情報通信機器を用いた産業医活動可能、留意事項示される

労働安全衛生法

 令和2年8月27日付け基発0827第1号「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について」により安全衛生委員会への産業医等委員の参加が、また、令和2年11月19日付け基発1119第2号「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」により産業医の面接指導についてもWeb会議システムを使用して参加することが認められ、急速なデジタル技術の進展に伴い、情報通信機器を用いて遠隔で産業医の職務を実施することへのニーズが高まっていること等を踏まえ、遠隔で産業医の職務の一部を実施することについて、令和3年3月31日付け基発0331第4号「情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について」により産業医がWeb会議システムを使用する場合の留意事項が示された

参考

  1. 令和2年8月27日付け基発第0827第1号「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について」
    1. 1 基本的な考え方
    2. 2  情報通信機器を用いた安全委員会等の開催に係る留意事項
      1. (1)安全委員会等の開催に用いる情報通信機器について、次のアからウまでの要件を全て満たすこと。
      2. (3)その他の留意事項
  2. 令和2年11月19日付け基発1119第2号「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」
    1. 1 基本的な考え方
    2. 2   情報通信機器を用いた面接指導の実施に係る留意事項
      1. (1)事業者は、面接指導を実施する医師に対し、面接指導を受ける労働者が業務に従事している事業場に関する事業概要、業務の内容及び作業環境等に関する情報並びに対象労働者に関する業務の内容、労働時間等の勤務の状況及び作業環境等に関する情報を提供しなければならないこと。また、面接指導を実施する医師が、以下のいずれかの場合に該当することが望ましいこと。
      2. (2) 面接指導に用いる情報通信機器が、以下の全ての要件を満たすこと。
      3. (4)情報通信機器を用いた面接指導において、医師が緊急に対応すべき徴候等を把握した場合に、労働者が面接指導を受けている事業場その他の場所の近隣の医師等と連携して対応したり、その事業場にいる産業保健スタッフが対応する等の緊急時対応体制が 整備されていること。
  3. 令和3年3月31日付け基発0331第4号「情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について」
    1. 1 基本的な考え方  
    2. 2 情報通信機器を用いて遠隔で産業医の職務を実施する場合における留意すべき事項
      1. (1)共通事項
      2. (2)使用する情報通信機器について
      3. (3)個別の職務ごとに留意すべき事項
      4. (4)情報通信機器を用いて遠隔で行う産業医の職務に関する事業者の留意事項

令和2年8月27日付け基発第0827第1号「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について」

1 基本的な考え方

 安全委員会等は、事業者が講ずべき安全衛生対策の推進について、事業者に対して意見を述べさせるために設置・運営されるものであり、労使が協力し合い、事業場における安全衛生に係る事項について、十分に調査審議を尽くすことが必要不可欠である。
 近年の急速なデジタル技術の進展に伴い、情報通信機器を用いて安全委員会等を開催することへのニーズが高まっているが、情報通信機器を用いた開催においても、事業場における安全衛生に係る問題の十分な調査審議が確保されるよう、事業者は、記の2に留意の上、事業場の実情に応じた適切な方法により、安全委員会等の設置・運営を行う必要がある。

2  情報通信機器を用いた安全委員会等の開催に係る留意事項

(1)安全委員会等の開催に用いる情報通信機器について、次のアからウまでの要件を全て満たすこと。

ア  安全委員会等を構成する委員(以下「委員」という。)が容易に利用できること。

イ  映像、音声等の送受信が常時安定しており、委員相互の意見交換等を円滑に実施することが可能なものであること。

ウ 取り扱う個人情報の外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止の措置が講じられていること。

(2)安全委員会等の運営について、次のア又はイのいずれかの要件を満たすこと。

ア  対面により安全委員会等を開催する場合と同様に、情報通信機器を用いた安全委員会等において、委員相互の円滑な意見交換等が即時に行われ、必要な事項についての調査審議が尽くされていること。
 なお、音声通信による開催やチャット機能を用いた意見交換等による開催については、調査審議に必要な資料が確認でき、委員相互の円滑な意見交換等及び必要な事項についての十分な調査審議が可能であること。

イ 情報通信機器を用いた安全委員会等はアによって開催することを原則とするが、委員相互の円滑な意見交換等及び必要な事項についての十分な調査審議が可能となるよう、開催期間、各委員への資料の共有方法及び意見の表明方法、委員相互で異なる意見が提出された場合の調整方法、調査審議の結果を踏まえて事業者に対して述べる意見の調整方法等について次の(ア)から(エ)までに掲げる事項に留意の上、予め安全委員会等で定められている場合は、電子メール等を活用した即時性のない方法により開催することとして差し支えないこと。

(ア) 資料の送付等から委員が意見を検討するための十分な期間を設けること。

(イ) 委員からの質問や意見が速やかに他の委員に共有され、委員間で意見の交換等を円滑に行うことができること。その際、十分な調査審議が可能となるよう、委員全員が質問や意見の内容を含む議論の経緯を確認できるようにすること。

(ウ) 委員からの意見表明等がない場合、当該委員に対し、資料の確認状況及び意見提出の意思を確認すること。

(エ) 電子メール等により多数の委員から異なる意見が提出された場合等には委員相互の意見の調整が煩雑となることから、各委員から提出された意見の調整に必要な連絡等を行う担当者を予め定める等、調査審議に支障を来すことがないようにすること。

(3)その他の留意事項

 情報通信機器を用いて開催した安全委員会等においても、委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容のほか、委員会における議事で重要なものについて、法第103条第1項及び労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第23条第4項に基づき、書面により記録し、これを保存する必要があること。
 なお、電磁的記録※により作成及び保存する場合には、平成17年3月31 日付け基発第0331014号「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令について」記の第2の1の(4)において「労働基準局所管法令の規定に基づく書類については、労働基準監督官等の臨検時等、保存文書の閲覧、提出等が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていることが必要であること」等とされていることに留意する必要があること。
※電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。

令和2年11月19日付け基発1119第2号「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」

1 基本的な考え方

 法第66条の8第1項において、面接指導は「問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと」とされており、医師が労働者と面接し、労働者とのやりとりやその様子(表情、しぐさ、話し方、声色等)から労働者の疲労の状況やストレスの状況その他の心身の状況を把握するとともに、把握した情報を元に必要な指導や就業上の措置に関する判断を行うものであるため、労働者の様子を把握し、円滑にやりとりを行うことができる方法により行う必要がある。ただし、面接指導を実施する医師が必要と認める場合には、直接対面によって行う必要がある。
 近年の急速なデジタル技術の進展に伴い、情報通信機器を用いて面接指導を行うことへのニーズが高まっているが、情報通信機器を用いて面接指導を行う場合においても、労働者の心身の状況の確認や必要な指導が適切に行われるようにするため、以下2に掲げる事項に留意する必要がある。

2   情報通信機器を用いた面接指導の実施に係る留意事項

(1)事業者は、面接指導を実施する医師に対し、面接指導を受ける労働者が業務に従事している事業場に関する事業概要、業務の内容及び作業環境等に関する情報並びに対象労働者に関する業務の内容、労働時間等の勤務の状況及び作業環境等に関する情報を提供しなければならないこと。また、面接指導を実施する医師が、以下のいずれかの場合に該当することが望ましいこと。

① 面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合

② 面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的な健康管理に関する業務を担当している場合。

③  面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。

④  面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に指導等を実施したことがある場合。

(2) 面接指導に用いる情報通信機器が、以下の全ての要件を満たすこと。

①  面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。

②  情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。

③  労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

(3)情報通信機器を用いた面接指導の実施方法等について、以下のいずれの要件も満たすこと。

① 情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。

② 情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること。

(4)情報通信機器を用いた面接指導において、医師が緊急に対応すべき徴候等を把握した場合に、労働者が面接指導を受けている事業場その他の場所の近隣の医師等と連携して対応したり、その事業場にいる産業保健スタッフが対応する等の緊急時対応体制が 整備されていること。

令和3年3月31日付け基発0331第4号「情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について」

1 基本的な考え方  

 近年の急速なデジタル技術の進展に伴い、情報通信機器を用いて遠隔で産業医の職務の一部を実施することへのニーズが高まっている。
 産業医は、健康診断の実施、長時間労働者に対する面接指導の実施及び心理的な負担の程度を把握するための検査等並びにそれぞれの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置、作業環境維持管理、作業管理、労働者の健康管理、労働者の健康の保持増進を図るための措置、衛生教育、労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置で、医学に関する専門的知識を必要とするものを行うことを職務とされている。
 事業者は、情報通信機器を用いた場合においても、事業場における労働衛生水準を損なうことがないよう、2に掲げる事項に留意し、産業医が産業医学の専門的立場から労働者一人ひとりの健康確保のために効果的な活動を行いやすい環境を整備する必要がある。
  なお、当該留意すべき事項に基づき産業医の職務を実施する場合においては、産業医として選任された事業場以外の場所から遠隔でその職務の一部を実施することとして差し支えないものである。

2 情報通信機器を用いて遠隔で産業医の職務を実施する場合における留意すべき事項

(1)共通事項

ア 産業医の職務のうち、情報通信機器を用いて遠隔で実施することとする職務の範囲やその際の留意事項等について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、労働者に周知していること。

イ 法第13 条第4項の規定に基づき産業医に対して必要な情報を提供する際に、情報通信機器を用いて遠隔で職務を実施する産業医に、適時に、労働者の健康管理に必要な情報が円滑に提供される仕組みを構築していること。

ウ 産業医の職務のうち、情報通信機器を用いて遠隔で実施することとする職務についても、産業医が必要と認める場合には、事業場において産業医が実地で作業環境等を確認することができる仕組みを構築していること。

エ 産業医が情報通信機器を用いて遠隔で職務を実施する場合においても、事業場の周辺の医療機関との連携を図る等の必要な体制を構築していること。

(2)使用する情報通信機器について

ア 情報通信機器を用いて通信等を行う産業医や労働者が容易に利用できるものであること。

イ 映像、音声等の送受信が常時安定しており、相互の意見交換等を円滑に実施することが可能なものであること。

ウ 取り扱う個人情報の外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止の措置を講じること。特に労働者の心身の状態に関する情報については、個人データに対するアクセス管理、個人データに対するアクセス記録の保存、ソフトウェアに関する脆弱性対策等の技術的安全管理措置を適切に講じること。

(3)個別の職務ごとに留意すべき事項

ア 医師による面接指導(労働安全衛生規則(昭和47 年労働省令第32 号。以下「安衛則」という。)第14 条第1項第2号及び第3号関係)
 法第66 条の8第1項、第66 条の8の2第1項、第66 条の8の4第1項及び第66条の10 第3項の規定に基づく面接指導について情報通信機器を用いて遠隔で実施する際には、「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66 条の8第1項、第66 条の8の2第1項、第66 条の8の4第1項及び第66 条の10 第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」(平成27 年9月15 日付け基発0915 第5号(令和2年11 月19 日最終改正))に基づき、当該通達で示す留意事項を遵守するとともに、面接指導を実施する医師が必要と認める場合には直接対面により実施すること。

イ 作業環境の維持管理及び作業の管理(安衛則第14 条第1項第4号及び第5号関係)
 作業環境の維持管理及び作業の管理については、安衛則第15 条の規定に基づく産業医の定期巡視の実施の際は、実地で作業環境や作業内容等を確認する必要があること。また、事業場の作業環境や作業内容等を踏まえ、産業医が追加的に実地で確認する頻度について検討することが適当であること。なお、製造工程や使用する化学物質を変更する等、事業場の作業環境や作業内容等に大きな変更が生じる場合は、産業医が実地で確認することが適当であること。

ウ 衛生教育(安衛則第14 条第1項第8号関係)

 衛生教育については、情報通信機器を用いて遠隔で実施する際には、「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」(令和3年1月25 日付け基安安発0125 第2号、基安労発0125 第1号、基安化発0125 第1号)に基づき実施すること。

エ 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置(安衛則第14 条第1項第9号関係)

 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置については、労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止対策の策定について、医学に関する専門的知識を踏まえた検討を行うことが求められているものであり、視覚や聴覚を用いた情報収集だけでなく、臭いや皮膚への刺激等嗅覚や触覚による情報を得る必要もあることが想定されることから、原則として、事業場において産業医が実地で作業環境等を確認すること。ただし、労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置について取りまとめられた報告書等を確認する等により、事業場において産業医が実地での作業環境等の確認は不要であると判断した場合には、この限りではない。

オ 定期巡視(安衛則第15 条関係)

 産業医の定期巡視については、少なくとも毎月1回(安衛則第15 条で定める条件を満たす場合は少なくとも2月に1回)、産業医が実地で実施する必要があること。定期巡視においては、作業場等を巡視し、労働者にとって好ましくない作業環境や作業内容等を把握するとともに、健康診断や健康相談だけからでは得られない労働者の健康に関する情報を得て、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、その場で労働者の健康障害を防止するための必要な措置を講じる必要があること。

カ 安全衛生委員会等への出席(法第17 条、第18 条及び第19 条関係)

 情報通信機器を用いてオンラインで開催される安全衛生委員会等へ出席する際には、「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17 条、第18 条及び第19 条の規定に基づく安全委員会等の開催について」(令和2年8月27 日付け基発0827 第1号)に基づく必要があること。

(4)情報通信機器を用いて遠隔で行う産業医の職務に関する事業者の留意事項

 産業医は、産業医学の専門的立場から、独立性及び中立性をもってその職務を行うことができるよう、健康管理等に必要な情報の提供を事業者に求めることができ、また、その職務を実施するために必要な権限が付与されている。産業医はこの趣旨を踏まえ、情報通信機器を用いて遠隔で実施することが適当でないと認める職務については、実地で現場を確認するとともに、情報通信機器を用いて遠隔で産業医の職務を実施する場合においても、労働者一人ひとりの健康を確保するために必要と認めるときは、事業者に対して、健康管理等に必要な情報を提供するよう求める等、必要な対応を行うことが重要であること。事業者は、これらを踏まえ、産業医が効果的な活動が行えるよう、配慮すること。

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