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育児・介護休業法

 令和元年6月5日に「女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律」が公布され、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正されました。これに伴い、令和元年12月27日に関係省令が改正され、令和2年1月15日に指針が新設・改正されました。

 令和元年6月5日に「女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律」が公布され、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正されました。これに伴い、令和元年12月27日に関係省令が改正され、令和2年1月15日に次のとおり、指針が新設・改正されました。
① 事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(以下「パワハラ指針」という。)(新設)
② 事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(以下「セクハラ指針」という。)(改正)
③ 事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(以下「妊娠・出産等指針」という。)(改正)
④ 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針(以下「育児休業等指針」という。)(改正)本改正により、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。
 また、セクシュアルハラスメント等の防止対策も強化されました。施行は、令和2年6月1日(中小企業は令和4年4月1日)からです。
 なお、「女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律」の改正の趣旨は、女性をはじめとする多様な労働者が活躍できる就業環境を整備するため、
①女性の職業生活における活躍の推進に関する一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大、情報公表の強化
②パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設
③セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化等の措置を講ずるもので、次のとおり、ハラスメント対策以外に、一般事業主行動計画の策定や情報公表の方法が順次変わります。

改正の主な内容

1. ハラスメント対策の強化

⑴ 国の施策に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決の促進」(ハラスメント対策)を明記【労働施策総合推進法】 
⑵ パワーハラスメント防止対策の法制化 【労働施策総合推進法】
① 事業主に対して、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置○義務(相談体制の整備等)を新設
○措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備
② パワーハラスメントに関する労使紛争
○都道府県労働局長による紛争解決援助
○紛争調整委員会による調停
○措置義務等について履行確保のための規定を整備

⑶ セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化

【男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法】 
① セクシュアルハラスメント等に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務の明確化 
② 労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等の相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いを禁止    
※パワーハラスメント及び妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについても同様の規定を整備

 改正内容を踏まえたハラスメント対策は、次のとおりです。

  1. パワーハラスメントの国の施策
  2. 職場におけるハラスメントの定義
    1. 職場におけるパワーハラスメント(以下「パワーハラスメント」という。)の定義
  3. 「職場」の定義(全てのハラスメント共通)
  4. 「労働者」の定義(全てのハラスメント共通)
      1. パワーハラスメントの3つの要素
      2. パワーハラスメントの判断基準
    1. 職場におけるセクシュアルハラスメント(以下「セクシュアルハラスメント」という。)の定義
      1. 「性的な言動」
      2. 「性的な内容の発言」
      3. 「性的な行動」
      4. 「言動を行う者」(行為者)
      5. 【セクシュアルハラスメントの内容】
        1. 「対価型セクシュアルハラスメント」
        2. 「環境型セクシュアルハラスメント」
    2. 職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(以下「妊娠・出産・育児休業等ハラスメント」という。)の定義
      1. 「業務上の必要性」の判断
      2. 妊娠・出産・育児休業等ハラスメントの内容
        1. 「制度等の利用への嫌がらせ」 
        2. 「状態への嫌がらせ型」
  5. 不利益取扱いの禁止
  6. ハラスメント関係指針
    1. 事業主の責務
    2. 労働者の責務
  7. 指針に定められている項目について具体的な取組
    1. 1 ハラスメントの内容、方針等の明確化と周知・啓発
    2. 2 行為者への厳正な対処方針、内容の規定化と周知・啓発
    3. 3 相談窓口の設置
    4. 4 相談窓口担当者が適切な対応ができる対応
    5. 5 事実関係の迅速・正確な確認
    6. 6 被害者に対する適正な配慮の措置の実施
    7. 7 行為者に対する適正な措置
    8. 8 再発防止措置
    9. 9 当事者等のプライバシーの保護のための措置の実施と周知
    10. 10 不利益な取扱いの禁止
  8. ハラスメントの防止のための望ましい取組
    1. 一元的に相談に応じることができる体制整備
    2. ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための取組
      1. 1 コミュニケーションの活性化や円滑化
    3. 自らの雇用する労働者以外の者に対する言動に関し行うことが望ましい取組】(育児休業等ハラスメントなし)
      1. 【事業主が他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組の内容】(パワーハラスメントのみ)
        1. 【相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備】
        2. 被害者の配慮のための取組
    4. 他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組】
  9. 「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」
  10. 内容件数
    1. 総合労働相談件数は、129万782件で前年度より8.6%増加
    2. 民事上の個別労働紛争が278,778件で前年度より0.2%減
      1. いじめ・嫌がらせ79,190件(-9.6%)
      2. 自己都合退職39,498件(-1.5%)
      3. 解雇37,826件(+9.4%)
      4. 労働条件の引き下げ32,301件(+10.4%)
      5. 退職勧奨25,560件(+12.3%)
    3. 助言・指導申出の件数は、9,130件で前年度より7.5%減
      1. いじめ・嫌がらせ1,831件(-29.4%)
      2. 自己都合退職736件(-17.5%)
      3. 解雇962件(+1.4%)
      4. 労働条件の引き下げ897件(+2.2%)
      5. 退職勧奨633件(+3.3%)
    4. あっせん申請の件数は、4,255件で前年度より18.0%減少
      1. いじめ・嫌がらせ1,261件(-31.4%)
      2. 解雇983件(-8.4%)
      3. 雇い止め427件(-10.9%)
      4. 労働条件の引き下げ313件(-9.3%)
      5. 退職勧奨299件( -15.1%)
    5. 民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全項目で、「いじめ・嫌がらせ」の件数が引き続き最多
      1. ・ 民事上の個別労働紛争の相談件数では、79,190件(前年度比9.6%減)
      2. ・ 助言・指導の申出では、1,831件(同29.4%減)
      3. ・ あっせんの申請では、1,261件(同31.4%減)
  11. 令和2年度の助言・指導とあっせんの事例は、次のとおり新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事例が多く紹介されています。
    1. 令和2年度の助言・指導とあっせんの事例
      1. 事例1 解雇に関する助言・指導
      2. 事例2 労働条件引き下げに関する助言・指導
      3. 例3 退職勧奨に関する助言・指導
      4. 事例4 いじめ・嫌がらせに関する助言・指導
    2. あっせんの例
      1. 事例1 いじめ・嫌がらせに関するあっせん
      2. 事例2 解雇に関するあっせん
      3. 事例3 雇い止めに関するあっせん
      4. 事例4 退職勧奨に関するあっせん
  12. 令和2年度厚生労働省委託事業職場のハラスメントに関する実態調査 主要点
    1. 1.調査目的等
    2. 2.調査結果の主要点
      1. 【ハラスメントの発生状況・ハラスメントに関する職場の特徴】
      2. 【ハラスメントの予防・解決のための取組状況、その効果と課題】
      3. 【ハラスメントを受けた経験】
      4. 【ハラスメント行為を受けた後の行動、ハラスメントを知った後の勤務先の対応、ハラスメントを受けていることを認識した後の勤務先の対応】
  13.  出生時両立支援コース
    1. ① 育児休業
    2. ② 育児目的休暇
  14. 介護離職防止支援コース
    1. ① 介護休業
    2. ② 介護両立支援制度
    3. ③ 新型コロナウイルス感染症対応特例
  15.  育児休業等支援コース
    1. ① 育休取得時
    2. ② 職場復帰時
    3. ③ 代替要員確保時
    4. ④ 職場復帰後支援
      1. 【子の看護休暇制度】
      2. 【保育サービス費用補助制度】
    5. ⑤ 新型コロナウイルス感染症対応特例
  16. 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース
    1. ① 対象労働者
    2. ② 支給額
    3. ③ 対象期間等
  17. 不妊治療両立支援コース
    1. ① 環境整備、休暇の取得等
    2. ② 長期休暇の加算
  18. リーフレット等
  19. 第40回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
    1. 議事次第
    2. 配付資料
  20. 育児・介護休業法改正案|令和3年6月3日|全会一致で可決・成立|
  21. 第204回国会(常会)議案審議情報件名
    1. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案
      1. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」(育児・介護休業法関係 )の経過
    2. 議案要旨(厚生労働委員会)
      1. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案(閣法第四二号)(先議)
    3. 参議院付帯決議
    4. 衆議院付帯決議

パワーハラスメントの国の施策

 労働政策総合推進法第4条に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決の促進を促進するために必要な政策を充実すること」と明記され、国の施策となりました。

<労働政策総合推進法>

(国の施策)
第四条 国は、第一条第一項の目的を達成するため、前条に規定する基本的理念に従って、次に掲げる事項について、総合的に取り組まなければならない。
(略)
十四 職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な施策を充実すること。

職場におけるハラスメントの定義

職場におけるパワーハラスメント(以下「パワーハラスメント」という。)の定義

 パワーハラスメントは、労働者の個人としての尊厳を不当に傷つけ、能力の有効な発揮を妨げるとともに、企業にとっても職場秩序や業務の遂行を阻害し、社会的評価に影響を与える問題であり、社会的に許されない行為であることは言うまでもありません。
 特に、パワーハラスメントは、いったん発生すると、被害者に加え行為者も退職に至る場合がある等双方にとって取り返しのつかない損失を被ることが多く、被害者にとって、事後に裁判に訴えることは、躊躇せざるを得ない面があることを考えると、未然の防止対策が重要であります。
 こうしたことから、労働政策総合推進法第30 条の2第1項は、パワーハラスメントを防止するため、その雇用する労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講ずることを事業主に義務付けることとしたものです。

<労働政策総合推進法>

(雇用管理上の措置等)
第三十条の二 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

 パワーハラスメントとは、職場において行われる①から③までの要素を全て満たすものと規定されました。
① 優越的な関係を背景とした言動であって
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③ 労働者の就業環境が害されるもの
 客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワーハラスメントには該当しません。
 また、実際上、パワーハラスメントの状況は多様であり、その判断に当たっては、個別の状況を斟酌する必要があります。
 なお、法及び指針は、あくまでパワーハラスメントが発生しないよう防止することを目的とするものであり、個々のケースが厳密にパワーハラスメントに該当するか否かを問題とするものではありません。

「職場」の定義(全てのハラスメント共通)

 パワーハラスメントとは、職場において行われるものとされており、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント及び育児休業等に関するハラスメントも職場において行われるものとされています。
 事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれます。セクハラ指針のみ、「取引先の事務所、取引先と打合せをするための飲食店、顧客の自宅等であっても、当該労働者が業務を遂行する場所であればこれに該当する。」と記載されています。
 なお、「職場」には、業務を遂行する場所であれば、通常就業している場所以外の場所であっても、出張先、業務で使用する車中及び取引先との打ち合わせの場所(セクシュアルハラスメントの場合:取引先の事業所、取引先と打合せをするための飲食店(接待の席も含む)、顧客の自宅(保険外交員等)の他、取引先(記者)、出張先及び業務で使用する車中)等も含まれます。
 また、勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中等であっても、実質上職務の延長と考えられるものは職場に該当しますが、その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意か等を考慮して個別に行うことが必要です。

「労働者」の定義(全てのハラスメント共通)

 いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が雇用する労働者の全てです。
 また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先)についても、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先)は、派遣労働者についてもその雇用する労働者と同様の措置を講ずる必要があります。
 なお、労働者に対する不利益な取扱いの禁止については、派遣労働者も対象に含まれるものであり、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先)もまた、パワーハラスメントの相談を行ったこと等を理由として、派遣の役務の提供を拒む等、当該派遣労働者に対する不利益な取扱いを行ってはなりません。

パワーハラスメントの3つの要素

①「優越的な関係を背景とした」言動

 当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指し、例えば、以下のもの等が含まれます。
イ 職務上の地位が上位の者による言動
ロ 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
ハ 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動

 社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指し、例えば、以下のもの等が含まれます。
イ 業務上明らかに必要性のない言動
ロ 業務の目的を大きく逸脱した言動
ハ 業務を遂行するための手段として不適当な言動
ニ 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動

③「労働者の就業環境が害される」

 当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。

パワーハラスメントの判断基準

 パワーハラスメントは、①から③までの要素を全て満たすものをいいます。
 ただし、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワーハラスメントには該当しません。
 なお、個別の事案についてその該当性を判断するに当たっては、総合的に考慮することとした事項のほか、当該言動により労働者が受ける身体的又は精神的な苦痛の程度等を総合的に考慮して判断することが必要です。
 このため、個別の事案の判断に際しては、相談窓口の担当者等がこうした事項に十分留意し、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、相談者及び行為者の双方から丁寧に事実確認等を行うことも重要です。
 これらのことを十分踏まえて、予防から再発防止に至る一連の措置を適切に講じることが必要です。

【パワーハラスメントの類型ごとの例】

 パワーハラスメントの状況は多様であるが、代表的な言動の類型としては、当該言動の類型ごとに、典型的にパワーハラスメントに該当し、又は該当しないと考えられる例として、次のようなものがあります。
 ただし、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、また、次の例は限定列挙ではないことに十分留意し、広く相談に対応する、事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認するなど、適切な対応を行うようにすることが必要です。
 なお、パワーハラスメントに該当すると考えられる例については、優越的な関係を背景として行われたものであることが前提です。

パワーハラスメントの類型・例

代表的な 言動の類型該当すると 考えられる例該当しないと 考えられる例
1 身体的な攻撃(暴行・傷害)① 殴打、足蹴りを行うこと。
② 相手に物を投げつけること。
① 誤ってぶつかること。
2 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)              ① 人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。
② 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。
③ 他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。
④ 相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。
① 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること。 ② その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。  
3 人間関係からの切り離し (隔離・仲間外し・無視)    ① 自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。
② 一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。    
① 新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実施すること。
② 懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせること。
4 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)① 長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること。
② 新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。
③ 労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。
① 労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること。
② 業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること。  
5 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)① 管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。
② 気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。
① 労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減すること。  
6 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること) *プライバシー保護の観点から、機微な個人情報を暴露することのないよう、労働者に周知・啓発する等の措置を講じることが必要である。① 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。
② 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。
① 労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと。
② 労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと。

職場におけるセクシュアルハラスメント(以下「セクシュアルハラスメント」という。)の定義

 男女雇用機会均等法第11条では、セクシュアルハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。労働者個人の問題として片付けるのではなく、雇用管理上の問題と捉え、適切な対応をとることが必要です。

<男女雇用機会均等法>

(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

 セクシュアルハラスメントは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです。
 セクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれます。 また、被害を受ける者の性的指向(※1)や性自認(※2)にかかわらず、「性的な言動」であれば、セクシュアルハラスメントに該当します。
※1人の恋愛・性愛がいずれの性別を対象とするか
※2性別に関する自己意識

 「セクシュアルハラスメントの内容」においては、事業主が、雇用管理上防止すべき対象としての職場におけるセクシュアルハラスメントの内容を明らかにするために、その概念の内容を示すとともに、典型例を挙げたものです。
 また、実際上、セクシュアルハラスメントの状況は多様であり、その判断に当たっては、個別の状況を斟酌する必要があることに留意するが必要です。

「性的な言動」

 「性的な内容の発言」及び「性的な行動」を指します。
 なお、「性的な言動」に該当するためには、その言動が性的性質を有することが必要です。
 女性労働者のみに「お茶くみ」等を行わせること自体は性的な言動には該当しませんが、固定的な性別役割分担意識に係る問題、あるいは配置に係る女性差別の問題としてとらえることが適当です。

「性的な内容の発言」

 性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること、性的冗談、からかい、食事・デート等への執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すことなどです。

「性的な行動」

 性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画(ヌードポスター等)を配布、掲示すること、強制わいせつ行為、強姦などです。

「言動を行う者」(行為者)

 事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)、上司、同僚に限らず、取引先等の他の事業主又はその雇用する労働者、顧客、患者又はその家族、学校における生徒等もなり得ます。
 なお、女性労働者が女性労働者に対して行う場合や、男性労働者が男性労働者に対して行う場合についても含まれます。
 また、被害者の性的指向*1又は性自認*2にかかわらず、当該者に対するセクシュアルハラスメントも対象となります。
*1 人の恋愛・性愛がいずれの性別を対象とするかを表すもの
*2 性別に関する自己意識をいうもの

【セクシュアルハラスメントの内容】

 「セクシュアルハラスメント」には「対価型セクシュアルハラスメント」と「環境型セクシュアルハラスメント」があります。

「対価型セクシュアルハラスメント」

 職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることです。

「環境型セクシュアルハラスメント」

 職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることです。

職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(以下「妊娠・出産・育児休業等ハラスメント」という。)の定義

 男女雇用機会均等法第11 条の3及び育児・介護休業法第25 条では、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。労働者個人の問題として片付けるのではなく、雇用管理上の問題と捉え、適切な対応をとることが必要です。

<男女雇用機会均等法>

第十一条の二 事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

<育児・介護休業法>

第二十五条 事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

 妊娠・出産・育児休業等ハラスメントとは、「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることです。
 妊娠等の状態や育児休業制度等の利用等と嫌がらせ等となる行為の間に因果関係があるものがハラスメントに該当します。
 なお、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動によるものはハラスメントには該当しません。

「業務上の必要性」の判断

 部下が休業するとなると、上司としては業務の調整を行う必要があります。妊娠中に医師等から休業指示が出た場合のように、労働者の体調を考慮してすぐに対応しなければならない休業についてまで、「業務が回らないから」といった理由で上司が休業を妨げる場合はハラスメントに該当します。
 しかし、ある程度調整が可能な休業等(例えば、定期的な妊婦健診の日時)について、その時期をずらすことが可能か労働者の意向を確認するといった行為までがハラスメントとして禁止されるものではありません。
 ただし、労働者の意をくまない一方的な通告はハラスメントとなる可能性がありますので注意してください。

妊娠・出産・育児休業等ハラスメントの内容

 「妊娠・出産・育児休業等ハラスメント」には「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」があります。

「制度等の利用への嫌がらせ」 

 次に掲げる制度又は措置(制度等)の利用に関する言動により就業環境が害されるものをいいます。

【対象となる制度又は措置】

妊娠・出産等ハラスメント育児休業等 ハラスメント
制度等利用への 嫌がらせ型状態への 嫌がらせ型制度等の利用への 嫌がらせ
① 母性健康管理措置
② 坑内就業・危険有害業務
③ 産前休業
④ 軽易業務転換
⑤ 時間外・休日・深夜業の制限 ⑥ 育児時間
① 妊娠
② 出産
③ 坑内就業・危険有害業務
④ 産後休業
⑤ 妊娠、は出産に起因する症状  
① 育児休業
② 介護休業
③ 子の看護休暇
④ 介護休暇
⑤ 所定外労働の制限
⑥ 時間外労働の制限
⑦ 深夜業の制限
⑧ 所定働時間短縮
⑨ 始業時刻変更

【防止措置が必要となるハラスメント】

1 解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの
 労働者が、制度等の利用の請求等(措置の求め、請求又は申出をいう。以下同じ。)をしたい旨を上司に相談したことや制度等の利用の請求等をしたこと、制度等の利用をしたことにより、上司がその労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆することです。

2 制度等の利用の請求等又は制度等の利用を阻害するもの 以下のような言動が該当します。
① 労働者が制度の利用の請求をしたい旨を上司に相談したところ、上司がその労働者に対し、請求をしないように言うこと。
② 労働者が制度の利用の請求をしたところ、上司がその労働者に対し、請求を取り下げるよう言うこと。
③ 労働者が制度の利用の請求をしたい旨を同僚に伝えたところ、同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に、請求をしないように言うこと。
④ 労働者が制度利用の請求をしたところ、同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に、その請求等を取り下げるよう言うこと。

3 制度等を利用したことにより嫌がらせ等をするもの
 労働者が制度等の利用をしたところ、上司・同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすることをいいます。
 「嫌がらせ等」とは、嫌がらせ的な言動、業務に従事させないこと、又は専ら雑務に従事させることをいいます。

「状態への嫌がらせ型」

 女性労働者が妊娠したこと、出産したこと等に関する言動により就業環境が害されるものをいいます。
【防止措置が必要となるハラスメント】
1 解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの
 女性労働者が妊娠等したことにより、上司がその女性労働者に対し、解雇その他の不利益な取扱いを示唆することです。
2 妊娠等したことにより嫌がらせ等をするもの
 女性労働者が妊娠等したことにより、上司・同僚がその女性労働者に対し、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすること。

不利益取扱いの禁止

【ハラスメントを理由とする不利益取扱いの禁止】

<労働政策総合推進法>(パワーハラスメント)

(雇用管理上の措置等) 第三十条の二(新設) 2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。 (紛争の解決の援助) 第三十条の五(新設)  2 第三十条の二第二項の規定は、労働者が前項の援助を求めた場合について準用する。 (調停の委任) 第三十条の六(新設)  2 第三十条の二第二項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。

<男女雇用機会均等法>(セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等ハラスメント)

改正前 (紛争の解決の援助) 第十七条  2 事業主は、労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(全面改正) (調停の委任) 第十八条 2 前条第二項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
改正後 (職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等) 第十一条  2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(新設) (職場における妊娠、出産等言動に関する起因する問題に関する雇用管理上の措置等) 第十一条条の三 2 第十一条第二項の規定は、労働者が前項の相談を行い、又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べた場合について準用する。 (紛争の解決の援助) 第十七条  2 第十一条第二項の規定は、労働者が前項の援助を求めた場合について準用する。(全面改正)

 <育児・介護休業法>(育児休業等ハラスメント)

改正前 (紛争の解決の援助) 第五十二条の四 2 事業主は、労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(全面改正) (調停の委任) 第五十二条の五 2 前条第二項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
改正後 (職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等) 第二十五条  2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(新設) (紛争の解決の援助) 第五十二条の四  2 第二十五条第二項の規定は、労働者が前項の援助を求めた場合について準用する。(全面改正)

 改正前は、紛争解決の援助を求めたこと、調整の申請を行ったことを理由に解雇その他不利益な取扱が禁止されていたが、改正後は、これに加え、労働者が相談したこと、事実確認等の協力をしたことを理由として解雇その他不利益な取扱が禁止されることになった。
 なお、この不利益取扱の対象拡大については、男女雇用機会均等法(性的言動問題)の改正だけでなく、男女雇用機会均等法(妊娠・出産等関係言動問題)及び育児・介護休業法(育児休業等言動問題)の改正も行われ、パワーハラスメントだけでなく、セクシュアルハラスメント及び妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントにおいても、事業主は、労働者が事業主にハラスメントに関する相談をしたこと等を理由として、不利益な取扱いをすることが禁止される等職場におけるハラスメント対策全体が強化されました。

【パワーハラスメント】
 法第30 条の2第2項は、労働者が事業主から不利益な取扱いを受けることを懸念して、職場におけるパワーハラスメントに関する相談や事業主の相談対応に協力して事実を述べることを躊躇することがないよう、事業主がこれらを理由として解雇その他不利益な取扱いを行うことを禁止することとしたものです。
 「理由として」とは、労働者がパワーハラスメントに関する相談を行ったことや事業主の相談対応に協力して事実を述べたことが、事業主が当該労働者に対して不利益な取扱いを行うことと因果関係があることをいうものです。
 「不利益な取扱い」となる行為の例については、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(以下「性差別禁止指針」という。)第4の3⑵に掲げるものと同様です。
 また、個別の取扱いが不利益な取扱いに該当するか否かについての勘案事項については、性差別禁止指針第4の3⑶に掲げる事項に準じて判断すべきものです。
 なお、当該言動を直接受けた労働者だけでなく、それを把握した周囲の労働者からの相談を理由とする解雇その他不利益な取扱いについても、法第30 条の2第2項の規定による禁止の対象に含まれます。

【セクシュアルハラスメント】 
 法第11条第2項は、労働者が事業主から不利益な取扱いを受けることを懸念して、セクシュアルハラスメントに関する相談や事業主の相談対応に協力して事実を述べることを躊躇することがないよう、事業主がこれらを理由として解雇その他不利益な取扱いを行うことを禁止することとしたものです。
 「理由として」とは、労働者がセクシュアルハラスメントに関する相談を行ったことや事業主の相談対応に協力して事実を述べたことが、事業主が当該労働者に対して不利益な取扱いを行うことと因果関係があることをいうものです。
 「不利益な取扱い」となる行為の例については、性差別禁止指針第4の3⑵に掲げるものと同様であること。また、個別の取扱いが不利益な取扱いに該当するか否かについての勘案事項については、性差別禁止指針第4の3⑶に掲げる事項に準じて判断すべきものです。
 なお、当該言動を直接受けた労働者だけでなく、それを把握した周囲の労働者からの相談を理由とする解雇その他不利益な取扱いについても、法第11条第2項の規定による禁止の対象に含まれます。
 法第11条第3項は、同条第1項の雇用管理上の措置の対象となる職場におけるセクシュアルハラスメントの行為者には、セクハラ防止指針2⑷にあるとおり、取引先等の他の事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)や他の事業主の雇用する労働者も含まれるものであるところ、その問題解決を円滑に図るに当たっては、被害を受けた労働者を雇用する事業主が講ずる事実関係の確認や再発防止などの雇用管理上の措置に、行為者を雇用する事業主が協力することが望まれることから、協力を求められた場合に事業主がこれに応じる努力義務を設けることとしたものです。

【妊娠・出産・育児休業等ハラスメント】
 男女雇用機会均等法第9条第3項では、女性労働者の妊娠・出産等厚生労働省令で定める事由を理由とする解雇その他不利益取扱いを禁止しています。禁止される不利益取扱いの具体的内容については、指針(※)において示しています。

<男女雇用機会均等法>(妊娠・出産等ハラスメント)

第九条 3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、その他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

厚生労働省令で定める妊娠又は出産に関する事由(第2条の3)

1 妊娠したこと。
2 出産したこと。
3 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)を求め、又は当該措置を受けたこと。
4 坑内業務の就業制限若しくは危険有害業務の就業制限の規定により業務に就くことができないこと、坑内業務に従事しない旨の申出若しくは就業制限の業務に従事しない旨の申出をしたこと又はこれらの業務に従事しなかったこと。
5 産前休業を請求し、若しくは産前休業をしたこと又は産後の就業制限の規定により就業できず、若しくは産後休業をしたこと。
6 軽易な業務への転換を請求し、又は軽易な業務に転換したこと。
7 事業場において変形労働時間制がとられる場合において1週間又は1日について法定労働時間を超える時間について労働しないことを請求したこと、時間外若しくは休日について労働しないことを請求したこと、深夜業をしないことを請求したこと又はこれらの労働をしなかったこと。
8 育児時間の請求をし、又は育児時間を取得したこと。
9 妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したこと。 ※「妊娠又は出産に起因する症状」とは、つわり、妊娠悪阻(にんしんおそ)、切迫流産、出産後の回復不全等、妊娠又は出産をしたことに起因して妊産婦に生じる症状をいいます。

妊娠・出産等を理由とする不利益取扱の例

イ 解雇すること。
ロ 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
ハ あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
ニ 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規雇用社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
ホ 降格させること。
ヘ 就業環境を害すること。
ト 不利益な自宅待機を命ずること。
チ 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
リ 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
ヌ 不利益な配置の変更を行うこと。
ル 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。
※ 「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」

【育児休業等の申出・取得等を理由とする不利益取扱い】

 育児・介護休業法第10 条等では、育児休業等の申出・取得等を理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止しています。禁止される不利益取扱いの具体的内容については、指針(※)において示しています。
(参考)<育児・介護休業法>(育児・介護等ハラスメント)

第十条 事業主は、労働者が育児休業の申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。 (育児・介護休業法第16 条、第16 条の4、第16 条の7、第16 条の10、第18 条の2、第20 条の2、第23 条の2) ※ 育児休業の他、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮等の措置について申出をし、又は制度を利用したことを理由とする解雇その他不利益な取扱いについても禁止

① {解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合においては、当該行為は民事上無効と解されます。
② 禁止される解雇その他不利益な取扱いとは、労働者が育児休業の申出又は取得をしたこととの間に因果関係がある行為であることを示したものであり、育児休業の期間中に行われる解雇等がすべて禁止されるものではありません。 

不利益取扱い禁止の対象となる制度

①育児休業(育児のために原則として子が1歳になるまで取得できる休業)
②介護休業(介護のために対象家族1 人につき最大で3回まで分割して通算93 日間取得できる休業)
③子の看護休暇(子の看護のために年間5 日間(子が2人以上の場合10 日間)取得できる休暇)
④介護休暇(介護のために年間5 日間(対象家族が2人以上の場合10 日間)取得できる休暇)
⑤所定外労働の制限(育児又は介護のための残業免除)
⑥時間外労働の制限(育児又は介護のため時間外労働を制限(1 か月24 時間、1 年150 時間以内))
⑦深夜業の制限(育児又は介護のため深夜業を制限)
⑧所定労働時間の短縮措置(育児又は介護のため所定労働時間を短縮する制度)
⑨始業時刻変更等の措置(育児又は介護のために始業時刻を変更する等の制度)

育児休業等の申出・取得等を理由とする不利益取扱いの例

イ 解雇すること。
ロ 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
ハ あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
ニ 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規雇用社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
ホ 自宅待機を命ずること。
ヘ 労働者が希望する期間を超えて、その意に反して所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限又は所定労働時間の短縮措置等を適用すること。
ト 降格させること。
チ 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
リ 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
ヌ 不利益な配置の変更を行うこと。
ル 就業環境を害すること。
ヲ 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。

ハラスメント関係指針

事業主の責務

 事業主は、ハラスメントを行ってはならないことハラスメント問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる広報活動、啓発活動その他の措置に協力するように努めなければなりません。
 なお、ハラスメントに起因する問題としては、例えば、労働者の意欲の低下などによる職場環境の悪化や職場全体の生産性の低下、労働者の健康状態の悪化、休職や退職などにつながり得ること、これらに伴う経営的な損失等が考えられます。
 また、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、パワーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、労働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。)に対する言動に必要な注意を払うように努めなければなりません。

労働者の責務

 労働者は、ハラスメント問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる措置に協力するように努めなければなりません。

指針に定められている項目について具体的な取組

 次に事業主が雇用管理上講ずべき措置の方法について、それぞれの指針及び運用通達に示されたものを示します。

1 ハラスメントの内容、方針等の明確化と周知・啓発

 事業主は、ハラスメントを防止するためには、まず事業主の方針としてハラスメントを行ってはならないことを明確にするとともに、これを従業員に周知・啓発しなければなりません。

2 行為者への厳正な対処方針、内容の規定化と周知・啓発

 事業主は、行為者に対する方針等を明確化しなければなりません。

3 相談窓口の設置

 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知しなければなりません。

4 相談窓口担当者が適切な対応ができる対応

 相談窓口の担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるように、しなければなりません。

5 事実関係の迅速・正確な確認

 事実関係を迅速かつ正確に確認しなければなりません。セクシュアルハラスメントの場合は、必要に応じて、他の事業主に事実関係の確認への協力を求めることも含まれます。

6 被害者に対する適正な配慮の措置の実施

 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行わなければなりません。

7 行為者に対する適正な措置

 行為者に対する措置を適正に行わなければなりません。

8 再発防止措置

 改めてハラスメントに関する方針を周知・啓発する等の再発防止を行わなければなりません。

(妊娠・出産等ハラスメント及び育児休業等ハラスメントのみ)

 事業主は、職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するため、業務体制の整備など、事業主や妊娠等した労働者の実績に応じ、必要な措置を講じなければならない(派遣労働者にあっては、派遣元事業主に限る。)。

9 当事者等のプライバシーの保護のための措置の実施と周知

 相談者・行為者等のプライバシーを保護のため、次に示す取組を行わなければなりません。

10 不利益な取扱いの禁止

 労働者が解雇等の不利益な取扱いをされないため、次に示す取組を行わなければなりません。

ハラスメントの防止のための望ましい取組

 事業主は、当該事業主が雇用する労働者又は当該事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)が行うハラスメントを防止するため、上記措置に加え、次の取組を行うことが望ましい。

一元的に相談に応じることができる体制整備

 ハラスメントは、その他のハラスメントと複合的に生じることが想定されることから、事業主は、例えば、セクシュアルハラスメント等の相談窓口と一体的に、ハラスメントの相談窓口を設置し、一元的に相談に応じることのできる体制を整備することが望ましい。  

ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための取組

 事業主は、ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するため、次の取組を行うことが望ましい。
 なお、取組を行うに当たっては、労働者個人のコミュニケーション能力の向上を図ることは、ハラスメントの行為者・被害者の双方になることを防止する上で重要であることや、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、ハラスメントには該当せず、労働者が、こうした適正な業務指示や指導を踏まえて真摯に業務を遂行する意識を持つことも重要であることに留意することが必要です。 

1 コミュニケーションの活性化や円滑化

 コミュニケーションの活性化や円滑化のため、次に示す取組を行わなければなりません。

(パワーハラハラスメントのみ)

1 コミュニケーションの活性化や円滑化のために研修等の必要な取組を行うこと。
2 職場環境の改善のための取組

 適正な業務目標の設定等の職場環境の改善のため、次に示す取組を行わなければなりません。

(パワーハラスメントのみ)

2 適正な業務目標の設定等の職場環境の改善のための取組を行うこと。

(妊娠・出産等、育児休業等ハラスメントのみ)

 制度等の利用の意識、周囲と円滑なコミュニケーション 事業主は、職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するため、妊娠等した労働者の側においても、制度等の利用ができるという知識を持つことや、周囲と円滑なコミュニケーションを図りながら自身の体調等に応じて適切に業務を遂行していくという意識を持つこと等を、妊娠等した労働者に周知・啓発することが望ましい。

3 アンケート調査や意見交換等の実施、衛生委員会の活用

 雇用管理上の措置がハラスメントの防止のために適切かつ有効なものとなるようにするため、次に示す取組を行わなければなりません。

 事業主は、必要に応じて、労働者や労働組合等の参画を得つつ、アンケート調査や意見交換等を実施するなどにより、その運用状況の的確な把握や必要な見直しの検討等に努めることが重要です。なお、労働者や労働組合等の参画を得る方法として、衛生委員会の活用なども考えられます。

自らの雇用する労働者以外の者に対する言動に関し行うことが望ましい取組】(育児休業等ハラスメントなし)

 事業主及び労働者の責務の趣旨に鑑みれば、事業主は、当該事業主が雇用する労働者が、他の労働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。)のみならず、個人事業主、インターンシップを行っている者等の労働者以外の者に対する言動についても必要な注意を払うよう配慮するとともに、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)自らと労働者も、労働者以外の者に対する言動について必要な注意を払うよう努めることが望ましい。

【事業主が他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組の内容】(パワーハラスメントのみ)

【相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備】

 事業主は、他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関する労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備を行うことが望ましい。
 また、併せて、労働者が当該相談をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発することが望ましい。このため、次に示す取組を行わなければなりません。
1 相談先(上司、職場内の担当者等)をあらかじめ定め、これを労働者に周知すること。
2 相談を受けた者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。

被害者の配慮のための取組

 事業主は、相談者から事実関係を確認し、他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為が認められた場合には、速やかに被害者に対する配慮のための取組を行うことが望ましい。

他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組】

 他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為からその雇用する労働者が被害を受けることを防止する上では、事業主が、こうした行為への対応に関するマニュアルの作成や研修の実施等の取組を行うことも有効と考えられます。
 また、業種・業態等によりその被害の実態や必要な対応も異なると考えられることから、業種・業態等における被害の実態や業務の特性等を踏まえて、それぞれの状況に応じた必要な取組を進めることも、被害の防止に当たっては効果的と考えられます。
 なお、取引先等の他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為については法の雇用管理上の措置の対象には含まれませんが、その雇用する労働者への安全配慮の観点から、これらについても事業主が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組です。

 厚生労働省は、令和2年6月30日、「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。

「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」

 厚生労働省は、令和2年6月30日、「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。

「いじめ・嫌がらせ」の件数が引き続き最多で「解雇」等に関する民事上の個別労働紛争が前年度より増加しました。その内容は次のとおりです。

内容件数

総合労働相談件数は、129万782件で前年度より8.6%増加

13年連続で100万件を超え、高止まり

民事上の個別労働紛争が278,778件で前年度より0.2%減

いじめ・嫌がらせ79,190件(-9.6%)

自己都合退職39,498件(-1.5%)

解雇37,826件(+9.4%)

労働条件の引き下げ32,301件(+10.4%)

退職勧奨25,560件(+12.3%)

助言・指導申出の件数は、9,130件で前年度より7.5%減

いじめ・嫌がらせ1,831件(-29.4%)

自己都合退職736件(-17.5%)

解雇962件(+1.4%)

労働条件の引き下げ897件(+2.2%)

退職勧奨633件(+3.3%)

あっせん申請の件数は、4,255件で前年度より18.0%減少

いじめ・嫌がらせ1,261件(-31.4%)

解雇983件(-8.4%)

雇い止め427件(-10.9%)

労働条件の引き下げ313件(-9.3%)

退職勧奨299件( -15.1%)

民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全項目で、「いじめ・嫌がらせ」の件数が引き続き最多

・ 民事上の個別労働紛争の相談件数では、79,190件(前年度比9.6%減)

9年連続最多

・ 助言・指導の申出では、1,831件(同29.4%減)

8年連続最多

・ あっせんの申請では、1,261件(同31.4%減)

7年連続最多

令和2年度の助言・指導とあっせんの事例は、次のとおり新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事例が多く紹介されています。

令和2年度の助言・指導とあっせんの事例

事例1 解雇に関する助言・指導

事案の概要

 申出人は契約期間の定めのあるパート労働者として勤務していたところ、新型コロナウイルス感染症の影響により事業の継続が困難になったとして契約期間が満了する前での解雇を通告された。申出人は、解雇の理由に納得できないので詳細な解雇理由を求めるとともに、少なくとも契約期間満了までの継続雇用を求めたいとして、助言・指導を申し出たもの。

助言・指導の内容・結果

● 事業主に対し、労働契約法第17条で期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由でなければ、その契約期間が満了するまでの間は、労働者を解雇することができない旨を説明した。その上で、申出人に対して解雇に至った経緯を詳細に説明するとともに、少なくとも契約期間満了までの継続雇用を行うべく話し合いを実施するよう助言した。

● 助言に基づき、事業主は、申出人に対して解雇を通告するに至った経緯を詳細に説明するとともに、休業手当を支払い契約期間満了まで継続雇用することとした。

事例2 労働条件引き下げに関する助言・指導

事案の概要

 申出人は、パート労働者として勤務していたところ、事業主から新型コロナウイルス感染症の影響により業務体制の縮小を図るため所定労働日を週5日から週4日に減らす旨を通告されたことから、配置転換等により従来の所定労働日を維持するよう求めたが、不調に終わった結果、申出人の合意なく所定労働日を一方的に減らされた。申出人は、今後の生活のためにも従来通りの労働条件で働き続けたいため事業主と改めて話し合いを行いたいとして、助言・指導を申し出たもの。

助言・指導の内容・結果

● 事業主に対し、就業規則の変更によらない個々の労働契約の変更については、労働者の合意なく一方的に変更することは労働契約法第8条に抵触する可能性がある旨を説明し、申出人と話し合うよう助言した。

● 助言に基づき、紛争当事者間で話し合いが行われ、所定労働日は週4日となったものの、事業主は申出人に対し経済的補償として週5日で勤務した場合と同等の賃金を支払うこととした。

例3 退職勧奨に関する助言・指導

事案の概要

 申出人は、契約期間の定めのあるパート労働者として勤務していたところ、事業主から勤務態度の不良を理由に契約期間満了前での退職を検討するよう求められたものの(いわゆる退職勧奨)、退職勧奨に至る理由に納得できなかったため退職勧奨の撤回と契約期間満了までの継続雇用を求めたが、不調に終わった。申出人は、今後の生活のためにも解決策を見い出すため事業主と改めて話し合いを行いたいとして助言・指導を申し出たもの。

助言・指導の内容・結果

● 事業主に対し、労働者の自由な意思決定を妨げる退職勧奨は違法な権利侵害に当たる場合がある旨を説明し、申出人と話し合うよう助言した。

● 助言に基づき、紛争当事者間で話し合いが行われ、事業主は退職勧奨を撤回するとともに、契約期間満了まで継続雇用することとした。

事例4 いじめ・嫌がらせに関する助言・指導

事案の概要

 申出人は介護職員として勤務していたところ、新型コロナワクチンを接種したが、発熱等の副反応が出たことから、2回目の接種は控えることとした。その後、上司から「医師の診断書を提出しない限り接種してもらう。」、「他の労働者や利用者に感染させたらどうするのか、謝罪しろ。」などと暴言を吐かれるとともに、同僚からも陰口を叩かれるなどの嫌がらせを受けたため、精神的な不調が生じている。申出人は、上司や同僚のいじめ・嫌がらせ行為を止めさせるなどの職場環境の改善を求めたいとして、助言・指導を申し出たもの。

助言・指導の内容・結果

● 事業主に対し、予防接種法により新型コロナワクチンの接種は努力義務であること、いじめ・嫌がらせに関する事案を放置した場合に労働契約法第5条に基づく労働者の安全配慮義務に違反するおそれがあることから、実態を把握の上、対策を講じる必要があり得る旨を助言した。

● 助言に基づき、事業主は、当事者からの聴き取りを通じて実態調査を実施した結果、申出人が申し出た事実を確認したことから、会社としていじめ・嫌がらせに該当し得る言動を防止するための職場環境改善に取り組むこととした。事

あっせんの例

事例1 いじめ・嫌がらせに関するあっせん

事案の概要

 申請人は正社員として勤務していたところ、上司や同僚から威圧的な口調で叱責されたり人格を否定されたりするなどのいじめ・嫌がらせを受けたことが原因で不眠症等を発症したため、職場環境を改善してほしい旨を本社担当者に求めたが、改善されず退職することとなった。申請人は、事業主が職場環境の改善策を講じなかったことによる精神的損害に対して70万円の慰謝料を求めたいとして、あっせんを申請したもの。

あっせんのポイント・結果

● あっせん委員が被申請人(事業主)の主張を確認したところ、被申請人は、申請人に対するいじめ・嫌がらせについては否定したものの、紛争の迅速な解決を図る観点から一定額の慰謝料を支払う用意がある旨を申し出た。

● これを受けて、あっせん委員が双方譲歩可能な解決策を調整した結果、慰謝料として50万円を支払うことで合意した。

事例2 解雇に関するあっせん

事案の概要

 申請人は正社員として勤務していたところ、事業主から新型コロナウイルス感染症の影響により取引先から注文が止まったため、申請人に行わせる作業がないとして解雇を通告された。申請人は、自身のみが解雇の対象になっていることに納得できないことと今度の生活のため、解雇の撤回または解雇による経済的損害に対して300万円の補償金を求めたいとして、あっせんを申請したもの。

あっせんのポイント・結果

● あっせん委員が被申請人(事業主)の主張を確認したところ、被申請人は、①申請人が従事していた業務以外は新型コロナウイルス感染症の影響を受けていないため他の労働者を解雇する必要がないこと、②申請人の能力を踏まえると配置転換は非常に難しいことから、申請人を解雇すること、③解雇に当たって、賃金2か月分に相当する補償金を支払っているとして、申請人が主張する金額の補償金の支払いを拒否した。

● これを受けて、あっせん委員が迅速な解決に向け双方譲歩可能な解決策を調整した結果、補償金として200万円を支払うことで合意した。

事例3 雇い止めに関するあっせん

事案の概要

 申請人は契約期間の定めのあるパート労働者として勤務していたところ、事業主から勤務態度や業務遂行能力を理由に雇い止めを通告されたものの、これらの理由に納得できなかったため、雇い止めの撤回を求めたが、拒否された。申請人は、雇い止めの撤回または撤回されない場合の経済的損害に対して150万円の補償金を求めたいとして、あっせんを申請したもの。

あっせんのポイント・結果

● あっせん委員が被申請人(事業主)の主張を確認したところ、被申請人は、申請人に対して上司の指示に従わずに業務を進める態度を改めるよう複数回指導してきたが一向に改善せず、これ以上の能力向上が認められないとして、雇い止めを通告するに至ったため、雇い止めの撤回はできないが、紛争の迅速な解決を図る観点から一定額の補償金を支払う用意がある旨を申し出た。

● これを受けて、あっせん委員が双方譲歩可能な解決策を調整した結果、補償金として60万円を支払うことで合意した。

事例4 退職勧奨に関するあっせん

事案の概要

 申請人はパート労働者として勤務していたところ、事業主から新型コロナウイルス感染症の影響により休業するため退職するよう迫られたが、継続雇用を求めたところ、感染症が収束した時点で再雇用する旨の提案を受けたことから、やむなく退職することとした。申請人は、今後の生活のため、経済的損害に対して15万円の補償金を求めたいとして、あっせんを申請したもの。

あっせんのポイント・結果

● あっせん委員が被申請人(事業主)の主張を確認したところ、被申請人は、同感染症が収束するまでの間の自宅待機または収束後に再雇用することを条件に退職するかの提案を行い、申請人が自らの意思で退職したものと認識していたが、紛争の迅速な解決を図る観点から一定額の補償金を支払う用意がある旨を申し出た。

● これを受けて、あっせん委員が双方譲歩可能な解決策を調整した結果、補償金として8万円を支払うことで合意した。

 厚生労働省は、全国の企業・労働者等を調査し、職場のハラスメントに関する実態調査を実施し、令和3年4月30日、その結果を取りまとめ公表した。

 厚生労働省は、全国の企業・労働者等を調査し、職場のハラスメントに関する実態調査を実施し、令和3年4月30日、その結果を取りまとめ公表した。その結果は、パワハラ、顧客等からの著しい迷惑行為、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、就活等セクハラでは「件数は変わらない」の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」の割合が最も高く、方針の明確化と周知・啓発を実施している企業は8割程度だが、相談窓口担当者が相談内容や状況に応じて適切に対応できるための対応の割合は4割程度であった。

資料

別添1 職場のハラスメントに関する実態調査 主要点
別添2 職場のハラスメントに関する実態調査 報告書概要
別添3 職場のハラスメントに関する実態調査 報告書本体


電子書籍「瞬時にわかる根拠・比較 一元的なハラスメント防止対策を! 法令・指針・運用通達で改正内容を読み解く」
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令和2年度厚生労働省委託事業職場のハラスメントに関する実態調査 主要点

1.調査目的等

○ 平成28年度に実施した職場のパワーハラスメントに関する実態調査から4年が経過し、ハラスメントの対策に取り組む企業割合や労働者の状況も変化していると考えられることから、本調査を実施。
○ 本調査は、企業調査と労働者等調査からなるアンケート調査。令和2年10月に実施。

2.調査結果の主要点

【ハラスメントの発生状況・ハラスメントに関する職場の特徴】

○ 過去3年間のハラスメント相談件数の推移については、パワハラ、顧客等からの著しい迷惑行為、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、就活等セクハラでは「件数は変わらない」の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」の割合が最も高かった。
○ 過去3年間のハラスメント該当件数の推移については、顧客等からの著しい迷惑行為については「件数が増加している」の方が「件数は減少している」よりも多いが、それ以外のハラスメントについては、「件数は減少している」のほうが「件数は増加している」より多かった。
○ 職場の特徴として、パワハラ・セクハラともに「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」、「ハラスメント防止規定が制定されていない」、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」、「残業が多い/休暇を取りづらい」等の特徴について、ハラスメントを経験した者と経験しなかった者の差が特に大きい。

【ハラスメントの予防・解決のための取組状況、その効果と課題】

○ パワハラ、セクハラおよび妊娠・出産・育児休業等・介護休業等ハラスメントに関する雇用管理上の措置として、「ハラスメントの内容、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知・啓発」および「相談窓口の設置と周知」を実施している企業は8割程度だが、相談窓口担当者が相談内容や状況に応じて適切に対応できるための対応」の割合は4割程度であった。
○ 全てのハラスメントにおいて、勤務先が「積極的に取り組んでいる」と回答した者で、ハラスメントを経験した割合が最も低く、「あまり取り組んでいない」と回答した者は経験した割合が最も高い 。
○ ハラスメントの予防・解決に向けた取組を進める上での課題としては、「ハラスメントかどうかの判断が難しい」の割合が最も高く、次いで「発生状況を把握することが困難」が高かった。

【ハラスメントを受けた経験】

○ パワハラ、セクハラおよび顧客等からの著しい迷惑行為について、過去3年間での勤務先での経験有無・頻度を聞いたところ、各ハラスメントを一度以上経験した者の割合は、パワハラが 31.4 %、顧客等からの著しい迷惑行為が 15.0%、セクハラが10.2 %となった 。
○ 過去5 年間に就業中に妊娠 出産した女性労働者の中で、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は、26.3%であった。過去5 年間の妊娠に至る前に、妊娠・出産等に関する否定的な言動(いわゆるプレマタハラ)を経験したと回答した者の割合は17.1% であった。また、過去 5 年間に育児に関わる制度を利用しようとした男性労働者の中で、育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は、26.2%であった 。
○ 回答者の中で、就職活動中またはインターンシップ参加中にセクハラ(就活等セクハラ(※))を経験した者の割合は25.5 であった。
(※)この調査では、就職活動中のセクハラだけでなく、インターンシップ参加中のセクハラの経験についても調査しており、就職活動中またはインターンシップ参加中に経験したセクハラを「就活等セクハラ」としている。

【ハラスメント行為を受けた後の行動、ハラスメントを知った後の勤務先の対応、ハラスメントを受けていることを認識した後の勤務先の対応】

○ ハラスメントを受けた後の行動として、パワハラ、セクハラでは「何もしなかった」の割合が最も高かった。一方、顧客等からの著しい迷惑行為では、「社内の上司に相談した」の割合が最も高く、次いで「社内の同僚に相談した」が高かった 。
○ ハラスメントを知った後の勤務先の対応としては、パワハラでは「特に何もしなかった」(47.1%)、セクハラでは「あなたの要望を聞いたり、問題を解決するために相談にのってくれた」(34.6%)、顧客等からの著しい迷惑行為では、「あなたの要望を聞いたり、問題を解決するために相談にのってくれた」(48.6%)の割合が最も高かった 。
○ パワハラ認定後の勤務先の対応としては、「行為者に謝罪させた」(28.5%が最も多く、次いで「何もしなかった」(22.3%)であった。セクハラ認定後の勤務先の対応としては、「会社として謝罪をした」(32.4%)が最も多く、次いで「行為者に謝罪させた」(27.0%)が多かった。

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 出生時両立支援コース

 男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得した男性労働者が生じた事業主及び育児目的休暇を導入し男性労働者の利用者が生じた事業主に対して助成

① 育児休業

【1人目の育休取得】
  28.5万円<36万円>(中小企業57万円<72万円>)
【2人目以降の育休取得】
 a 14日以上1か月未満 14.25万円<18万円>
 b  1か月以上2か月未満 23.75万円<30万円>
 c  2か月以上 33.25万円<42万円>
(中小企業)
 a 5日以上14日未満 14.25万円<18万円>
 b  14日以上1か月未満 23.75万円<30万円>
 c  1か月以上 33.25万円<42万円>
  ※1企業あたり1年度10人まで※対象労働者の育休取得を後押しする取組を実施した場合以下の金 
  額を加算。
 【1人目】 5万円<6万円>(中小企業10万円<12万円>)
 【2人目以降】 2.5万円<3万円>(中小企業5万円<6万円>)

② 育児目的休暇

  14.25万円<18万円>(中小企業28.5万円<36万円>)
  ※1企業1回まで支給

介護離職防止支援コース

 介護支援プランを策定し、プランに基づき労働者の円滑な介護休業の取得・職場復帰に取り組み、介護休業を取得した労働者が生じた中小企業事業主、又は仕事と介護との両立に資する制度(介護両立支援制度)の利用者が生じた中小企業事業主に対して助成
 新型コロナウイルス感染症への対応として家族を介護するために有給休暇を取得した労働者が生じた中小企業事業主に対して助成

① 介護休業

【休業取得時】 28.5万円<36万円>
【職場復帰時】 28.5万円<36万円>

② 介護両立支援制度

 28.5万円<36万円>
 ※それぞれ、1企業あたり1年度5人まで支給

③ 新型コロナウイルス感染症対応特例

【有給休暇取得日数が5日以上10日未満】 20万円
【有給休暇取得日数が10日以上】 35万円
※1企業あたり、上記2つあわせて5人まで支給

 育児休業等支援コース

 育休復帰支援プランを策定し、プランに基づき労働者の円滑な育児休業の取得・職場復帰に取り組み、育児休業を取得した労働者が生じた中小企業事業主に対して助成
 育児休業取得者の代替要員を確保するとともに、育児休業取得者を原職復帰させた中小企業事業主に対して助成
 育児休業から復帰後の支援として、法を上回る子の看護休暇制度や保育サービス費用補助制度を導入し、労働者に利用させた中小企業事業主に対して助成
 新型コロナウイルス感染症の影響による小学校等の臨時休業等により子どもの世話をする労働者のために特別休暇制度及び両立支援制度を導入し、特別休暇の利用者が出た事業主に対して助成

① 育休取得時

   28.5万円<36万円>

② 職場復帰時

   28.5万円<36万円>
   ※業務代替労働者への職場支援等の取組をした場合②の金額に19万円<24万円>加算
   ※1企業あたり雇用期間の定めのない労働者1人、有期雇用労働者1人の計2人まで支給

③ 代替要員確保時

     47.5万円<60万円>
    ※育児休業取得者が有期雇用労働者の場合、9.5万円<12万円>加算
    ※1企業あたり1年度10人まで支給(最初の支給から5年間に限る)

④ 職場復帰後支援

【子の看護休暇制度】

・ 制度導入時 28.5万円<36万円>

・ 制度利用時 取得した休暇時間数に1,000円<1,200円>を乗じた額

【保育サービス費用補助制度】

・ 制度導入時 28.5万円<36万円>

・ 制度利用時 事業主が負担した費用の3分の2の額

 ※制度導入時の助成は「子の看護休暇制度」「保育サービス費用補助制度」いずれかについて、1企業あたり1回まで支給
 ※制度利用時の助成は1企業1年度あたり「子の看護休暇制度」は200時間<240時間>、「保育サビス費用補助制度」は20万円<24万円>まで支給

⑤ 新型コロナウイルス感染症対応特例

    対象労働者1人当たり5万円
    ※1企業あたり対象労働者延べ10人まで支給(上限50万円)

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース

 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師等の指導により、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給(年次有給休暇で支払われる賃金相当額の6割以上)の休暇制度(年次有給休暇を除く)を設け、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容を含めて社内に周知し、当該休暇を合計20日以上労働者に取得させた事業主に対して助成

① 対象労働者

 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として休業が必要な妊娠中の女性労働者(雇用保険被保険者に限る)

② 支給額

 対象労働者1人当たり 28.5万円(1事業所当たり5人まで)

③ 対象期間等

 令和3年4月1日~令和4年1月31日
(※新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の告示の適用期間)
 ※上記に加えて、左記の休暇制度を設け、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容を含めて社内に周知し、当該休暇を5日以上労働者に取得させた事業主に対する助成金を設けている(15万円 1回限り)

不妊治療両立支援コース

 不妊治療のために利用可能な休暇制度・両立支援制度(①不妊治療のための休暇制度(特定目的・多目的とも可))、②所定外労働制限制度、③時差出勤制度、④短時間勤務制度、⑤フレックスタイム制度、⑥テレワーク)の利用しやすい環境整備に取り組み、不妊治療を行う労働者の相談に対応し、休暇制度や①~⑥の両立支援制度を労働者に利用させた中小企業事業主に対して助成

① 環境整備、休暇の取得等

 1事業主当たり 28.5万円 < 36万円 >

 ※「不妊治療プラン」を策定し、不妊治療と仕事の両立のための社内のニーズの調査や、利用できる休暇制度等の周知を行い、当該プランに基づき、休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)以上利用労働者に取得又は利用させた事業主

② 長期休暇の加算

 1人当たり 28.5万円 < 36万円 >

 ※連続20日以上休暇を取得し、原職復帰後3か月以上継続勤務させた場合1事業主当たり、1年 度5人まで

リーフレット等

両立支援等助成金の概要

両立支援等助成金のご案内

令和3年度両立支援等助成金介護離職防止支援コース「新型コロナウイルス感染症対応特例」のご案内

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇制度導入助成金のご案内

不妊治療と仕事の両立を支援する助成金のご案内「両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)

 令和3年6月3日、2月26日に国会に提出した男性の育児休業取得を促進する育児・介護休業法と雇用保険法の改正案が衆議院本会議で全会一致で可決されました。この法案は、4月16日、参院本会議で可決されており、参院先議だったため、衆議院での可決にて成立となりました。子供が生まれてから8週の間に、夫が最大計4週分の休みを取れる特例措置「出生時育児休業」(男性版産休)を新設するなどが次の資料のとおり改正されたものです。なお、令和3年8月30日に第40回労働政策審議会雇用環境・均等分科会が開催されました。

第40回労働政策審議会雇用環境・均等分科会

 令和3年8月30日に第40回労働政策審議会雇用環境・均等分科会が開催されました。

議事次第

配付資料

育児・介護休業法改正案|令和3年6月3日|全会一致で可決・成立|

 令和3年6月3日、2月26日に国会に提出した男性の育児休業取得を促進する育児・介護休業法と雇用保険法の改正案が衆議院本会議で全会一致で可決されました。この法案は、4月16日、参院本会議で可決されており、参院先議だったため、衆議院での可決にて成立となりました。子供が生まれてから8週の間に、夫が最大計4週分の休みを取れる特例措置「出生時育児休業」(男性版産休)を新設するなどが次の資料のとおり改正されたものです。

令和3年6月4日に法改正

健康保険法も改正されました。

令和3年6月4日に法改正

国家公務員法(定年延長)も改正されました。

改正育児・介護休業法リーフレット

改正育児・介護休業法の概要

(参考)

第204回国会(常会)議案審議情報件名

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」(育児・介護休業法関係 )の経過

<経過>
令和3年1月18日 男性の育児休業取得促進策等 について(建議)
1月27日 厚生労働大臣から労働政策審議会に対し、「 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律 案要綱」について諮問
2月 5日 労働政策審議会 から 厚生労働大臣 に対し、「 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案要綱 」について答申
2 月2 6 日 第 204 回通常国会提出
4 月 6 日 参議院 厚生労働委員会 提案理由説明
4月 8日 参議院 厚生労働委員会 質疑
4月13日 参議院 厚生労働委員会 参考人意見陳述・質疑
4月15日 参議院 厚生労働委員会 質疑・採決 (全会一致可決)(附帯決議あり)
4月16日 参議院本会議 可決
5月21日 衆議院厚生労働委員会 提案理由説明
5月26日 衆議院厚生労働委員会 質疑
5月28日 衆議院厚生労働委員会 参考人意見陳述・質疑
6月 2日 衆議院厚生労働委員会 質疑・採決(全会一致可決)(附帯決議あり)
6月 3日 衆議院本会議 可決・成立
6月 9日 法律公布 令和3年法律第58号

議案要旨(厚生労働委員会)

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案(閣法第四二号)(先議)

 要旨

 本法律案は、出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、特に男性の育児休業の取得の促進を図るとともに、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、所要の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 労働者は、その養育する子について、原則として休業の2週間前までにその事業主に申し出ること により、子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に4週間以内の期間を定めてする出生時育児休業をすることができる。この場合において、合計28日を限度として、2回に分割することができる。また、事業主は、出生時育児休業申出をした労働者から就業可能日等の申出があった場合には、その範囲内で日時を提示し、当該労働者の同意を得た場合に限り、厚生労働省令で定める範囲内で、当該労働者を当該日時に就業させることができる。

2 事業主は、その雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施、育児休業に関する相談体制の整備又はその他厚生労働省令で定める育児休業に係る雇用環境の整備に関する措置のいずれかの措置を講じなければならない。併せて、事業主は、労働者が当該事業主に対し、当該労働者又はその配偶者が妊娠し、又は出産したこと等を申し出たときは、当該労働者に対して、育児休業に関する制度等を知らせるとともに、育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための面談等の措置を講じなければならない。

3 1歳に満たない子についてする育児休業(1の休業を除く。)について、分割して2回の育児休業申出をすることができる。

4 常時雇用する労働者の数が1,000人を超える事業主は、毎年少なくとも1回、その雇用する労働者の育児休業の取得の状況を公表しなければならない。

5 期間を定めて雇用される者の育児休業及び介護休業の申出について、「当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」との要件を削る。

6 育児休業給付に出生時育児休業給付金を追加する。

7 この法律は、一部の規定を除き、令和4年4月1日から施行する。

参議院付帯決議

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

令和3年4月15日参議院厚生労働委員会

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

1 男性の育児休業の取得促進については、それが男性の育児・家事参加の機会確保と男女共同参画への意識改革につながることに加え、出産・育児においては、男性も女性も一定期間、職場から離れて育児に専念するということを社会通念上も雇用慣行上も当然のものとして定着させることで、雇用・職業における女性への根強い差別的取扱いを是正・解消し、真に男女が共に参画できる社会を構築することに寄与する観点で、今後も引き続き前進させるための努力を行うこと。

2 男性の育児休業取得率の令和7年において30パーセントという政府目標の実現に向けて、労働者及び事業主の理解の促進、育児休業制度の内容の周知、好事例の普及などに努めること。また、制度内容の周知に当たっては、本法による改正で複雑化した制度が国民によく理解され、もって育児休業の取得が促進されるよう、適切な広報に努めること。

3 今回の出生時育児休業は、一定の範囲で特別な枠組みを設けることにより、男性の育児休業取得を促進するための特別な措置であり、男性の育児休業取得がより高い水準になり、この仕組みがなくてもその水準を保つことができるようになった場合には見直すこと。

4 今回の制度改正の施行に当たっては、企業の理解を得た上で実施していくことが必要となることから、全ての労働者が育児休業の権利を行使できるよう、小規模事業者であっても活用できるような形で代替要員確保や雇用環境の整備等の措置に対して支援を行うなど、事業主の負担に配慮した制度運営を行うこと。

5 事業主はその雇用する労働者に対して出生時育児休業の申出期限を適切に周知するとともに、その申出期限にかかわらず事業主及び労働者双方が早期の休業申出に向けて互いに配慮することが望ましい旨を指針に明記すること。

6 育児休業は労働者の権利であって、その期間の労務提供義務を消滅させる制度であることから、育児休業中は就業しないことが原則であり、事業主から労働者に対して就業可能日等の申出を一方的に求めることや、労働者の意に反するような取扱いがなされることのないよう指針に明記するとともに、違反が明らかになった場合には事業主に対して厳正な対処を行うこと。

7 出生時育児休業中の就業は、あくまで労働者からの申出が前提となっていることから、それを可能とする労使協定の締結についても、使用者側からの一方的な押しつけにならないよう、労働者側の意向を反映する適正な手続を明らかにし、周知を徹底すること。

8 育児休業中の社会保険料免除要件の見直しに関し、労働者が育児休業中に就業した場合には、休業中の就業日数によっては社会保険料の免除が認められなくなり、労働者に想定外の経済的な負担が発生する可能性があることについて周知徹底すること。

9 選択肢の中からいずれかの措置を講じなければならないとされている雇用環境の整備については、可能な限り、複数の措置を行うことが望ましいことについて、事業主の理解を得るよう努めること。また、研修については、労働者のみでなく、事業主に対しても行われるような方策を検討し、労働者が希望する期間の育児休業を取得することのできる職場風土の醸成を図ること。

10 育児休業等の制度への理解不足により、労働者の権利行使が妨げられることのないよう、事業主が妊娠・出産の申出をした労働者に対して、育児休業制度のみでなく、休業の申出先や休業中の所得保障などについても知らせることとするなど、育児休業の取得に対して実効ある措置を講ずること。

11 育児休業の取得意向の確認等において、労働者に対し取得を控えさせるような取扱いが行われないよう運用を徹底するとともに、違反が明らかになった場合には事業主に対して厳正な対処を行うこと。

12 常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主に義務付ける育児休業の取得状況の公表に際しては、育児休業取得期間についても、その公表の促進を図る方策について検討すること。

13 上場企業等については、有価証券報告書などの企業公表文書等への育児休業取得率の記載を促すこと。

14 雇用均等基本調査における育児休業取得期間の調査及び公表については、取得状況を的確に把握し、もって今後の育児休業制度の在り方の検討に資するため、その頻度及び調査項目について必要な見直しを行うこと。

15 有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件の緩和について、労使双方の理解不足等により対象となる有期雇用労働者の権利行使が妨げられることのないよう、その趣旨を周知徹底すること。また、雇用の継続のために育児休業及び介護休業の取得を希望する有期雇用労働者が確実に取得できるよう、引き続き更なる環境整備に努めるとともに、今回の改正後の施行状況について検証を行い、必要な検討を行うこと。加えて、臨床研修医や専門医を目指す医師など、勤務先を短期間で移らざるを得ない者が育児休業を取得しやすくなるよう必要な方策を検討すること。

16 派遣労働者については、派遣契約の違いによる育児休業及び介護休業の取得状況の実態把握を行い、取得促進に向けた運用の改善と具体的な促進策を検討すること。

17 新型コロナウイルス感染症による雇用保険財政への影響を踏まえ、財政運営の安定確保策について早急に検討するとともに、雇用保険の国庫負担については雇用政策に対する政府の責任を示すものであることから、雇用保険法附則第15条の規定に基づき、安定した財源を確保した上で同法附則第13条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止すること。

18 本法附則の規定に基づく検討においては、出生時育児休業等の取得期間、出生時育児休業中の就業、育児休業の分割取得、有期雇用労働者の育児休業等の取得の状況等について詳細な調査を行うとともに、その結果を広く公表すること。

19 女性の就業継続を促進するためには男性の育児・家事への参画を促す必要があることから、自治体が実施する両親学級、父親学級等については、より男性が参加しやすく、産後の育児・家事について学ぶものとなるよう、必要な支援を行うこと。

20 育児休業取得促進に向けた事業主の積極的な取組を推進するため、両立支援等助成金の更なる拡充など、効果的なインセンティブの在り方について検討すること。

21 同性カップルに対する育児休業、介護休業等の適用について、関連制度における取扱いも踏まえつつ、必要な対応の検討を行うこと。

衆議院付帯決議

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

1 男性の育児休業の取得促進については、それが男性の育児・家事参加の機会確保と男女共同参画への意識改革につながることに加え、出産・育児においては、男性も女性も一定期間、職場から離れて育児に専念するということを社会通念上も雇用慣行上も当然のものとして定着させることで、雇用・職業における女性への差別的取扱いはあってはならないし、許されないものであるとの認識の下、これを是正・解消し、真に男女が共に参画できる社会を構築することに寄与する観点で、今後も引き続き前進させるための努力を行うこと。

2 男性の育児休業取得率を令和7年において30パーセントに引き上げるという政府目標の実現に向けて、労働者及び事業主の理解の促進、育児休業制度の内容の周知、好事例の普及などに努めること。また、制度内容の周知に当たっては、本法による改正で複雑化した制度が国民によく理解され、もって育児休業の取得が促進されるよう、適切な広報に努めること。

3 今回の出生時育児休業は、一定の範囲で特別な枠組みを設けることにより、男性の育児休業取得を促進するための特別な措置であり、男性の育児休業取得がより高い水準になり、この仕組みがなくてもその水準を保つことができるようになった場合には見直すこと。

4 今回の制度改正の施行に当たっては、企業の理解を得た上で実施していくことが必要となることから、全ての労働者が育児休業の権利を行使できるよう、小規模事業者であっても活用できるような形で代替要員確保や雇用環境の整備等の措置に対して支援を行うなど、事業主の負担に配慮した制度運営を行うこと。

5 事業主はその雇用する労働者に対して出生時育児休業の申出期限を適切に周知するとともに、その申出期限にかかわらず事業主及び労働者双方が早期の休業申出に向けて互いに配慮することが望ましい旨を指針に明記すること。

6 育児休業は労働者の権利であって、その期間の労務提供義務を消滅させる制度であることから、育児休業中は就業しないことが原則であり、事業主から労働者に対して就業可能日等の申出を一方的に求めることや、労働者の意に反するような取扱いがなされることのないよう指針に明記するとともに、違反が明らかになった場合には事業主に対して厳正な対処を行うこと。

7 出生時育児休業中の就業は、あくまで労働者からの申出が前提となっていることから、それを可能とする労使協定の締結についても、使用者側からの一方的な押しつけにならないよう、労働者側の意向を反映する適正な手続を明らかにし、周知を徹底すること。

8 育児休業中の社会保険料免除要件の見直しに関し、労働者が育児休業中に就業した場合には、休業中の就業日数によっては社会保険料の免除が認められなくなり、労働者に想定外の経済的な負担が発生する可能性があることについて周知徹底すること。

9 選択肢の中からいずれかの措置を講じなければならないとされている雇用環境の整備については、可能な限り、複数の措置を行うことが望ましいことについて、事業主の理解を得るよう努めること。また、研修については、労働者のみでなく、事業主に対しても行われるような方策を検討し、労働者が安心して希望する期間の育児休業を取得することのできる職場風土の醸成を図ること。

10 育児休業等の制度への理解不足により、労働者の権利行使が妨げられることのないよう、事業主が妊娠・出産の申出をした労働者に対して、育児休業制度のみでなく、休業の申出先や休業中の所得保障などについても知らせることとするなど、育児休業の取得に対して実効ある措置を講ずること。

11 育児休業の取得意向の確認等において、労働者に対し取得を控えさせるような取扱いが行われないよう運用を徹底するとともに、違反が明らかになった場合には事業主に対して厳正な対処を行うこと。

12 常時雇用する労働者が1000人を超える事業主に義務付ける育児休業の取得状況の公表に際しては、育児休業取得期間についても、その公表の促進を図る方策について検討すること。

13 上場企業等については、有価証券報告書などの企業公表文書等への育児休業取得率の記載を促すこと。

14 雇用均等基本調査における育児休業取得期間の調査及び公表については、取得状況を的確に把握し、もって今後の育児休業制度の在り方の検討に資するため、その頻度及び調査項目について必要な見直しを行うこと。

15 有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件の緩和について、労使双方の理解不足等により対象となる有期雇用労働者の権利行使が妨げられることのないよう、その趣旨を周知徹底すること。                          
 また、雇用の継続のために育児休業及び介護休業の取得を希望する有期雇用労働者が確実に取得できるよう、引き続き更なる環境整備に努めるとともに、今回の改正後の施行状況について検証を行い、必要な検討を行うこと。加えて、臨床研修医や専門医を目指す医師など、勤務先を短期間で移らざるを得ない者が育児休業を取得しやすくなるよう必要な方策を検討すること。

16 派遣労働者については、派遣契約の違いによる育児休業及び介護休業の取得状況の実態把握を行い、取得促進に向けた運用の改善と具体的な促進策を検討すること。

17 新型コロナウイルス感染症による雇用保険財政への影響を踏まえ、財政運営の安定確保策について早急に検討するとともに、雇用保険の国庫負担については雇用政策に対する政府の責任を示すものであることから、雇用保険法附則第15条の規定に基づき、安定した財源を確保した上で同法附則第13条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止すること。

18 本法附則の規定に基づく検討においては、出生時育児休業等の取得期間、出生時育児休業中の就業、育児休業の分割取得、有期雇用労働者の育児休業等の取得の状況等について詳細な調査を行うとともに、その結果を広く公表すること。

19 女性の就業継続を促進するためには男性の育児・家事への参画を促す必要があることから、自治体が実施する両親学級、父親学級等については、より男性が参加しやすく、産後の育児・家事について学ぶものとなるよう、必要な支援を行うこと。

20 育児休業取得促進に向けた事業主の積極的な取組を推進するため、両立支援等助成金の更なる拡充など、効果的なインセンティブの在り方について検討すること。

21 同性カップルに対する育児休業、介護休業等の適用について、関連制度における取扱いも踏まえつつ、必要な対応の検討を行うこと。

22 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止に向けて、事業主に対して雇用管理上の措置の徹底を図るとともに、制度を利用していない労働者に対するパワーハラスメント対策についても徹底を図ること。

23 働きながら安心して育児が行えるようにするという観点から、ひとり親世帯など、子育て世帯の多様化も踏まえつつ、本法附則の規定に基づく検討を行うこと。

24 育児休業は子の養育のための休業であることから、子の養育という目的を果たせないような形で育児休業中に請負で働くことは育児休業の趣旨にそぐわないものであることについて、適切に周知すること。

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