特別加入に係る相談等があった際には、「労災保険特別加入ガイド」を周知する。また、家事使用人等から労働契約や就業環境等に係る相談等があった際には、

「家事使用人の雇用ガイドライン」を周知するなど、適切に対応する。

(3)14 次防を踏まえた労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備 

①事業者が自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発 

 事業者が自発的に安全衛生対策に取り組むため、様々な機会を通じて、安全衛生対策に取り組む必要性や意義等について周知啓発を行うとともに、加えて安全衛生対策に取り組むことが、事業者にとって経営や人材確保・育成の観点からもプラスとなることも、積極的に周知啓発を図っていく。

 さらに、発注者等において安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さないことや安全衛生対策経費の確保の必要性について周知を図るとともに、機会を捉え、消費者・サービス利用者に対しても、事業者が行う安全衛生対策の必要性や、事業者から提供されるサービスに安全衛生対策に要する経費が含まれることへの理解を促すこと。

 加えて、労働災害情報の分析機能の強化や、報告者の負担軽減、統計処理の効率化等の観点から、令和7年1月より、労働者死傷病報告等の電子申請を原則義務化することを予定しているため、当該改正内容について周知を図るとともに、電子申請の対応への懇切丁寧な相談支援を行う。

②労働者(中高年齢の女性を中心に)の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進

 中高年齢の女性をはじめとして発生率が高く、小売業や介護施設を中心に増加傾向にある「転倒」及び腰痛等の「動作の反動・無理な動作」など、職場における労働者の作業行動を起因とする労働災害(行動災害)防止のため、管内のリーディングカンパニー等を構成員とする協議会の設置・運営、企業における自主的な安全衛生活動の導入を支援する取組等により、管内全体の安全衛生に対する機運醸成を図る。

③高年齢労働者、外国人労働者等の労働災害防止対策の推進 

 高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境の実現に向けた「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)及び中小企業による高年齢労働者の労働災害防止対策等を支援するための補助金(エイジフレンドリー補助金)の周知を図る。なお、エイジフレンドリー補助金については、令和6年度から一部補助対象の補助率の引き上げや対象事業者の拡充を予定している。

 また、技能実習生をはじめとした外国人労働者が容易に理解できる労働安全衛生に関する視聴覚教材等の周知等効果的な安全衛生教育の実施や外国人労働者に多い労働災害の対策を視覚的に示すピクトグラム等の開発を促進することにより、外国人労働者の労働災害防止対策を推進するとともに、障害のある労働者の安全衛生対策に係る事例等を周知することにより、障害のある労働者の安全衛生対策を推進する。

④個人事業者等に対する安全衛生対策の推進

 令和3年5月の最高裁判決を踏まえ、労働安全衛生法第 22 条の規定に基づく健康障害防止に関して、請負人や同じ場所で作業を行う労働者以外の者に対しても、労働者と同等の保護措置を講じることを事業者に義務付ける改正省令が令和5年4月1日より施行されているため、引き続き、事業場に対して指導、周知・啓発を図る。また、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書(令和5年10月27日)を踏まえ、策定を予定している「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」について、周知・啓発を図る。さらに安衛法第20条、第21条及び第25 条に基づく立ち入り禁止や退避等の「危険性」に係る関係省令について、改正が予定されているため、改正後の当該改正省令の周知・啓発を図る。

⑤業種別の労働災害防止対策の推進

 陸上貨物運送事業については、貨物自動車における荷役作業での労働災害を防止するため、令和5年3月に改正された労働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号。以下「改正労働安全衛生規則」という。)に基づき、最大積載量2トン以上の貨物自動車に係る荷の積卸し作業時の昇降設備の設置及び保護帽の着用、テールゲートリフターによる荷役作業についての特別教育の実施等について周知徹底を図る。

 また、荷主等も含め、「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」の周知を行い取組の促進を図る。

 建設業については、墜落・転落災害防止のため、改正労働安全衛生規則に基づき、一側足場の使用範囲の明確化、足場の点検を行う際の点検者の指名等について周知徹底を図る。また、改正された「手すり先行工法に関するガイドライン」、「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」等の関係ガイドラインについて周知、指導を行う等、引き続き、建設工事における労働災害防止対策の促進を図る。

 製造業については、機械災害の防止のため、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」及び「機械の包括的な安全基準に関する指針」に基づき、製造時及び使用時のリスクアセスメント、残留リスクの情報提供の確実な実施を促進する。

 林業については、「チェーンソーによる伐採作業等の安全に関するガイドライン」や「林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン」の周知徹底を図るとともに、災害防止団体等の関係機関との協力の促進、発注機関との連携の強化等により労働災害防止対策の促進を図る。

⑥労働者の健康確保対策の推進 
ア メンタルヘルス対策及び過重労働対策等

 長時間労働やメンタルヘルス不調などによる健康障害を防止するため、長時間労働者に対する医師による面接指導やストレスチェック制度をはじめとするメンタルヘルス対策などの労働者の健康確保の取組が各事業場で適切に実施されるよう、引き続き指導等を行うとともに、労働者及び労災保険特別加入者のメンタルヘルス対策に係る情報提供・相談等を行う「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」」について周知を行う。

イ 産業保健活動の推進

 中小企業・小規模事業者の産業保健活動を支援するため、産業保健総合支援センターが行う産業医等の産業保健スタッフや事業者向けの研修、地域産業保健センターによる小規模事業場への医師等の訪問支援、(独)労働者健康安全機構による、事業主団体等を通じて中小企業等の産業保健活動の支援を行う団体経由産業保健活動推進助成金等について利用勧奨を行う。

 加えて、治療と仕事の両立支援に関する取組の促進のため、引き続き、ガイド  ライン等の周知啓発を行うとともに、労働局に設置する「地域両立支援推進チーム」における取組を計画的に推進し、両立支援に係る関係者の取組を相互に周知・協力する等により、地域の両立支援に係る取組の効果的な連携と一層の促進を図る。

 また、主治医、会社・産業医と患者に寄り添う両立支援コーディネーターのトライアングル型のサポート体制を推進する。このため、地域両立支援推進チーム等を通じて地域の関係者に両立支援コーディネーターの役割についての理解の普及を図るとともに、(独)労働者健康安全機構で開催する養成研修の周知・受講勧奨を図る。

⑦な化学物質規制の周知、石綿ばく露防止対策の徹底 

 令和4年2月及び5月に公布された新たな化学物質規制に係る労働安全衛生関係法令が令和6年4月から全面施行されたことから、その円滑な実施のため引き続き周知を図るとともに、SDS(Safety Data Sheet(安全データシート))等に基づくリスクアセスメント等の実施及びその結果に基づくばく露低減措置や、皮膚等障害化学物質への直接接触の防止のための保護具の使用等が適切に実施されるよう丁寧な指導を行う。

 労働者の化学物質のばく露防止に向け、工学的対策等に加え、呼吸用保護具や化学防護手袋などの保護具の適正な使用が重要であるところ、まずもって労働者の呼吸域の作業環境の濃度把握が重要であることから、個人ばく露測定の円滑な導入に向け補助金制度の活用を含めた周知を行う。

 また、リスクアセスメント対象物健康診断が適切に実施されるよう丁寧な指導を行う。

 建築物等の解体・改修作業に従事する労働者の石綿ばく露を防止するため、石綿障害予防規則(平成 17 年厚生労働省令第 21 号)等に基づき、令和5年10月から建築物、船舶(鋼製のものに限る)に義務づけられた建築物石綿含有建材調査者講習等の修了者による調査の徹底(令和8年1月からは工作物にも適用)、石綿事前調査結果報告システムによる事前調査結果等の報告や石綿除去等作業時におけるばく露防止措置の徹底、並びにリフォーム等も含む解体等工事の発注者への制度の周知を図る。

(4)労災保険給付の迅速・適正な処理 

 労災保険給付の請求については、標準処理期間内に完結するよう迅速な事務処理を行うとともに、適正な認定に万全を期する。

 特に社会的関心が高い過労死等事案をはじめとする複雑困難事案は、認定基準等に基づき、迅速・適正な事務処理を一層推進する。

 また、業務によって新型コロナウイルスに感染した事案については、その罹患後症状も含め、的確に労災保険給付を行う。

 さらに、労災保険の窓口業務については、引き続き、相談者等に対する丁寧な説明や請求人に対する処理状況の連絡等の実施を徹底する。

5 多様な働き方、働き方・休み方改革 

<課題> 

 我が国が直面する、少子高齢化や生産年齢人口の減少といった課題に対応するためには、多様な人材がその能力を最大限生かして働くことができるよう、個々のニーズ等に基づいて多様な働き方を選択でき、活躍できる環境を整備することが重要である。  

 そのため、各企業において、多様な正社員(勤務時間限定正社員、勤務地限定正社員、職務限定正社員)制度、テレワーク、勤務間インターバル制度、選択的週休3日制など、柔軟な働き方が進むよう各種施策を講じること、働き方・休み方改革の推進や年次有給休暇の取得促進等を行う必要がある。  

 特に勤務間インターバル制度については、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和3年7月30日閣議決定)において、2025年(令和7年)までに、①勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満とすること、②勤務間インターバル制度を導入している企業割合を 15%以上とすることの2つの数値目標が掲げられているところ、直近の令和5年において、それぞれ、①19.2%、②6.0%にとどまっている。また年次有給休暇についても、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和3年7月 30 日閣議決定)や「少子化社会対策大綱」(令和2年5月 29 日閣議決定)において、2025 年(令和7年)までに年次有給休暇取得率 70%以上とする政府目標に対し、令和4年には過去最高の 62.1%となったものの、いまだ政府目標に届いていないところであり、このことから、一層の取組を推進することが求められている。  

<取組>

(1)「多様な正社員」制度に係る導入支援等の実施 

多様な正社員制度について、事例の提供等による更なる周知等を行う。

(2)適正な労務管理下におけるテレワークの推進 

 テレワークは子育てや介護と仕事との両立、ワーク・ライフ・バランスの向上、働き方改革の促進等に資するものであるため、適正な労務管理の下で安心して働くことができるテレワークの導入・定着促進を図る。

 企業におけるテレワークの導入・定着促進のため、中小企業事業主を対象とした「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」の相談・申請があった場合は、懇切丁寧な対応を行う。加えて、テレワークの導入や働き方の見直しについて相談があった企業等に対し、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」に沿った助言や、本省で実施している、テレワーク相談センター及びセミナーの案内、様々な機会を捉えての施策の周知など、テレワークに関する企業の環境整備に対する支援を徹底する。

(3)勤務間インターバル制度導入促進のための支援の実施 

 勤務間インターバル制度の導入促進に当たっては、企業等に対し、導入の効果や導入フローを分かりやすく説明することが重要である。 

 このため、企業等への説明会(ワークショップを含む)の際には、働き方・休み方改善ポータルサイトに掲載されている専門家によるアーカイブ動画や導入マニュアルを活用し、実例に即した説明を行うなど、丁寧な対応を行う。

 加えて、働き方改革推進支援助成金を活用して、時間外労働の削減等に取り組む中小企業等への制度の導入促進を図る。

(4)年次有給休暇の取得促進に向けた働き方等の見直し及び選択的週休3日制の普及促進のための支援等の実施 

 年次有給休暇の取得促進に向けて、年次有給休暇の時季指定義務の周知徹底や、計画的付与制度及び時間単位年次有給休暇の導入促進を行うとともに、例年 10 月に実施している「年次有給休暇取得促進期間」や、年次有給休暇を取得しやすい時季に集中的な広報を行う。

 また、地域のイベントや学校休業日の分散化(キッズウィーク)に合わせて年次有給休暇が取得できるよう取り組むとともに、病気休暇、ボランティア休暇等の特別休暇についても、企業への導入を図る。

選択的週休3日制度については、事例の提供等による更なる周知等を行う。

(5)労働施策総合推進法に基づく協議会等について 

 労働施策総合推進法に基づく協議会や地方版政労使会議については、中小企業・小規模事業者における働き方改革、賃金引上げに向けた環境整備及び地域における若者や非正規雇用労働者等の労働環境等の改善に向けて、地域の政労使の代表者や地方公共団体の協力を得て、それぞれの会議体を適切な時期に開催し、構成員が講ずる支援策の紹介等を行うなど、機運の醸成に努める。

6 多様な人材の就労・社会参加の促進

<課題> 

 少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、我が国の経済社会の活力を維持・向上させるためには、働く意欲がある高年齢者が年齢にかかわりなくその能力・経験を十分に発揮し、活躍できる社会を実現することが重要である。このため、事業主において 65 歳までの高年齢者雇用確保措置が確実に講じられるよう取り組むことが必要である。また、65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置の努力義務について、事業主の取組の促進を図ることが重要である。さらに、高年齢者雇用に積極的に取り組む企業への支援や、65 歳を超えても働くことを希望する高年齢求職者に対する再就職支援等が必要である。

 令和4年 12 月の臨時国会において、多様な就労ニーズへの対応や、雇用の質の向上等を図る観点から、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の改正を含む法律が成立した。また、令和6年4月以降、法定雇用率 2.7%(公務部門 3.0%)に向けた段階的な引上げや、除外率の 10 ポイント引下げが予定されており、改正障害者雇用促進法の円滑な施行とあわせて、障害者の雇入れ支援等の強化が必要である。

 外国人労働者が、安心して働き、その能力を十分に発揮する環境を確保するため、支援体制の整備を推進する必要がある。

 また、外国人労働者数は年々増加しており、今後も、様々な在留資格の外国人労働者の増加が見込まれる。そうした中で、外国人労働者の雇用管理のための事業主への指導、相談支援等がより一層重要となる。

<取組>          

(1)高齢者の就労による社会参加の促進、高齢者が安心して安全に働くための職場環境の整備等 

①70 歳までの就業機会確保等に向けた環境整備や高年齢労働者の処遇改善を行う企業への支援

 70 歳までの就業機会確保等に向けた環境整備を図るため、事業主と接触する機会を捉えて、65 歳を超える定年引上げや継続雇用制度の導入等に向けた意識啓発・機運醸成を図るほか、60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇改善を行う企業への支援(高年齢労働者処遇改善促進助成金)を行う。

 また、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「高障求機構」という。)において実施している65歳超雇用推進助成金や70歳雇用推進プランナー等による支援が必要と判断される事業主を把握した場合には、高障求機構都道府県支部へ支援を要請する等、効果的な連携を行う。

②ハローワークにおける生涯現役支援窓口などのマッチング支援

 65 歳以上の再就職支援に重点的に取り組むため、全国 300 か所のハローワークに設置する「生涯現役支援窓口」において、高年齢者のニーズ等を踏まえた職業生活の再設計に係る支援や支援チームによる効果的なマッチング支援を行うとともに、公益財団法人産業雇用安定センターにおいて実施している、高年齢退職予定者のキャリア情報等を登録し、その能力の活用を希望する企業に対して紹介する「高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業」についての周知を図る等、効果的な連携を行う。

③シルバー人材センターなどの地域における多様な就業機会の確保

 地域の高年齢者の就業促進を図るため、地域の様々な機関が連携して高年齢者の多様な形での就業を促進する「生涯現役地域づくり環境整備事業」を実施する。

 また、高年齢求職者の多様な就業ニーズに対応するため、シルバー人材センターが提供可能な就業情報を定期的に把握し、臨時的かつ短期的又は軽易な就業を希望する高年齢者には、シルバー人材センターへの誘導を行う。

 一方、早期に求人充足に至る可能性が低い求人を提出している事業主に対しては、シルバー人材センターで取り扱う仕事を説明し、シルバー人材センターの活用を相談・助言する。

④高年齢労働者の労働災害防止対策の推進

 高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境の実現に向けた「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)及び中小企業による高年齢労働者の労働災害防止対策等を支援するための補助金(エイジフレンドリー補助金)の周知を図る。

(2)障害者の就労促進 

①中小企業をはじめとした障害者の雇入れ等の支援

 令和5年4月からの新たな法定雇用率が 2.7%とされ、令和6年4月から 2.5%、令和8年7月から 2.7%に段階的に引き上げられるとともに、令和7年4月に除外率が 10 ポイント引き下げられる予定である。今後、雇用率未達成企業の大幅な増加が見込まれることから、特に除外率設定業種や新たに雇用義務が生じる 37.5 人以上~ 43.5 人未満規模の企業へ早期の周知・啓発を実施し、障害者の計画的な雇入れを促進する。あわせて、特に雇用義務があるにも関わらず障害者を1人も雇用していない企業(以下「障害者雇用ゼロ企業」という。)をはじめ、障害者雇用の経験やノウハウが不足している企業等に対して、ハローワークと地域の関係機関が連携し、採用の準備段階から採用後の職場定着までの一貫したチーム支援等を実施する。その際、企業が抱える不安や課題に応じた支援を行うこと等により、障害者の雇入れを一層促進する。労働局が委託して実施する障害者就業・生活支援センターについては、障害者の就労支援における雇用施策と福祉施策を繋ぐ機能を有しており、その役割は一層重要になっていることから、適切かつ効果的な支援を実施するため、機能の強化を図る。

②改正障害者雇用促進法の円滑な施行

 改正障害者雇用促進法により、①特定短時間労働者(週所定労働時間が 10 時間以上 20 時間未満の重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者)の実雇用率算定、②障害者雇用相談援助助成金の新設を始めとする納付金助成金の新設・拡充が、令和6年4月に施行される予定である。

 そのうち、特に、①について、法改正の趣旨を踏まえ、障害者の職業的自立を促進する観点から、週 20 時間以上の雇用の実現を目指すことが望ましいことや、事業主には障害者の有する能力に応じて勤務時間を延長する努力義務があること等について、障害者本人、事業主、関係機関に周知する。

 また、障害者雇用ゼロ企業を含めた法定雇用率未達成企業に対する雇用率達成指導等において、特に中小企業や除外率設定業種(特に除外率引下げによる影響の大きい企業)を中心に、必要に応じて障害者雇用相談援助助成金の利用を勧奨する。

③精神障害者、発達障害者、難病患者等の多様な障害特性に対応した就労支援 

 精神障害者、発達障害者、難病患者である求職者について、ハローワークに専門の担当者を配置するなど多様な障害特性に対応した就労支援を推進する。特に、発達障害等により就職活動に困難な課題を抱える学生等に関しては就職準備から就職・職場定着までの一貫した支援を実施するとともに、難病患者である求職者に関してはハローワークと難病相談支援センター等との連携による就労支援体制の強化を図る。

 また、障害者の職業訓練については、都道府県等において、障害者職業能力開発校における職業訓練や障害者委託訓練等を実施しており、労働局及びハローワークにおいては、障害者の職業能力開発の促進が図られるよう、都道府県等と連携のうえ、障害者の職業訓練の周知や受講勧奨、就職支援等を実施する。周知等に当たっては、令和4年に改正された障害者雇用促進法において、事業主の責務に職業能力の開発及び向上に関する措置が含まれることが明確化されたことを踏まえ、障害者の雇用後の能力開発及び向上に向けて、労働局及びハローワークにおいて企業ニーズの把握とともに都道府県等が実施する在職者訓練の活用を促す。

④障害者の雇用を促進するためのテレワークの支援

 事業主に対して雇用率達成指導を行う際や障害者雇用の普及啓発を行う際には、障害者雇用に取り組む一つの選択肢としてテレワークを提案するほか、障害者をテレワークにより雇用したいと考えている事業所等に対しては、本省が委託して実施する企業向けのセミナー及び相談支援に誘導することを通じて、障害者の雇用を普及促進するためのテレワークの推進を図る。

⑤公務部門における障害者の雇用促進・定着支援

 ①と同様に、令和5年4月からの新たな法定雇用率が 3.0%とされ、令和6年4月から 2.8%、令和8年7月から 3.0%と段階的に引き上げられるとともに、令和7年4月に除外率が 10 ポイント引き下げられる予定である。公務部門においても雇用率達成に向けた計画的な採用が行われるよう、労働局及びハローワークから啓発・助言等を行う。また、雇用される障害者の雇用促進・定着支援を引き続き推進するため、労働局及びハローワークにおいて、障害特性に応じた個別支援、障害に対する理解促進のための研修等を行う。

(3)外国人求職者等への就職支援、企業での外国人労働者の適正な雇用管理の推進 

①外国人求職者等に対する就職支援
ア 外国人留学生等に対する相談支援の実施

 ハローワークの外国人雇用サービスセンターや留学生コーナーにおいて、大学のキャリアセンター等と緊密に連携しつつ、留学生の国内就職の促進のために、留学早期からの就職準備に向けた説明会・面接会やインターンシップ等での情報提供も含めた手厚い就職支援を実施する。特に、大学と就職支援協定を締結したハローワークにおいては、当該大学と連携し、外国人留学生の国内就職推進に向け一貫した支援を実施する。

イ 定住外国人等に対する相談支援の実施

 定住外国人等が多く所在する地域を管轄するハローワーク(外国人雇用サービスコーナー)において、専門相談員による職業相談や、個々の外国人の特性に応じた求人開拓のほか、外国人を支援するNPO法人等との連携強化により、早期再就職支援及び安定的な就労の確保に向けた支援を実施する。

ウ 外国人就労・定着支援事業の実施

 身分に基づく在留資格の外国人等を対象に、日本の職場におけるコミュニケーション能力の向上やビジネスマナー等に関する知識の習得を目的とした研修を通じ、安定的な就職と職場への定着が可能となるよう、受託事業者と連携した就労・定着支援を実施する。

②ハローワーク等における多言語相談支援体制の整備

 地域の実情を踏まえ、職業相談窓口に通訳員を配置するとともに、電話や映像を用いた通訳・多言語音声翻訳機器等の活用や、外国人求職者への多言語による情報発信等により、外国人求職者に対する職業相談等を円滑に実施できる体制を整備する。

③外国人労働者の適正な雇用管理に関する助言・援助等の実施

 外国人労働者に対する適正な雇用管理の確保を図るため、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」に基づき、事業所訪問及び労働局やハローワークにおける事業主向けの雇用管理セミナーの実施等を通じて、適正な雇用管理に関する助言・援助等を積極的に実施する。

 また、外国人雇用状況届出については、外国人雇用関係業務はもとより、不法就労等対策にも活用されていることから、外国人雇用状況届出制度の適正な対応を行う。

④外国人雇用労働実態調査の実施

 外国人労働者の雇用管理の実態、労働移動の実態を適切に把握するため、外国人労働者を雇用する事業所及び雇用されている労働者を対象に調査を行う外国人雇用実態調査について、10 月の調査実施に向けて、外国人労働者問題啓発月間や外国人雇用管理セミナー、雇用管理指導の機会等を活用し、広く周知を図るとともに、調査への協力依頼を行う。

⑤外国人労働者の労働条件等の相談・支援体制の整備

 地域の実情に即し、外国語で対応できる相談員を労働局や監督署に配置することで、全国で合計 13 言語に及ぶ外国人労働者向け多言語労働相談体制の整備を図るとともに、外国人労働者が容易に理解できる労働安全衛生に関する視聴覚教材等の周知等効果的な安全衛生教育の実施を促進することにより、労働災害防止対策を推進する。

⑥外国人労働者雇用労務責任者講習モデル事業について

 外国人雇用管理指針に定める雇用労務責任者として有すべき知識や能力を備えた人材を育成することを目的に、令和6年度から試行的実施を予定している雇用労務責任者講習の実施を予定しているため、外国人労働者問題啓発月間や管内の外国人雇用事業所に対する雇用管理指導の機会等を活用し、広く受講勧奨を行う。

(4)雇用保険制度の適正な運営 

 雇用失業情勢や働き方の多様化の進展等制度をとりまく諸情勢に的確に対応し、雇用のセーフティネットとしての役割を果たすため、給付業務について、雇用保険受給資格者の早期再就職の実現に向けた的確な失業認定や適正な給付を行うとともに、適用業務については、オンライン申請の利用促進や未手続事業・労働者の把握・解消に向けた計画的な取組を行う。

 現在一部の局で実施しているデジタル技術を活用した失業認定については、効果検証を行いながら、行政サービスの向上の観点からさらなる取組を進めていく。

 また、適正な給付や受給者の利便性向上のため、手続時のマイナンバーの届出を一層推進するとともに、マイナンバーと被保険者番号との紐づけや個人情報の管理に当たって厳正な事務処理を徹底する。

 雇用関係助成金については、制度目的が果たされるようその周知に努めるとともに、雇用関係助成金ポータルを通じた電子申請の利用勧奨に努め、利用率の向上を図る。また、近年の不正受給件数の増加等を踏まえ、事業主や社会保険労務士等に対し、適正な申請について周知を行った上で、審査等に当たり実地調査を行うなどにより適正支給に努め、不正受給等への厳正な対処を徹底する。

 雇用保険の適用拡大、教育訓練給付の給付率引上げ等を内容とする雇用保険法等改正案及び、育児休業給付の給付率引上げや育児時短就業給付の創設を含む、子ども・子育て支援法等改正案が成立した場合は、円滑な施行と改正内容の周知に努める。

7 就職氷河期世代、多様な課題を抱える若年者・新規学卒者の支援 

<課題>   

 いわゆる就職氷河期世代は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、希望する就職ができず、現在も不本意ながら不安定な仕事に就いている、無業の状態にあるなど、様々な課題に直面している者がいる。そのため、「第二ステージ」の2年目である令和6年度においても、引き続き、就職氷河期世代の抱える固有の課題(希望する職業とのギャップ、実社会での経験不足等)や今後の人材ニーズを踏まえつつ、個々人の状況に応じた支援に取り組む必要がある。取組に当たっては、就職氷河期世代活躍支援都道府県プラットフォームを通じて、地方公共団体や関係団体等地域一体となって進める。

 また、新規学卒者等においては、おおむね新型コロナウイルス感染症拡大前の水準まで就職環境は改善したものの、一方で、心身の不調や家庭・経済環境の問題等の多様な課題を抱え、就職活動に際して特別な配慮や支援を必要とする者が顕在化していることに加え、若年非正規労働者等においても同様の傾向が見られることから、個々人の課題に応じたきめ細かな支援に取り組む必要がある。

<取組>

(1)就職氷河期世代に対するハローワークの専門窓口における専門担当者による就職相談、職業紹介、職場定着までの一貫した伴走型支援の推進 

 専門担当者によるチームを結成し、個別の支援計画に基づき、キャリアコンサルティング、生活設計面の相談、必要な能力開発施策へのあっせん、求職者の適性・能力等を踏まえた求人開拓、就職後の定着支援などを計画的かつ総合的に実施する。また、事業所が多く立地している地域で求人開拓等の取組を集中的に実施する。

(2)地域若者サポートステーションにおける就職氷河期世代を含む就労自立支援 

 就職氷河期世代も含め、就労に当たって課題を有する無業者の方々に対し、地域若者サポートステーションにおいて、地方公共団体の労働関係部局等の関係者とも連携しながら、職業的自立に向けた継続的な支援を推進する。

(3)新卒応援ハローワーク等における多様な課題を抱える新規学卒者等への支援 

 就職活動に多様な課題を抱える新規学卒者等を重点的に支援することとし、学校や関係機関とも連携しつつ、新卒応援ハローワーク等に配置された就職支援ナビゲーターによる担当者制のきめ細かな個別支援を実施する。

(4)正社員就職を希望する若者への就職支援  

 正社員就職を希望する若者(35 歳未満で安定した就労の経験が少ない求職者)を対象に、わかものハローワーク等に配置された就職支援ナビゲーターによる担当者制の職業相談、個別支援計画に基づくきめ細かな就職支援、職業訓練部門との連携による能力開発支援、就職後の定着支援の実施など、ステップアップ型の計画的で一貫した支援を通じて正社員就職の実現を図る。