令和2年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)

労働安全衛生法

 厚生労働省は、令和2年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を次のとおり結果を公表しました。

 令和2年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、前年を上回り、959人と依然として多く、うち死亡者は22人となっています。死傷者については、全体の4割以上が建設業と製造業で発生しています。また、入職直後や夏休み明けで暑熱順化が十分でないとみられる事例や、WBGT値を実測せず、WBGT基準値に応じた措置が講じられていなかった事例もあります。死亡災害の発生は8月に集中し、死亡者を業種別に見ると、建設業7人、製造業が6人などとなっています。死亡災害には、熱中症発症から救急搬送までに時間がかかっていると考えられる事例も含まれています。

令和2年職場における熱中症による死傷災害の発生状況確定値

1 職場における熱中症による死傷者数の状況(2011~2020 年)

 職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数(以下「死傷者数」という。)は、令和2年(2020年)に959人となった。うち死亡者数は22人となっている。記録的な猛暑となった2018年と比べ、死傷者数、死亡者数とも減少となったものの、死傷者数については、2019年を上回った 。
 過去10年間(2011~2020年)の発生状況をみると、年平均で死傷者数625人、死亡者数21人となっており、直近3か年における死傷者数は、過去10年間の474%を占めていた 。

2 業種別発生状況(2016 ~2020年)

 過去5年間(2016~2020年)の業種別の熱中症の死傷者数をみると、建設業 、 次いで製造業で多く発生していた。また、主な業種について、死傷災害に占める死亡災害の割合を調べてみると、全業種平均の2.5%に対し、農業5.3 %、建設業4.9%、警備業3.0%などとなっていた 。
 2020年の死亡災害については 、建設業において7件と最も多く発生しており、また、過去5年間においても死亡災害の最多業種となっている 。死傷者数については、建設業215件、製造業199件となっており、全体の4割 以上が これら2つの業種で発生していた 。
 なお、死亡災害に関する製造業の内訳は 機械修理業、自動車・同付属品製造業 、 紙加工品製造業、セメント・同製品製造業、その他の金属製品製造業、その他の製造業であった 。

3 月・時間帯別発生状況(2016~2020年)

(1)月別発生状況

 2016年以降の月別の熱中症の死傷者数をみると、全体の8割以上が7月及び8月に発生していた 。一方で、6月から9月における月別の 死傷者数に 占める死亡者数の割合は9月、7月、8月の順に高かった 。
 2020年の死亡災害は5月から9月に発生し、5月は1名、7月は4名、8月は16名、9月は1名が死亡しており、年内の月別発生割合をみると2019年に比べ8月の発生割合が高かった 。死傷災害にも同様の傾向が 見られた 。

(2)時間帯別発生状況

 2016年以降の時間帯別の死傷者数をみると、15時台が最も多く、次いで14 時台が多くなっていた。なお、日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化して病院へ搬送されるケースも散見された 。

4 2020年の熱中症による死傷災害の特徴

(1)暑熱順化の不足が疑われる入職直後の発症

 年の死亡災害22件のうち、入職後間もない時期の発生が少なくとも2件、そのほか 20204日以上の休暇後の発生が少なくとも4件含まれて いた 。

(2)屋内作業での発症

 2020年の死傷災害の20%は明らかに屋内で作業に従事していたと考えられる状況下で発生していた。業種別の屋内災害の割合は、製造業で約49 %、商業で 約31%となっており、熱中症は、必ずしも屋外での作業でのみ発症しやすいわけではないことに留意が必要であると考えられる 。

 屋内作業においては、炉の近傍など特定の熱源から近いところでの作業での発生がみられる。また、特定の熱源がない場合も、高温多湿と考えられる 室内環境において多く発生していた。室内の冷房設備が故障していた状況下で熱中症を発症したとする事例も複数見られた。

(3)熱中症の発症と年齢と関係

 年齢階級別に死傷年千人率は図のとおりであった。最も高い65歳以上における死傷年千人率は、最も低い25~29歳の2倍以上であった。

(4)熱中症発症時の服装

 死傷災害の中には、熱中症発症時に通気性の悪い衣服を着用していた事例が見られた。アスベスト除去作業で着用する防護服など、通気性の悪い衣服(令和3年 STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱の別紙表2参照)については、 首からの体温の放熱を妨げるなど 深部体温を上昇させることから、熱中症予防のためWBGT 基準値の補正が必要であると考えられる 。

 また、保冷剤を入れて使用する身体を冷却する機能のある衣服について、 保冷剤を使用せずに着用していた事例も見られた。身体を冷却する機能のある衣服を着用する際には、 その機能を発揮できるよう適切に使用することが重要であると考えられる 。

(5)熱中症発症者に対する対応や発見の遅れ

 熱中症発症者の中には、 体調不良を訴え、休憩させた際に周囲の目が行き届かず、周囲が気づいたときには容態が急激に悪化していたり、一人作業をしていて 倒れているところを発見されたりと、熱中症発症から 救急搬送までに時間がかかっていると考えられる事例も複数あった。一方で、被災者の自覚症状 からすぐに病院に行っている事例では、休業見込期間が比較的短い傾向が見られた。その他、帰宅後の発症や重症化例も見られた。

(6)熱中症を原因とする二次災害

 熱中症の発症が、二次災害の発生につながる事例も見られた。熱中症により意識を失って転倒し、頭部や肩を強く打った事例、高所から墜落した事例、 車両の運転中に熱中症を発症し交通事故につながった事例などが見られた。

令和2年 職場における熱中症に死傷災害の発生状況(確定値)

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