長時間労働抑制を図るための重点監督の実施結果

労働基準法

「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果

 令和3年5月7日、厚生労働省は、令和2年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果を公表しました。
 主な重点監督の結果は、労働基準関係法令の違反が疑われる9,120事業場に対して集中的に実施監督指導を実施したもので、全体の71.9%で労働基準関係法令違反が認められ、主な法違反は、違法な時間外労働30.8%、うち80時間を超えるもの22.8%、賃金不払残業5.2%、医師による面接指導等の指導33.4%、労働時間把握方法が不適切16.8%であった。また、監督指導事例も公表しています。

 重点監督の実施結果の概要を次のとおり整理してみます。

○ 重点結果の実施の背景、是正指導方針
 ① 働き方改革関連法順次施行、施行状況把握で重点監督実施
 ② 新型コロナウイルス感染症の影響でも積極的に重点監督実施
○ 是正勧告書交付状況(法違反の状況)
 ① 違反率71.9%、違法な時間外30.8%
 ② 大企業も重点監督指導対象(300人以上規模30.3%)
○ 指導票交付状況(主に健康障害防止)
  指導票事業場4,574事業場(50.2%)
○ 労働時間把握の方法
  タイムカードを基礎に確認が39.1%

1 重点結果の実施の背景、是正指導方針

① 平成31年4月1日から、長時間労働の抑制を図るため、時間外労働の上限を設けるなど働き方改革関連法が順次施行されており、施行状況を把握する必要があった。

② そのため、重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者 の「使い捨て」が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる9,120事業場に対して11月に集中的に実施した。昨年度11月の同様に8,904事業場に対して実施しており、新型コロナウイルス感染症の影響もあったが、前年同期比で216事業場(2.4%)増と厚生労働省が積極的に取り組んだ結果だと考えられます。

③ 何らかの労働基準法違反が71.9%あり、そのうち違法な時間外労働があったものが、30.8%もあり、うち22.8%が過労死ラインである月80時間を超えており、それらの事業場に対して、是正に向けた指導を行い、厚生労働省では今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとしております。本年度も同様の取組が行われるものと思われます。

(参考)令和3年度地方労働行政運営方針(20頁)

2 ウィズコロナ時代に安全で健康に働くことができる職場づくり
(2)働き方改革の実現に向けた取組について
④ 長時間労働の抑制に向けた監督指導等
 長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害を防止するため、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場及び長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を引き続き実施する

2 是正勧告書交付状況(法違反の状況)

(1) 何らかの労働基準法違反

① 全体

 何らかの労働基準法違反があったものが6,553事業場(全体の71.9%)で労働基準関係法令違反が認められた。主な法違反は、違法な時間外労働2,807事業場(全体の30.8%)、賃金不払残業478事業場(全体の5.2%)、健康障害防止措置が未実施のものが1,829事業場(全体の20.1%)であった。

② 業種別

 業種別の違反率は、運輸交通業が322事業場(全体の79.5%)、接客娯楽業が570事業場(全体の77.4%)、製造業が1,497事業場(全体の74.4%)の順であった。

③ 監督対象事業場

 監督対象事業場は、企業規模別でみて300人以上で2,764事業場(全体の30.3%)であり、大企業についても監督対象事業場として選定されていた。

(2) 違法な時間外労働の内訳

 次のとおり違法な時間外労働を行っていたものが30.8%、過労死ラインの月80時間超えが22.8%もあった。
① 違法な時間外労働     2,807事業場(30.8%)
② ①のうち月  80時間超え640事業場(22.8%)
③ ①のうち月100時間超え341事業場(12.1%)
④ ①のうち月150時間超え 59事業場( 2.1%)
⑤ ①のうち月200時間超え 10事業場( 0.4%)

3 指導票交付状況(主に健康障害防止)

 指導票を交付し改善を指導した事業場は、4,574事業場(50.2%)で、過重労働による健康障害防止措置が不十分なものが 3,046事業場(33.4%)、労働時間の把握方法が不適正なものが1,528事業場(16.8%)もあった。

4 労働時間把握の方法

 次のとおり始業・終業時刻等を記録し労働時間の把握を行っていた。
① タイムカードを基礎に確認3,573事業場(39.1%)
② 自己申告制により確認2,395事業場(26.2%)
③ ICカード、IDカードを基礎に確認1,772事業場(19.4%)
④ 使用者が自ら現認833事業場(9.1%)
⑤ PCの使用時間の記録基礎に確認566事業場(6.2%)
注:部署等によって異なる労働時間の管理方法を採用している場合、複数に計上(9,137事業場)しているため、監督指導対象事業場数(9,120事業場)と一致しない。

参考 令和2年度11月「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果

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